不幸デビルとUNLUCKYDAY
「貸しと言ってもそんな悪知恵は働かせませんよ。ほんと簡単な内容です」
「くうぅ……」
イエスと言えば楽なのだが、二つ返事とはいかない。
相手が卑屈で陰湿で悪どい考えばかりをする俺だからだろうか。
「僕はまだ全然廃校舎に住める状態でもないですし、手伝いが欲しいなとか思ってるくらいなんで」
半信半疑で疑いながらも、渋々城ヶ崎が首を縦に振る。
「しかし、変な事を要求するなよ……例えば、け、結婚とか」
……何でだよ!てか今までの話の流れでどこにそんな要素があった!?
「心配には及びませんよ。そんな気これっぽっちもありませんから」
率直な感想を述べたつもりだったが瞬間、目の前を何か固い弾丸が黒板に減り込んだ。
「やぁくぅもぉ……何か失礼な事を言わなかったかぁ?」
「あ、いや……は、はは……は……」
「貴様は、私が監視するから覚悟しておけ!」
こうして、城ヶ崎の殺気を一身に受けながらも俺の部活が決定した。
4
放課後、部活の申請書を出しに生徒会室へと向かった俺はそこで次の問題へとブチ当たっていた。
「内容と目的は理解出来ました。城ヶ崎先生が顧問というのも確認出来ましたので、部員人数を後二人ほど増やして下さい。それが出来ましたら生徒会からも正式に認可します」
「……ちょっと待って下さい。生徒会長様、部員人数に決まりなんてありますか?」
知的にメガネの位置を修正し、机に提出された部活申請書を確認すると生徒会長の橋戸花凛がチラッとこちらを流し見る。
「体育会系部ならそのスポーツでの最低限の試合が出来る人数、文化系部ならその活動が出来る人数が必要です」
そう言うと、橋戸は幾つかの資料を手渡してきた。
一枚一枚には当時の部活申請書と今年度の部活詳細が書かれた紙だった。
げっ、文化部のクセして吹奏楽二十人とか嘘だろ!?
ていうかバードウオッチング部って何だよ、もはや個人的趣味だろ。
「この部活は今年度一人だけなんですが……」
数多くの部活情報から、良く内容のわからない部活を指差して尋ねる。
「ああ、ギネス部ですね。それは去年まで五十人部員がいたのですがコストと活動経歴から一人を残して皆退部したそうです。まあ、幸いギネス挑戦なんてものは一人競技もありますし、部費もバイトで稼ぐとの事なので認可しました」
おいおい、それでいいのか生徒会長!