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風の詩人  作者: 月本星夢
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祭りの予定

「リシェア様、リーナ様、カーシェイク様、御両親が御待ちです。

大神官殿も御一緒に、との事ですが…あれ?リシェア様、人数が増えてますが、新しい神官殿ですか?」

風の精霊と人間の混血であり、精霊の力を完全に受け継いだ青年が、彼等を迎えに来て尋ねる。

以前の黒髪から徐々に色が薄くなって行った為、今では茶金に近くなっており、瞳の色も焦げ茶色から虹色に変化している従者へ、少年が答える。

「ああ、こっちのカルダルアは、知っていると思うが、もう一人の方は、今、私の神官になったばかりの、ファムエリシル・リュージェ・ルシアラム・フェントルだ。

まだ修行中故、準神官となる。」

少年の紹介に、新しい神官が軽いお辞儀をすると、青年が微笑みながら、己の神に仕える二人の神官へ挨拶をする。

「大神官殿、カルダルア殿、御久し振りです。フェントル殿は、初めまして。

私は、リシェアオーガ様に仕える従者の、ケフェルナイトと申します。」

「ケフェ、空風の精霊って、抜けてるよ。

君は一応、人間との混血だけど、精霊の血の方が強いし、古参の精霊の力を余す処無く、受け継いでいるのだから、そう名乗っても差し支えは無いからね。」

カーシェイクに諭され、その事をすっかり忘れていて、少し驚き気味の表情の青年へ、リシェアオーガの神官達から、挨拶が返る。

「御久し振りです、ケフェルナイト様。

御元気そうで、何よりです。前より落ち着いておられますが、あれからずっと、リシェア様の傍におられたのですか?」

「初めまして、この度、リシェアオーガ様の神官となった、ファムエリシル・リュージェ・ルシアラム・フェントルと申します。

空風の精霊様、これからも宜しく御願いします。」

同じ神に仕える者同士が微笑み合い、挨拶を交わす。カルダルアの問いには、はいと答え、フェントルの方には、こちらこそと、空風の精霊は答える。

肩の荷が全て降りた空風の精霊は、その笑顔さえ、落ち着いた物へと変化していた。その様子に大神官も、カルダルア神官も、一安心した様だった。


 屋敷の中では、光の神と大地の神、治癒の神が彼等を待っていた。

簡単な挨拶の後、大神官は光の神と大地の神に、今後の話をし、神殿に戻った。神官達は、光地の神子達に、この街の事を詳しく教えていた。

明日のどの場所に露店が出るか、舞踊家が集まるかという場所の説明から、普段からある店で、お勧めの処は何処かなど、事細かに説明される。

興味深く聞き入る神子達と、彼等に仕える精霊精霊や神龍達。

簡単にそれを纏め、明日の予定を組むのは、長兄であり知神であるカーシェイクと、その妻であるファース。

あそこも行きたい、ここも行きたいと色々と沢山の意見を述べるリルナリーナと、何も言わないリシェアオーガ。

相反する態度の双子に、視線が行った神官達は不思議そうな顔をした。

「リシェア様は、行きたい所は無いのですか?」

新米準神官のフェントルが尋ねると、彼へ視線を上げ、微笑みながら答える。

「私は、この王都での祭りに参加するのは、初めてじゃあないし、明日だけは家族と別行動になる。だから、話に加わらないだけだ。」

「別行動…ですか?

…あ、そう言えばエニアとファム、レト殿に誘われておいででしたね。では、明日は、彼等と共に行かれるのですか?」

カルダルアから聞かれ、頷くリシェアオーガは、

「カルディの言う通りだ。

エニアが神殿に行こうとしないようだから、私とファム、レトで連れて行く予定だ。神殿までは家族と一緒だが、それ以降は彼等と一緒になる。」

明日の自分の予定を彼等へ伝えているリシェアオーガへ、物凄く残念そうな、リルナリーナの声が加わってきた。

「私も行きたかったけど、男の子達の話に付いて行けるかどうか、判らないから、今回だけは断念したの。

…でも…やっぱり…オーガのお友達と一緒に行きたいな…。」

残念そうに綴られた言葉に、それならばと、父親の提案が告げられる。

「だったら、リシェアと一緒に行けばいいぞ。

彼等は騎士の様だし、リーナがリシェアと同じく無生体か、男性体になれば良い筈だ。そうすれば何ら、問題が無いように思うが…。」

父の意見にう~んと考え、一緒に行くと結論を出した彼女に、少年は微笑む。

「じゃあ、カルディとフェンも一緒に行こう。

神殿で見習いの服に変えれば、街に繰り出せると思う。」

意外な意見に、若き神官はお互いを見合わせ、微笑を添えて、自分達の神へ承諾の言葉を掛ける。

「「我が神の御心のままに。」」

二人の承諾を聞き、その時の口調と、態度を変える指示を忘れない少年は、御忍びで祭りを楽しむ気、満々であった。

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