表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/68

新たなる旅路 そのさん

 『要塞都市ガレアス』は、『シュトゥルム機関』の恩恵を受け、格段に飛躍して居た。

 回転式工具のたぐい模倣もほうが可能で、元の世界の劣化コピー品が、『深遠なる密林』にて大量に増産されて居る。

 代表的な工具は、各種の『丸鋸まるのこ』。今までは職人の絶妙な技術で素材の切断を行なって居たが、この『丸鋸』の導入により、素人でもそれなりの教育を受ければ職人が裸足で逃げ出すほどの加工が可能となる。石材から木材、果ては金属材までが切断が可能で、作業効率が飛躍的に向上した。この『丸鋸』、機構を変えれば、雑草から樹の伐採まであらゆる方面で活躍出来た・・・しかし、コイツでの草の伐採は小石が飛んで危険極まりないが、石油製品の開発は成されていない世界だから諦めるしか無い。樹の伐採も『チェーンソー』的なモノが開発出来れば良かったのだが・・・この世界には肝心の『チェーン』が無い為、開発を断念した。そりゃ~自転車やバイクのチェーンは見た事は有るけども、構造までは理解してないわな。あの複雑な構造を一から構築するのは無理がある。まぁ、プレス機か何かで打ち抜いて作るのだろうが・・・理解は出来ても開発となると難しい。

 他の工具としては研磨機としての『グラインダー』や『サンダー』の類だろうか?石材や金属材の仕上げに巧く機能し、都市の各所で更に騒がしい音を響かせて居る。

 

 あのしょっぱい勝利から2ヶ月、都市は大きく変貌へんぼうしつつ在る。都市の城壁部分からコンクリートの建造物が中心に向かい建造が進みつつ在る。高さは既に城壁を越え6階建ての集合住宅が軒を列ねて居たりする。都市の防衛と収容人口を考えた結果、個人向け住宅は限りなく排除して居る。人口密集率を上げ、イザと言う時の防衛戦の構築の為だ。路地裏を巨大な落とし戸で封鎖すれば、この集合住宅自体が堅固な城塞と成り得る訳だ。この集合住宅の立ち並びは、中央へ向かい螺旋を描く様に配置されて居る。侵入してきた敵を誘導すると共に、建物の上層部分から攻撃しやすく、また、迎撃も容易だ。巨大な螺旋を描く一本道と言うのは、防衛の関係上、非常に有効的だ。都市民は『巡回バス』が有り、路地裏は普段は開放されている為、都市の各所に効率良く向かう事が出来る。

 『巡回バス』の運行も開始された。初期導入は1ヶ月ほど前に5台から運営開始。今や12台程で都市を一定の時間で周回して居る。料金もかなり安めに設定され、都市の各所で働く労働者や、市民には欠かせない脚と成って居る。しかし、導入初期は、そのいかつい重装甲にる威圧感で、とてもととても不評であったと付け加えて置こうか。

 自警団的な組織も発達させて居る。普段は仕事にあぶれている戦闘員を積極的に働かせ、住民間のトラブルを極力抑える様にはして居る・・・自警団も血の気の多い奴らが集まって居る為か、揉め事を起こすのは、自警団の奴らだったりするのが痛い事実だったりもするのだが・・・。自警団も移動手段に『巡回バス』をしようしたり、より即時性が必要とされる制圧部隊的な者達には個人用の『バイク』の様なモノを使用して居たりもする。動力部には『巡回バス』同様『シュトゥルム機関』を使用し、『チェーン』の開発を断念した為、動力伝達には『ドライブシャフト』を導入した。実は『チェーン』よりも動力伝達能力は高いが、伝達のキモである歯車ギアには高精度と高剛性が求められる為、元の世界では構造も簡易で整備のし易い『チェーン』の方が普及したと言う背景がある。だが、俺のバックには『深遠なる密林』の腕の良い『魔導士』達が居る。彼等に頼めば、かなりの無茶も融通が利く。

 この辺りの技術向上もあり『要塞都市ガレアス』は『工房都市』を遥かに超越した『工業都市』へと生まれ変わりつつ有る。『シュトゥルム機関』の製造に活気で満ち、好景気に沸き立って居る。都市の人口は増加の一途を辿って居る。その分トラブルも増えるのだが・・・この辺りは自警団長となった『覇王護衛団インペリアルガード』のクレインさんが何とかするだろう。彼女は先の戦闘の無理がたたり、第一線から退いてしまった。敵の最大戦力である『トロール族』を1対1でほふる事が出来なくなってしまった以上、致し方のない事ではあるのだが。そして、基本的に民衆が相手の為、以前の様な乱暴の口調は止め、御嬢様の様な口調に戻して居たりする。その為、民衆からの人気は絶大で、クレインさんを見たいが為に問題を起こす馬鹿も増大中。俺の副官から姉であるクレインさんへの副官となったクリスさん、『クリストファー・ガウ・オーグルニス』の頭の痛い事であるらしい。我が皇国は、基本的に傭兵制度なので、本人の希望次第で除隊が非常に簡易に行える。・・・奴隷的な刻印を身体に打たれた俺には出来ない芸当だが・・・聴く所に因るとこの腕の刻印、『オーグル』の『浮空石』と同調して居り、『オーグル』から離れるか『オーグルの浮空石』が破壊された時点で、腕を爆心地にして身体が吹き飛ぶとか言うモノらしい。本当にコレ、何とか出来ないものだろうか?

 俺が、帝国の奴隷兵をアッサリと開放したのはこの辺りの理由もある。奴隷って嫌なモノだよね・・・いや、マジで。


 そして、新型の『飛翔艇』・・・コイツの開発は、『空賊』の幹部も数名、皇国側も、知っているのはわずか十数人といった規模で開発が進められている。

 今日は、新型の風洞実験だ。新型体がスッポリ入る空間に新型艇を前方からワイヤーで固定し、前方から『シュトゥルム機関』で風を送り『飛翔艇』の安定具合を試す・・・と言うモノだ。基本的な安定基準はクリアしてるので、今回の実験は『武装を載せた状態での安定度の試験』だ。新型の『対艇攻撃型飛翔艇』は、主武装は翼から吊り下げるタイプと成って居る。片方の翼に5発、両方で10発の特殊推進弾を装備し、制空部隊に守られつつ敵艇へ接近し、対空砲に晒される前に攻撃をして離脱・・・と言った戦術を採る予定だ。その為、速度よりも重装甲且つ安定度を求めて設計してある。やはり『R閣下』の遺志は受け継がねばなるまい。

 特殊攻撃弾の名称は『長距離攻撃型対艇徹甲爆裂弾(ちょうきょりこうげきがたたいていてっこうばくれつだん)』で、矢鱈やたらと長いので『爆艇弾ばくていだん』とでも名付けようかと思って居る。基本的には『ばくだん』と同じモノだが、対巨大装甲艇を目的として居る為、個人用よりかは遥かに大きく、先端部がキリの様に加工がされてるのが特徴だ。『爆艇弾』は『トルネー機関』で推進し、回転を打ち消す機構は設けて居ない。その為、飛行中は高速回転を有する。『爆艇弾』は目標の装甲に刺さると同時に先端の錐状の被帽部分で装甲に穴を開け、装甲を貫通したと思われる辺りで弾芯に刻まれた『爆裂エクスプロージョン』の魔法が、敵艇の魔法障壁の魔力に触れ発動、敵の装甲をつらいた又は穴を開けた所で爆破する構造の為、たとえ装甲艇と言えども無事には済まないと思われる。被帽部分には『ミスリル』を使用する予定だ。その為、1発あたりのコストが高いが『飛翔艇要員』の育成費用に比べたら微々たる金額だ。戦闘での戦死者をゼロにするのは無理だが、今回こそは無駄死は減らさないとな・・・。

 さて、この新兵器が・・・何処まで役だってくれるかは神のみぞ知る・・・と、言った所だな。

・・・なんとか土曜日以内。

明日も可能ならUP致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ