新たなる旅路 そのじゅう(一)
文章に起こす時間がない。
そのため、不本意ながら(一)を設けさせて頂く。
話の流れ的に、『そのじゅう』の大体3分の1~半分くらいかなぁ?
一度起こしたが失われた文章を再度起こすのは、非常に苦痛ですなぁ。
ま、これは仕方ないかなぁ。
「ふむ。あの『飛翔士』は中々の腕でござるな」
「ほぅ、そうなのか?」
この辺りは俺には判らん領域だ。
「第一世代は最高速を出すと艇体から音が出るでござる。旋回時ともなれば分解しそうな程の音になるでござる。・・・正直、某はあの音には耐えられないでござる。その耐えられない音に、あの『飛翔士』は適応してるでござるっ!」
あ~そうなのか。まぁ、ぶっちゃけ安全性は考慮してないもんなぁ・・・第一世代は。この辺りの耐久性は致し方ない所。
しかし、『分解しそうな音でも問題なく飛べる胆力』ってのは凄いかも知れんなぁ。コレは期待できるかも知れん。
敵の極小型艇は、防空隊の体当たり攻撃を畏れてか、少し遠巻きに成っている。しかし、『オーグル』が加勢するとは言え、実質は3対1の格好になる。アイツで大丈夫なのか?
そう逡巡していると、3対1の攻防戦が始まった。
友軍の『飛翔艇』は数で勝る敵に対し、この世界では見られない特殊な空中戦闘機動を行なって居た。そう、『バレルロール』と言う特殊な機動をだ!
敵の正面攻撃を交わしつつ、攻撃を加える事で3艇の内の1艇を瞬く間に撃ち落とす。
正面から撃ち合う度胸に加え、恐怖を跳ね除け高速戦闘での正確な攻撃、しかも、劣勢な状況にもかかわらず敵の攻撃は交わし自身の攻撃は当てると言う神業・・・凄まじいの一言に尽きる。
お互いが交差した所で『飛翔艇』がループを始めた。そのループの頂点でロールを行い敵艇の後背を容易く捕り、下方に降下を行い敵艇との速度差を埋め、その直後に上昇し敵艇との距離を詰め追従する。
「なっ!『インメルマンターン』からの『ロー・ヨー・ヨー』かっ!?こ、っこいつぁマジかぃ・・・」
「主殿、どうしたでござるか?あの見慣れぬ動きに見覚えがあるでござるか?」
「元の世界での空中戦闘機動と呼ばれるモノの一つだ。この世界では誰にも教えていない・・・ってか、その辺りの技術は完璧に失念してて教え忘れてた技術なんだが・・・まさか、独力で編み出したってのか?」
「そんなに凄い技術でござるか?確かに我ら『鳥人』でも見慣れぬ動きではござるが・・・」
「凄いってもんじゃねぇな。もし独力で編み出したとしたら、間違い無く天才だな」
俺は思わず生唾を飲み込みながらそう応えるのが精一杯だった。
あれだけの腕を持った奴か・・・どんな奴かは知らんが『オーグル』に欲しい逸材だな。
流石に最高速度では敵わない為か、ジリジリと引き離されて行く。
だが、あの『飛翔士』は援護するに値する優れた腕の持ち主だ。
「皆見たか!?あの『飛翔艇』を援護する。ポーラ、最高速で敵艇の鼻っ面に持って行く。機関室!聞いた通りだ。こっちも空戦機動じゃ負けていられねぇ!各員、一層の奮闘を期待する!行くぞっ!!」
俺の命令とほぼ同時に『オーグル』は急加速を開始する。
「ちょっ!行動が早すぎ・・・うぎぎぎぎ・・・」
急加速に座席へ身体が叩きつけられ、全身を襲う急加速による圧迫感に呻き声が出るも、始まった急加速は止まらない。
急加速と同時に『オーグル』の艇体は急上昇を始めた。
「え?ちょ、まさか・・・」
え?いや、違うよね?そんな事はしないよね?と、思いつつ、ポーラの方へ目を向けると『くきききき、何人足りともあたちの前は飛ばさせないのねっ!アレに出来てあたちが出来ないって事は存在ちてはいけないのねっ!!』などと言った、可愛らしい声が聴こえて来るが、これは何かの幻聴か!?・・・っつ~か、ポーラの奴、『走り屋』・・・いや、今回に限っては『飛ばし屋』と言うべきか?に目覚めでもしたのかぃな?それとも、アレこそがポーラの本性か?
と、現実逃避をしてると、足が床に体が座席に押し付けられる様な感覚と共に段々と貧血症状が。
「ぐをっ!」
まぁ、状況から見るにブラックアウトだな。
『オーグル』の各所から『ぎゃぁぁぁぁ~っ!』だの『ぐぅおぉぉぉぉぉっ!!』だの『みぃぎゃぁぁぁぁぁぁぁ~っ!』だのと言った悲鳴が聴こえて来る。
現在、自分が置かれて居る状況が分からなければ、視界が暗くなって行くってのは、責め苦以外の何者でもないだろう。意識がハッキリした状態から意識喪失と同じ状態を味わうってのは、かな~りキツいからな。
「くきききききき!」
ポーラの居る辺りからは変な笑い声が聴こえて来るが、幻聴に違いない!
そう思った次の瞬間、横に向けてGが急激に掛かり、ロールをした事を認識した。それとともに脚へ下がっていた血液が急激の頭部へ上がり、偏頭痛に似たモノが襲い掛かってくる。
「ぐぶぅぇ~っ」
余りの不快感に呻き声が漏れるも、艇は止まらない。方向を小型艇達に向け、更に加速を開始した。
普通にその場での180°旋回で良いじゃねぇか・・・アレはアレで気分悪いが、今回ほどじゃねぇぞ。
次の更新はいつになる事やら。
祝日?土曜日?なんスかソレ?




