第百三十三話 復讐
「とまあそんなわけで、大雨のために下水管が破裂したため、彼女は僕とめぐりあい宇宙したわけです」
「やった……やっと地獄のような回想が終わった……」
息も絶え絶えな俺は、あらゆる神仏に、拷問のような過去話に耐えて生き延びたことを感謝した。俺はもう疲れたよ、パト○ッシュ……。
「まだ話は終わっていませんよ。これからがいよいよクライマックスです」
「まだ続くのかよ!」
思わず雪が降り続いているお外に飛び出しそうになったが、現実という名の愛娘ががっしり俺の服を掴んで拘束しており、サイコ魔王からは逃げられなかった。
「さて、一部始終を知った僕は、当然の如く激しくシコり……じゃなかった怒りました。
そして、その日のうちに、ゴムボール二つとニップルエンハンサーとウィッグとア○ルビーズバイブと自転車のスポークを尼で注文し、ついでに苦心してうちの中学校の使用済みセーラー服をヤ○オクで落札しました」
「さっぱり話が見えないよ! いつも思うけど貴様の思考回路っていったいどうなってんの!?」
「やれやれ、決まってるじゃないですか、砂浜さん。彼女をこんないやらしい、じゃなかった痛ましい姿に変えた法で裁けぬ無敵の未成年様の糞ガキ二人に、『このド外道が!』とブラックエンジェルズばりに天誅を加える下準備を行っていたんです、ああどす恋どす恋」
「なんか違うの混ざってるよ!」
「そして僕は、入念な調査の結果、会長と副会長のスケジュールを完全把握し、数日後、いよいよ彼らをエクスキューションすることとしました」
「……気持ちはよくわかるけど、たまにはお前も人間の法を遵守してくれよ!」
「黙れ禿、じゃなかった少し静かにしてください、砂浜さん。さて、その日知り合いの禿が梅毒にかかって鼻がもげかかって苦しんでいるため病院に付き添うという理由で学校を早退した僕は、購入したアイテム類を携え、羊女さんのお宅を訪問しました」
「なんか不穏当な発言が多々あったような気がするけれど、何故そこでカマ羊が出てくるんだよ!?」
久々に嫌な名前を聞いたため、俺は咄嗟に自分の肛門を押さえてしまった。
「そりゃ彼がX市でも名うてのドラァゲクイーンだからですよ。彼は性癖に若干問題があるため詳しい事情は話しませんでしたが、蘭布ちゃんの写真(盗撮)を提示して、僕をこの女の子そっくりに女装させてくれと頼みました。
彼は、『じゃあお礼にリンちゃんの初物ア○ルを貰いたいところだけど、まだ未成年だし、高峰先生にはお世話になっているからディープキッスで許してあげるわ』などと恐ろしいことをのたまいだしたので、こんなこともあろうかとア○ルビーズバイブで作成した珠暖簾をプレゼントしたら、『あら素敵! じゃ、これでもいいわよ~ん』と依頼を承諾してくれました」
「欠片も話が見えんわ!」
「本当に鈍い人ですね。まぁ、後ちょっとで終わるので、静かに聞いてください。というわけで、全身をいろいろ撫でくり回された僕は、姿見の中の爆乳美少女を一目見た瞬間、『これが私!?』とつい口走ってしまいました。
さすが羊女さんの腕前はプロそのもので、僕は思わず自分の姿でシコりそうになってしまい、羊野郎にケツメドを突かれ思い止まりました。
『んも~、リンちゃんったらほんっと見境ないわね~。さっすが四歳児の時から母親を睡眠姦しようとしただけはあるわね~』なんて言われちゃいましたよ」
その時俺は、診察室の記憶と共に何かがピンと閃いた。
「ひょっとして、高峰先生がオーク顔に整形した真の理由って……」
「あれ、知らなかったんですか、砂浜さん? 昔は女優顔負けの美女だった母が、いくら重傷を負ったからとはいえあんな有り得ない顔面にしたのは、僕が子供の頃から性欲旺盛で、彼女を犯そうと常に狙っていたからというわけだったんですよ。それで僕の意欲がガタ落ちするのを狙ったんでしょうね。
確かにしばらくはそれで抑えられましたけど、生憎年頃になると再び火がついてしまいましたけど」
「やっぱりいいいいいいいいいいいいいい!」
俺は知りとうなかった真実の封印をまた一つ解いてしまったことを悔やみ、滂沱の涙を流した。気の毒すぎるよ先生!
「そんなこんなで彼の家を辞去した僕は、試しにその格好でお外を歩いてみました。
なんたる股下の解放感! まるでスコットランド人になったみたいです!
街中の野郎どもの視線が、僕のニップルエンハンサーを装着したゴムボールの入った胸元に釘づけです!
あたかも生まれ変わったような気分! なんだか新たな快感に目覚めそう!
作品作りのために女装して街に出かけた北条司先生の気持ちがよくわかる!
今度はセーラー服じゃなくて、ゴスロリだか甘ロリだか姫ロリだかにもトライしてみようかしら!?」
「もうそれくらいにしとけや! 復讐どこ行ったんだよ!?」
汚言の暴走を止めるため、さっきの雑巾で再び糞ガキの頭をスパーンと叩いたが、さすがに今度は愛娘も許してくれたようで、ラジオペンチ攻撃はなかった。