反撃開始 そのいち
アレからグラガンの工房は皇国王室が接収をした。
当然王室とも深い繋がりを持つ俺にも分け前と言うか、グラガンの遺産的なモノの分配をして貰える事となった。
あのオッサン、コレが意外と溜め込んで居て・・・現金は殆ど無かったが、相当な量の『ミスリル銀』とそこそこ大量な『アダマンタイト』と比較的多い『オリハルコン』が見つかった。どれも魔導金属として希少価値の高いモノだ。
分配された量も結構な量となり、『飛翔艇』の構造部総てに『オリハルコン』を使用し、装甲を含めた外装の総てを『アダマンタイト』に出来る位は・・・。これだけの資産を有していながら更に追い求めてたって、どんだけ貪欲だよ?個人資産で考えても、恐らくはエルファーディアでも王室も含めた5本の指に入るんじゃないか?自称だったとは言え、エルファーディアNo1の魔導士を名乗る筈だわ。
そして、最高、最強の素材を使用した『飛翔艇』を造ろうとしたのだが・・・ミレーヌに諭されてしまった。曰く、『そんな高性能過ぎるモノ、一体誰が操艇出来るの?サーちゃんやスカちゃんでも無理なんじゃないかな?そんな無駄なものを造るくらいなら『オーグル』の魔導装甲に使おうよ?頼むからもう少し頭を使おう?』・・・と。
お、漢には、引けぬ夢がある・・・ってなモノなんだが、流石に誰も操艇出来無い撃墜王専用艇を造るほど無駄な事は無いか・・・とも思ったのは確かだ。今現在、『撃墜王』なんて生まれて居ないしな。
んで、結局の所、ミレーヌの助言通り、魔導装甲へと転用する事にした。攻撃用魔方陣に使用するとの案もあったが『オーグル』の乗組員との協議の結果、火力面は今現在でも充分すぎる程に強いので、防御の方に回そう・・・って事になった。基本的に『オーグル』は突撃艇の為に敵陣に斬り込む必然性がある・・・と、言う事で『オリハルコン』を艇首付近に不断に使い、『アダマンタイト』を被弾率の高そうな主翼に散りばめた。その結果、艇首付近は150サンチ魔導筒の直撃を無効化し、主翼部分も100サンチクラスの魔導筒を無効化出来る仕様となった。え~と、どんな無敵仕様なんだか・・・。まぁ、自身の生存率が上がるんだから何も問題は無いが・・・些かチート過ぎやしないだろうか?
余り有るミスリルは『オーグル』の内装の大半を、煌びやかな翠色に染め上げる事と成った。『オーグル』の大きさはトルピード級よりも一回り大きい程度だが、掛かった費用はドレッドノート級の1.5倍程度に相当するのでは無かろうか?非常に贅沢極まりない艇である。
そうして『新生オーグル』は産声を上げる事が出来た。本来なら2週間は早く完成して居たモノを・・・。まぁ、あのオッサンの暴走のお陰で、防御面でも居住面でも不自由の全く無い出来になった訳だが。感謝をするべきなのかな?
そして今、『神聖タンピヤ皇国』国民にお披露目する為、満を持しての観艦式と相成ってる訳だ。
概要は、中心に『飛翔艇母艦』艇名を『呑龍』X1 ソレを取り巻く様に雲霞の如く群れをなし、艇体を蒼空の如く蒼く染め上げられた『飛翔艇』X80 『飛翔艇母艦』の上下、後方に位置する新型浮空艇である『空翔艇』X3 上に位置する艇が『昇龍』 下に位置する艇が『伏龍』 後方に位置する艇が『飛龍』と成って居る。艇名は勿論の事、俺の趣味だ。
更にその周囲に輪形陣を組む様に『シュトゥルム機関』に換装を終えた、デストロイヤー改X10が配置されて居る。艇名は『スレイヤード』『ノルワール』『ラキシス』『ゾーダス』『サーチャス』『グレイシス』『ティグル』『ラークル』『ヴァフィール』『エルメア』と成って居る。
デストロイヤー改は、『シュトゥルム機関』採用により邪魔な帆柱を撤去した結果、広い上甲板を確保出来た事で『飛翔艇』を各艇が4艇ずつ保有して居る。主に偵察やデストロイヤー改の死角を補う形で運用される。艇そのモノは『呑龍』に搭載されてる『飛翔艇』と遜色が無い為、かなりの戦力強化と成っている筈だ。
この副次的な『飛翔艇』に因り、『飛翔艇』の総数は120艇にも上り、『飛翔艇候補生』全員が戦闘に参加する事になる。正搭乗員が『呑龍』に、補欠要員がデストロイヤー改に搭乗する事となった。補欠要員と言う事で最初は落胆して居た補欠要員で在ったが、支援艇への搭乗とは言え戦闘に参加できると言う事を告げられた時、彼らは歓喜の為、狂喜乱舞し厳罰処分を言い渡される事と成った。ま、それは余分な話だが。
そして、我が『鬼』は、それらの編隊総てを睥睨出来る位置に付いて居る。
皇国国民は浮空島の端々に集まり、その陣容を歓喜で迎えてくれて居る。ある者は巨大な横断幕を風に靡かせ、ある者達は人文字で喜びを表し、大声を張り上げて居たりする者も居る。商用だろうか?タンピヤ周辺に浮かぶ『浮空艇』にも、大勢の人が鈴生りにコチラを眺めて居る。
漸く出揃った・・・。あの敗戦から4ヶ月。かなりの急ピッチであったが陣容を整える事が出来た。各浮空島の守備隊には『爆ト弾』を過分な位の数の配布は済んで居る。攻守共に充実させる事が出来た。この戦いに勝利でき・・・いや、死亡フラグ的な宣言は止めておこう。
この陣容で何処まで戦い抜けられるか・・・ま、世の中、成るようにしか成らないか・・・。
仕事のストレスに因り執筆が進み、週半ばですがUPします。
ややっ!今回はセリフが無いな・・・。
ま、たまにはそ~ゆ~事も有ると言う事で。