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第百二十三話 陥没乳頭の治療にはピアスによる牽引が有効だそうですね

「で、相談ってのは何なんだ? ついに性犯罪でも犯したのか? それなら探偵じゃなく弁護士向きだぞ」


「相変わらず失礼ですね。そんなこと言うなら正月うちに呼んでベヘリット福笑いや町野変丸サブカルターで一緒に遊んであげませんよ」


「おまえんちの正月遊び邪悪すぎるよ!」


「それは置いといて、僕の同級生に蘭布(らんぷ)ちゃんという巨乳美少女がいましてね」


「どっかで聞いたような名前だな……」


「実は彼女は李布ちゃんの従姉妹なんですよ。おっぱいの大きさは彼女ほどではないですが、乳首の形が、沙悟荘の同人誌で見かけるような、阿蘇山のカルデラのように美しい陥没乳頭タイプなので、僕は以前から密かに目をつけていました」


「どこから乳首情報入手したんだよ!?」


「いんですよ細けぇことは! いわゆる汁権利ってやつです。結構病弱な娘で時々学校を休むこともありましたが、生徒会では書記を務め、大変人気がありました。


 僕は是非ともお近づきになりたくて接触するチャンスを狙っていました」


「李布ちゃんに頼めや!」


「それが、その事実を知ったのは、彼女が僕に教えてくれたからなんで、それまで知らなかったんですよ」


「乳首の形の前にそっちの情報を入手しろよ! ムキー!」


「パパ! 落ち着いて! どうどう!」


 花音がどこから取り出したのかラジオペンチをつかんで俺の服の下に滑らせ大事な右乳首をくいっと捻る。


「ぎえええええええええええええええええええええ! 死ぬーっ!」


「ああ、なんか久々にその悲鳴を聞いて懐かしさを覚えましたよ」


「と、とりあえず続きを早く話せ……」


「さて、夏休み明けのある朝僕が教室で一人小型ウェアラブルカメラを今日はどこに設置しようか悩んでいたところ、」


「ちょっと待てええええええええ!」


「パパ! またラジオペンチしたほうがいいの?」


「いや、いいです、先を続けてください」


「あまり話の腰を折らないでくださいよ。いきなり教室のドアを開けて蘭布ちゃんが入ってきたので、僕はびっくりしてとっさに手にした小型ウェアラブルカメラを自分のパンツの中に突っ込んでしまいました。


 ちなみに形状はUSBメモリースティックと同じなので、僕のア○ルにすっぽりと入ってしまい、激痛が走りました」


「……」


「彼女はそんなことはつゆ知らず、『おはよう、高峰くん』と僕に挨拶してきたので、僕も堪え難きを耐えて『おはよう、陥没ちゃん』とちょっと間違った返事をしてしまいました」


「……で?」


「性格が大らかなのか、彼女はそんなことは気にせず、『この前は変なお祭りで、従姉妹の李布ちゃんを助けてくれてどうもありがとう』と頭を下げました。そこで僕は初めて彼女と李布ちゃんの関係を知ったのです」


「なんか初めてまともな話になってきたぞ」


「彼女が言うには、本当は彼女が巫女役であの爆乳祭に出る予定だったんですが、体調不良と、あとどうしても出たくなかったってのがあり、無理を言って李布ちゃんに代役をお願いしたため、どうなったかとても気にしていたんだそうです」


「まぁ、そりゃあんな祭、女性だったら女相撲大会以上に出たくないわな……」


 俺は田舎の祭への強制出場という暴力に抗う少女に同情した。


「僕はウェアラブルカメラに自分の直腸内を撮影されるという屈辱を味わいながらも何食わぬ顔で、『なに、大したことないよ』と極めて紳士的に答えました。


 すると彼女は、『実は、悪いんだけど私のお願いも聞いてくれないかな?』とやや眉をハの字にして言いました。


 変態という名の紳士の僕は、当然のごとく、『僕にできることなら何でも言ってよ』と即答しました」


「うう、なんでお前みたいなサイコソルジャーがモテるんだ……」


「泣かないでくださいよ。蘭布ちゃんは、『最近、時々誰もいない所で人の視線を感じたりすることがあるの』とのたまうため、僕は思わず心臓が破裂しそうになりました。思いっきり身に覚えがあったからです」


「やっぱりかよ!」


「で、彼女に、『ひょっとして、更衣室とか?』とカマをかけたところ、『ううん、散歩しているときとかよ』とのことだったので、僕は内心胸をなでおろしました。そっちの方は明らかに無関係だったからです」


「とりあえず、お前は本気で弁護士事務所に行ったほうがいいと思うぞ」


「先を続けますよ。要するに彼女は、自分がストーカー被害にあっているんじゃないかと心配し、僕に助けを求めてきたのです。


 病弱であまり活発的でない彼女は生徒会以外には友達もほとんどいなくて、従姉妹と縁のある僕を頼ったんでしょうね」


「生徒会の連中には言ったのか?」


「はい、男の生徒会長と女の副会長にも打ち明けたそうですけど、『気にしすぎなんじゃないか?』とまともに取り合ってくれなかったそうです。


 なんでも会長と副会長は付き合っており、日夜猿のようにセックスに励んでいるためそれどころじゃなかったんでしょうね」


「お前も大概だけどお前んとこの中学校もおかしいよ!」


「実はその生徒会長って僕と同じアパートの二階に住んでいたんで、色々知ってたんですよ。ちなみに僕の部屋は一階ですけどね。彼も一人暮らしの様で、ちょくちょく美人のモロ平野、もとい貧乳の副会長がやってきましたから」


「……はぁ」


「というわけでエロ孔明の僕は、『じゃあ、明日からこっそり君を警護するよ。今日はちょっと肛門外科に行ってこなきゃいけないんで』と言い残し、そそくさとトイレに向かいました。パンツ内が便と出血で滅茶苦茶だったもんですから」


「もう許してくれ! で、相談ってのは、そのストーカーを退治してくれってことか?」


「いえ、そんな簡単な問題ではないんです。僕は無事近医を受診して二針縫われ軟膏処置してもらってアパートに帰りました。

 

 ちょうどその時、外階段を上って会長宅に入ろうとしている副会長の後ろ姿が見えたので、爆発しやがれと呪ったのをよく覚えています。


 そして翌朝登校しましたが、蘭布ちゃんは学校を休んでいました。そして、その後二度と学校に現れなかったんです」

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