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分水嶺 そのよん

 結局、クラインさん達は見捨てる事にした。脳筋達を気にするよりも、取り残された部隊の方の戦力維持の方が良い結果になるだろう。

 だが、後になって『儂等わしらを見捨てるとは良い度胸じゃのぉ?』とか問い詰められても嫌なので、一手を講じて置く。


「スレイっ!出撃準備は出来てるか?」


 我が『オーグル』が誇る高性能『飛翔艇ひしょうてい』、『ホークウィンド』(スレイが命名)に出撃して貰う事にした。


「準備万端でござる。何時いつでも出撃可能でござる!」


 『ホークウィンド』の格納庫は、艇首付近の1番砲塔と2番砲塔の中間に有り、格納扉は跳ね上げ式になって居る。格納扉の開閉中は1番と2番砲塔の使用が出来ない為、戦闘開始前か制空権を奪取した後でしか運用出来ない。その為、搭乗員は数日分の飲食物と共に載り込む事になる。数日分になると思われる排泄物は、我慢するか基本的にはオムツである。ちなみに、格納扉の開閉かいへいは手動であり、その操作は1番と2番の砲手が担当する。


「もし不確定要素が加わり、戦線維持が不可能になったら速やかに帰投しろ!正直、あの二人は見捨てても構わん。スレイを失う事の方が遥かに痛いからな」

「それで大丈夫なのでござるか?後々のちのち主殿あるじどのに迷惑が掛かったりはしないのでござるか?」

「先頭集団の有象無象うぞうむぞうは兎も角、あの二人が死ぬと思うか?もっとも、その程度で死ぬならそれまでだしな。ぶっちゃけ『空賊』達は、レニヨン殿さえ居れば戦力的に問題無いだろうし。サクッと見捨てても構わんよ。わかったか~?」

「承知したでござる!」


 スレイも熱くなると目の前が見えなくなるタイプだから、一応釘を刺して置くか。


「あ~そうだ。もし、命令無視とかしたら『モフりの刑』な」

「なっ!?『モフりの刑』・・・で、ござる・・・か?」


 『モフりの刑』と聞いて、『オーグル』内部がいささざわめき立つ。主に獣人族中心に。医務室に繋がる伝声管からは『にゃに~っ!?』等と言う声も聞こえてきたりする。逆に指揮所の人間系種族からは、非常に冷ややかな視線がそそがれる。


「それではスレイミーに命ず!!単騎出撃たんきしゅつげきし、『空賊』の先頭集団を補佐する。戦線維持が不可能と判断した場合は速やかに帰投する事!復唱せよ!」

それがしは、『空賊』先頭集団を補佐し、戦線維持不可能な場合は帰投する!」

し!忘れるなよ?」

「しょ、承知したでござる!」


 スレイの声は、心なしかふるえて居る様にも思える。


 『モフりの刑』とは、みなの目の前で、俺が対象者を『押し倒しつつ思う存分モフモフする』と言うモノであり、主に獣人族に対して行われる刑罰だ。っつ~か、ただ単に、俺が公然とモフる為の口実だったりする。スレイが初めてこれを受けた時には、主に柔らかいお腹の羽毛で『モフり』を堪能したせいか、興奮した様な感じでしばらうずくまったまま肩で大きく息をして居た。いや~あれは実に至福の時間だった。主に俺が。

 ただ、この『モフりの刑』は、ターニャとラクールには未だ行って居ない。ターニャは下手にやるとかじられそうだからであり、ラクールの体毛は硬くて刺さりそうだからである。蛇足だが、エルニーのモフり具合は、異世界最高のモフり具合だったと付け加えて置こう。

 しかし、この『モフモフする』略して『モフる』と言う行為は、何故かこの世界には受け入れられない様だ。その証拠に、エルフや小人には非常に受けが悪い。理由として推測してるのは、獣人族も見た目はどうあれ『ひと』であり、俺の行為は単なる特殊な趣味をした『セクハラ』だと思われてる可能性がある。ってか、その可能性は非常に高い。

 だが、ここでくじけて居ては、最終目標である『人前ひとまえで堂々とモフる』と言う行為の普及は達成など出来やしない!俺がそう言う趣味嗜好しゅみしこうの変態さんだと周知しゅうちされれば、思う存分モフる事が可能!俺が変態と認知されればっ!・・・いや、まぁ、その・・・アレですな、俺は一応は異世界人だしぃ~その辺りも加味かみした上で、趣味嗜好は人其々ひとそれぞれだと思う・・・思いたい・・・思っても良いですか?


 少々(?)話がズレたが、『モフりの刑』の概要がいようはそんな所だ。


ぉ~し、準備が出来次第発進だ。格納扉の開放状況は?」


 1番と2番砲塔に繋がる伝声管に声をかけてみる。


「当方は1番砲塔。開放状況100%・・・」

「2番のクルマールです。開放状況は80%位です。もう少し待って下さい!」


 2番の伝声管からは『うんしょっ!うんしょっ!』とか言った、甲高かんだかい掛け声が聴こえて来る。うむ、やはり『草原の小人』は男女を問わずかわい・・・おほん。やはり彼には少々荷が重かったか。しかし、彼の能力を考えたら艇首付近の砲塔を任せたいしなぁ。

 しばし、2番から聞こえてくる掛け声を堪能して居ると、跳ね上がる様な声が聞こえて着た。


此方こちらクルマール!開放100%ですっ!」

「良し!『ホークウィンド』発進だ!」

「スレイミー・・・出陣するでござる!」


 スレイの声と共に『オーグル』の艇体が揺れ『魔法投影マジックスクリーン』には勢い良く飛び出して行く『ホークウィンド』の姿があった。


「1番、2番、格納扉を閉鎖後、主任務に戻れ」

「・・・了解」

「あいさ~っ!」


 格納扉は開く時は手動だが、閉める時は半自動である。留めてあるストッパーを解除すれば自重じじゅうで閉まる仕組みだ。


「タマっ!周囲の友軍の進捗しんちょく状況は?」


 スレイを送り出す一連のり取りの中でも戦闘は継続中だ。


「現在友軍は市街地の60%を制圧だにゃん!全体的に『空賊』有利で侵攻中にゃん。友軍の被害状況は約3割、実質的な損耗は1割にも満たにゃいと思うにゃん」


 ふむ。重装甲ゆえの被害の少なさ・・・か。クレインさんの部下は恵まれてるのかも知れんな。あの人、基本的に姉御肌みたいだし。

 制圧状況は良い感じみたいだな。しかし、イソラルのおっちゃんは何処どこに消えたんだ?そこそこの勢力だったと思うのだが・・・。 

うぅぅ・・・2年ほど前に一緒に暮らしてたワンコ(♀)が亡くなって以来、モフり分が不足して居ます。

モフモフの禁断症状がががg・・・


思う存分にモフらせてくれる施設とか無いものか・・・(笑


冗談と本音の入り混じった愚痴は良いとして、時間が空いたのでUP致します。

・・・え?ストレス解消に他人様のお話をガチ読みしてて更新が遅れたって訳じゃないですよ?えぇ、そんな事はありません。

アレらは今から読むのです。作者様のリンク先にも気になる作品が沢山あるので、寝不足が続くかもしれないなぁ。

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