嫌悪
俺は女が嫌いだ。何故なら、訳の分からない無駄な話を永遠と続け、男に金をせびり、挙句の果には金が無くなればポイして次の男に乗り換える。等という鬼畜の所業を行う悪魔達であると考えているからだ。やっぱ女ってクソだわ。そんな事を考えながら俺はチラリと女共が騒いでる1団体に目を向けた。
志記「…くだらねぇ」
心の奥底から出てきた。あまりにもスッと出てきたものだから、自分自身でも驚いた。
一真「なにがくだらないのかなー?」
せっかく1人で楽しく脳内論争をしていたのに邪魔が入った。
志記「黙れ消えろウザイ邪魔すんな。」
一真「え、酷くない?」
なんでこいつはイチイチこうも女々しいんだ?ホントに…ウザイ
志記「ホントの事言ったまでだ。…で?何の用?」
一真「何の用ってお前…用が無かったら話しかけちゃダメなのかなー?」
志記「ダメだな。女たらしの人でなしは向こうでアホ面ぶら下げてクソにたかるハエみたいな女共の所にでも行ってテメェのナニでも見せつけてきたらどうだ?ん?」
一真「…ホント相変わらず女嫌いだよなー、お前。何かされたの?」
何かされて嫌いになるならまだマシだ。改善策と対処法が見い出せるから。しかしながらソレ以前に元より嫌いだとすれば?そう、人間がゴキブリを無条件に嫌いがる様に。さすれば対処法など1つだけ。駆除する事だ。だが、女を、一応人間である奴を駆除するとなれば殺すという事になる。流石にまだ捕まりたくない。故に俺はこうして心の中で毒を吐き散らかし、鬱憤を晴らした上で女を自分から遠ざけている。
志記「別に…生まれつき、かな。お前も生まれつきゴキブリやムカデは嫌いだろ?それと同じだ。」
一真「酷い言い様だこと…でも、女子ってのはお前が思うほどーー」
クソ女1「一真クーン!ちょっと来てー!」
クソ女2「早く早くー!」
志記「お呼びだぞ?タラシクン♪」
一真「おう…」
邪魔なタラシも居なくなった所で、俺はさっさと退散しようと席を立ったその時、あの癪に触る甲高い蚊の羽音の様な薄気味悪い小汚い"音"が俺の名前を呼んだ。
クソ女3「志記クーン!帰るのー?この後皆で打ち上げでもしよーー」
アホ女が言い終える前に俺は口を挟んだ。
志記「なんの打ち上げ?」
クソ女3「え…?文化祭の…だけど。」
文化祭の打ち上げ、ねぇ?そもそも文化祭では勝ち負けなんざ争ってないのに何故負けても、ましてもや勝ってもないのに打ち上げをしたがるのだろうか?本来「打ち上げ」と言うのは勝負事に勝った場合にするものではないのか?というか、それ以前に俺は文化祭になんて参加していない。したと言えば、クラスに飾る小物の1mmぐらいのところを加工したぐらいではないかな?そんな俺だから答えはもう出ていた。
志記「パス。そもそも参加してないし。」
クソ女3「え?してたじゃん!それにクラスの皆で行きたいかなー、なんて…アハハ…」
志記「ふーん。じゃあ俺は帰って寝たいからパスって事にしといて。もしこれで俺がクラスの1員じゃねぇってんなら無視ってくれて構わないし。」
一真「お前それは…そんな言い方はねぇだろ!」
志記「…お節介ってさぁ…すっごくウザイよ?」
ホントに、ウザイ。お手手繋いで皆でなんやらかんやらってか?俺はゴメンだね。打ち上げと称した乱交パーティーかもしれない様な薄汚い催しなんざ行ってやるものか。そんな事を考えながら俺は教室を出た時、教師が話しかけてきた。
教師「また、クラスの打ち上げには参加しないのか?」
アンタに関係ねぇだろ。鬱陶しい。
志記「はい。帰って寝たいんで。」
教師「寝不足か?」
志記「そんな所ですかね。特に何か悩み事があるって訳でもないんで心配とかしないでください。」
先手を打って置けば教師とて何も引き留めたりしないだろう。そう思いこの言葉を言った。
教師「…そうか。」
俺は何も言わずに頭だけ適当に下げて教師の元を去って行った。学校の外に出た時、俺の携帯が音を立てた。
ピローン
友達からのメールだった。
拓磨《今から遊びに行かね?》
志記《了解。駅前の本屋で待ち合わせな。17:00に》
それだけのやりとりをした後、家に帰り着替えを済まして17:00に間に合うように外に出た。まだ冬の風が残る空気は少し肌に刺さった。
ー駅前本屋ー
志記「おっす」
拓磨「おーす」
合流して何気ない会話を1通りした後適当にブラブラしはじめた。
拓磨「そういえばお前のクラス。なんか打ち上げとかするらしいな?」
志記「らしいな。」
拓磨「お前、行かなくて良かった訳?」
志記「行っても何があるって訳じゃねぇだろ。もしそれで金貰えんなら行くけどな」
拓磨「んはっ!相変わらずクズだなぁ」
この何気ない会話が心地よかった。悪態をつき合っても崩れないこの関係が心地よかった。今もだが。
志記「ちと、もよおしてきたな」
拓磨「小便か?」
志記「ちげーよクズ。モクだ」
拓磨「なるほど。俺もだ」
俺等が思っていた事はどうやら同じだったらしく、おもむろに俺と拓磨はタバコを取り出し、火を付けた。
志記「…フー…コレに限るなぁ」
拓磨「だな。結局コレに限る。」
俺等は一服した後、また大通りを歩き出した。歩いて数分した時、事件は起きた。
拓磨「アレってお前のクラスの奴等じゃね?」
志記「は?どれだよ?」
拓磨「アレだよ。飯屋の前でたむろしてるウスノロ共
」
志記「…あー、そうだなぁ…退散しますかぁ」
そう言ってきびすを返そうとした時、またしても無駄に甲高い声が俺の名前を呼んだ。
クソ女3「アレ?志記クンだよね?」
拓磨「お呼びだぜ?」
拓磨は悪い顔で笑いながら俺を見てそう言った。
志記「無視だ。校内じゃあねぇんだから話す必要はねぇ」
人違いだろうと諦めるだろうしな。だがその考えはどうも甘かったらしく、立ち去ろうとした瞬間俺は腕を掴まれた。
クソ女3「待ってよ!寝たいからとか嘘だったんじゃん!なんで?なんで嘘ついたの!?そこまで私達のクラス嫌いなの!?」
拓磨「…」
琢磨は困った様な、楽しんでるかの様な、微妙な顔をしてこちらを見ていた。しかし、今はそれどころじゃあない。薄汚い便所女が俺の腕を持ってる。そこに底知れぬ嫌悪感が沸き立ってきた。
志記「離せよッッ!!!きったねぇなぁ!!」
言ってしまった。というような罪悪感が波の様に押し寄せてきた。しかし、そんな罪悪感は颯爽と消えていき、むしろ清々しい気分になった。恐らく、ためていたものを吐き出したからであろう。
クソ女3「え…?」
女は何があったのかわからない。という顔をしている。
志記「拓磨、行くぞ!」
拓磨「お、おう」
俺等はその場を足早に離れた。騒ぎを聞き付けたクラスの奴等やそこら辺の一般人が寄って来たが、どうでもいい。俺には関係の無い事だ。
志記「拓磨…タバコ、寄越せ」
拓磨「…あいよ」
どうしようもない苛立ちを煙に乗せて空に吐き出した。その時メールが来た。
一真《コッチまで戻って来い》
志記「…ふざけてやがる」
拓磨「なにがー?…おぉ、お前のクラスの優等生クンはお怒りの御様子ですねぇ。どうすんの?」
志記「決まってんだろ?イライラしてんだコッチは。その俺を呼び出すなんざナニされても良いって事だろ?なら話は早ぇ。ぶっ殺してヤる」
拓磨「ヘヘッいいねぇ」
俺等は来た道を引き返していった。