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プロローグ
薄汚れたビニール袋が湿気を含んだ潮風に吹かれ、砂の上をカサカサと転がっていく。
どこまでも続く長い砂浜と、闇そのもののような昏い海、そして黒い雲が重く垂れこめた夜空。
まるで世界の果てのような荒んだ景色。
そんな全ての生物の死に絶えたような浜辺に、四人の男の姿があった。
彼らの眼は皆虚ろで、焦点が定まらず、精神は昏迷の中を彷徨っているようであった。
やがて、彼らは一人一人、その場を離れ、暗闇の中へと溶けるように消えて行った。
雨がポツポツと降り始め、男達が消えた砂の上を叩く。
もうすぐ大時化になりそうな、嵐の前触れを思わせる雨滴だった。