マイファミリー
「タク、早く起きなさい!もうすぐ目覚まCじゃんけんの1戦目よ。」
「俺、ZIPでドンの方が好きなんだよ!何回言えばわかるんだよ。」
もう、朝からうるさいなー。まだ寝たいのに。
「拓也。朝のテレビの事はどうでもいいけど起きた方がいいのは本当だぞ。」
なにを言ってるなんだとうさんは?
「わからないようだな。時計を見ろ。」
言われたとうり時計を見ると・・・
7時55分
学校につかないといけない時間は8時ジャスト。
・・・
「なんで起こしてくれなかったんだよー。あとじゃんけん1戦目じゃなくて4戦目じゃないかーーー」
「やっと起きてきたわね。お姉ちゃんはもう言ったわよ。」
「時間見ればわかるよ。あと、とうさんも仕事遅刻じゃないの?」
「まだまだ若いな拓也も。この言葉を覚えておきなさい。《急いで行くよりゆっくり言い訳を考えろ!》」
「なるほど・・・ってなんないよ。なんでそんな事をドヤ顔で言うの。悲しいよ、それにパンツいっちょでパンをかじりながら、息子をダメにする言葉を投げかけるとうさんなんて嫌いだーーー」
「まだまだ若いなー拓也は。これはパンツではなく、絵の具で塗ってるだけだから本当は裸だ!モザイクをよろしく。」
僕は家を急いで飛び出した。
これ以上とうさんといると、目を赤くして学校に行く事になるから。
僕はこぼれ落ちそうな涙をこれえて学校へと走った。
「待ちなさいタク!あんたまだパジャマでしょ。そんな姿で学校に行くなんてとうさんが許しても私が許さないから!」
!?
そういえば着替えてなかった。
それと補足情報。
今、僕がいるのは学校へと続く通学路。
そして、
「うわっ、パジャマじゃん。」
「あの人なんなの?」
「まさか同じ学校じゃないわよねー。」
「あんな人と同じクラスになりたくないよねー。」
今日は、高校の入学式が行われる日だったのだ。
初めて会うクラスメイトになるかもしれない女の子。
くまさんのパジャマで道の真ん中にいる僕。
不安と期待で心がいっぱいで、僕を見てたせいで期待が消し飛んだ男の子。
「・・・終わった。」
僕はこうして最悪の高校生活をスタートさせたのだ。
「タク、あんたズボン履いてないわよ。」
・・・
そして目を赤くして学校に行く事になったのだった。