第百三十四話 復讐その2
「というわけで、次回作のエロ漫画はTS学園モノにでもしようかしら、と心までメス堕ちしちゃった私、じゃなかった僕でしたが、あまりの事態にマイジュニアがむくむくと主張してきたため、なんとか雄性を取り戻して一旦帰宅し、前述のアイテムに加えピッキングツールや睡眠薬やガムテープやカードゲームなどを蘭布ちゃん(子宮)と共に学生鞄に突っ込むと、すぐに外に逆戻りして二階に続く外階段を足音を忍ばせて上り、人目がないのを見計らって、会長宅の鍵をピッキングし、勝手にお邪魔しました。
もちろん下調べ通り会長はまだ帰っておらず、中は誰もいませんでした」
花音のお尻拭き用ウェットティッシュで俺のゲロの付いた髪の毛を拭きつつ、糞ガキはもはや誰にも結末の見えなくなった物語を話し続けた。
多分既に胃潰瘍になっていると予想される心身ともにグロッキー状態の俺は、ただ一言、「で?」と発した。
「家の中はどこもかしこもファブリーズの匂いで満ちており、毛の一本も落ちておらず、僕はさすがにあんなことがあった魔の館は一味違うなぁと感心しましたが、鞄の中のマイプッシーキャットが地響きがするかと思うほどガタガタ震え出したので、『大丈夫だよ蘭布ちゃん、今度は奴らの方がゴアゴアの実状態になる番だよ』と声をかけつつ、色々と下準備を行い、例の殺人現場の寝室の押入れに忍び込みました」
「……で?」
「ジジイの勃起みたいにすっかり張り合いがなくなっちゃいましたね、砂浜さん。
『8888888888888』とか『サイコ屋!』とかプロ級の合いの手を入れてくださいよ」
「なんで突っ込まなかったら突っ込まなかったで文句言うんだよ!
俺もかなりお疲れ気味なんだよ!」
「そうそう、その調子ですよ」
サイコウェーブ垂れ流し状態のオールレンジ攻撃を俺に仕掛けてくる腐れ中学生は不敵に微笑みやがった。
「押入れの中は洋服や下着類やタオルだけで、正直快楽殺人鬼の割には面白味に欠け、うちの家ほど興味を惹くようなブツもなく、手持ち無沙汰だったんですが、僕は冬のナマズのように息を殺しながら、自分の偽乳のゴムボールを揉み揉みしたり、格好良く登場するために脳内で『必殺仕事人』を再放送してついでに悪代官の芸者遊びのシーンで興奮しつつ有意義に時間を潰しました。
やがて体内時計時間で夕方6時頃、ようやく玄関の鍵を開ける音とともに、『人を殺した後は小便をしたくなるっていうのは嘘だよな〜』『フフッ、そうですわね』という楽しげな馬鹿ップルのピーチクパーチクさえずる声が聞こえてきました。
予想通り、俺たちに明日はない殺人鬼カップルは一緒にご帰宅され、一戦おっぱじめるつもりのようです」
「警察は一体何やってんだよ!?」
「残念ですが当地の警察は真夜中の砂浜でストリーキングする名無しの権兵衛を留置するくらいしか能がないんですよ、渚のち◯こバット太郎さん」
「やめろおおおおおおお!」
突如忌まわしいフラッシュバックに襲われ、俺は薄くなった貴重な髪の毛を掻き毟る羽目になった。てか絶対この半年で砂漠化が急速進行してるんですけど!
「息を殺して様子を伺っていると、ガチャっと冷蔵庫を開いて何かを取り出した模様で、ごくごくと喉を潤す音までが伝わってきたので僕も母乳が飲みたくなりましたがじっと我慢の子でした」
「自分の乳首でも吸ってやがれ! いいから話を進めろ!」
「そのうち、『あれ、何か急に眠たくなってきたぞ……』『まったく、会長ったらいつも寝不足なんですから……あら、私も……』という声が聞こえてきたので、僕は暗闇の中でサムズアップしつつ、更に待ちました」
「ひょっとして、薬を盛ったのか?」
「YES、YES、YES! といっても、冷蔵庫内の蓋の開いていたものに、粉末の睡眠薬を混入しただけですけどね、牛乳とか、麦茶の瓶とか。
さすが海外でレイプドラッグと賞賛されるだけはあって、サ◯レースは凄まじい効果でしたよ。
もっとも、最近犯罪防止のために色が付いちゃいましたが、幸い実家に変更前の在庫がいくつか残ってましてね。今となっては貴重品ですよ」
「貴様の性犯罪知識には本当に頭が下がるわ! でも実行するのはまず過ぎるわ!」
「これも正義のためです。そんなこんなで三十分程経ってから、ようやく僕は貞子のごとく押入れから這い出し、そっとキッチンに向かったところ、ポニーアンドクライドは仲良く夢の中でしたので、高ぶる心の臓を抑えつつ、持参したガムテでレイプマンのように手際よく彼らの口を塞いで両手を後ろ手に縛ってついでに両足もぐるぐる巻きにしました。
ちなみに会長は素っ裸にひん剥いてやりましたけど、副会長の方は武士の情けでボディチェックのみで済ませ、服は脱がさずそのままにしておきましたけどね」
「よくお前さんが性欲を抑えられたもんだな……」
「見損なわないでくださいよ、砂浜さん。僕はこう見えてジェントルマンですし、胸がモロ平野の腐れビッチになんぞ興味ありませんよ。母乳でも出るんでしたら考えますけどね」
「世の中母乳が出りゃいいってもんじゃねーよ!」
俺は入院中の母乳系忍法使いの暴走ダンプ女との壮絶なバトルについて講義してやりたくなった。