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第百四十話 「ローマの◯日」であの二人は川に落ちた後やっちゃったって噂は本当ですかね?

「あの日、僕の胸から飛び出しナイフを引っこ抜いた後、副会長は一旦下り、再度僕に果敢にアタックしてきたんですが、その時急に、蘭布ちゃん(子宮)が隠れていたカバンから飛び出してきて、ガバァっと子宮孔をがま口のように広げ、まるで西遊記に出てくる紅葫蘆のように、副会長を吸い込んだのです。


 それを見て恐慌状態となった会長は、全力を振り絞って戒めから脱すると、そのままベランダに突進し、窓ガラスを突き破ってふりちん全裸のまま、外へ落下していきました。


 僕はあまりの出来事に呆気にとられていましたが、蘭布ちゃん(子宮)はすぐに元の大きさに戻ったので、再びカバンに仕舞うと、こっそり会長宅を後にした、という次第です。どっとはらい」


 竜胆のクソ馬鹿野郎が、聞いてもいないのに事の顛末を最後まで滔々と語りやがった。


「結局全部聞く羽目になったじゃねぇかよこん畜生!」


「だってこうなったわけを説明しないといけないし、仕方ないじゃないですか」


「そ、それもそうなんだが……」


 口ごもりながらも、俺は馬車馬の如く脳を働かせ、必死に考えた。


「……なぜ副会長は受精卵になってしまったんだ?」


 つい、思ったことが口に出てしまう。いかんいかん。


「胎内回帰願望でもあったんじゃないですか? 結構サイコな方でしたし」


「たとえあったとしても、普通退行しねぇよ!」


 突っ込みつつも、思考は一つの答えへと迷路を進んでいく。


 つまり……これこそが、わぬわぬにおける瞬間移動のような、蘭布ちゃん(子宮)のエロンゲーションとしての特殊能力の発露なのではないのか?


 彼女は愛する(オエっ)竜胆の危機を救うため、無意識のうちにその力、つまり吸い込んだ者を若返らせる能力を発現してしまったのだろう……ということは、彼女はエロンゲーションとして覚醒しつつある!?


「ふ、副会長のかたきぃぃぃぃぃ! 死ねやおんどりゃああああああああ!」


 三白眼から完全な白眼に移行しつつあった会長が、急に目的を思い出したかのように生気をみなぎらせると、曲げていた右肘を勢いよく伸ばして、右手のアトラトルとかいう投擲武器を竜胆目掛けて発射した。


「自分で踏み殺したんじゃないですかあああああああ!」


 サイコ小僧の必死の突っ込みにも関わらず、鋭く尖った穂先は彼の胸元を貫こうとした……と思われたその時、もはや俺には散々お馴染みとなった、洗い立ての純白のシーツにも似た、淡く光る薄い膜が、竜胆と、彼の小脇に抱えた蘭布ちゃん(子宮)を覆い、致死的効果を秘めた恐るべき切っ先を弾き返した。


「エ、エンジェルズ・エプロン……じゃなかった、エロンゲーションのバリアか!」


「な、なななななななな!?」


 至近距離からの必殺の一撃を完全に阻止された不運な会長は、ただ一人わけがわからぬといった表情で、カカシのようにその場に突っ立ったままだった。


 だが、それこそが彼の命取りとなった。


「あっ、駄目だよ、蘭布ちゃん!」


 竜胆が止めるにも関わらず、小さな子宮が突如風船のようにムクムクと膨らんだかと思うと、風をはらんだが如く、あっという間に成人男性と同じ大きさまで膨張した。


 そう、まさにエロゲじゃなかったエロンゲーション……拡張したのだ!


「ぎゃあああああああああっ!」


 次の瞬間、ヌラヌラと妖しく輝く子宮孔がガバっと口を開けると、目の前の会長の右腕を、美味しそうにパクっとくわえた。


 なんかこんなシーンラブロマンスものの名画で観たことがあったような気が……。


 あれは確か、ローマにあるという、伝説の………。


「真実の口(子宮孔)か!」


「うまい、砂浜さん、座布団一枚! 嘘をついた女を泣かせる悪いち◯こは食べられちゃうんですね!」


 なぜか少年エロ漫画家にお褒めの言葉を頂戴し、俺は複雑な気持ちになった。


「おい、お前ら、馬鹿なことばっかりくっちゃべってないで、助けてくれぇ!」


 かつて自分自身がぶっかけまくっておもちゃにした子宮に喰われかけている猟奇殺人鬼が、なんとも哀れな声を上げる。


 うーん、この場合助けてやった方がいいんだろうか? 欠片もその気が湧いてこないんだけど……。


「やれやれ、それが人にものを頼む態度ですか、生徒会長さん?」


 瞳に嗜虐的な光を帯びた少年が、楽しげに笑みを浮かべながら鼻毛を抜く。


「お、お願いいたします! 何でもしますから助けてください! お金が欲しいならバイトして払いますから!」


 既に肩先まで飲み込まれている哀れな生贄が、先程とは打って変わって涙声で訴える。


 確かに子宮、いや至急なんとかしないと、彼の命は風前の灯だろう。


 それでも誰一人会長を救おうとはせず、彼は右肩まで暗黒に呑まれた。


 このまま放置しておけば、この部屋は二人の死者を出した心理的瑕疵物件となって、三津田信三先生が取材に駆けつけることになるだろう。


「蘭布ちゃん、その辺りで許してやってくれ」


 ようやく俺は重い口を開けた。

まことにすいませんが体調不良とお盆のため、次回は二週間後になると思います。

(身体が痛いのでお許し下さい…)では、また。

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