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戦闘開始 そのよん

 帝国と相対してて妙に思う事がある。皇国の戦術は『目の前の敵を全力でぶっ叩け!』な感じの直情径行・・・と言うか猪武者的な戦い方なのだが、帝国はどうも違うような気がしてならない。主に戦術面というより戦略面でだ。主力の影に制圧部隊を潜ませる・・・か。どうにも判らんな。

 まぁ良い、今は目の前の敵に集中するべきか。

 運良くと言うか、絶対的と言われる装甲を当てにしてるのか、アーマード級の背後は簡単に取れた。食い破れると良いのだが・・・。


「スカイ!敵さんの推定高度は!?」

「恐らくは1000程度だと思われるな」


 1000か・・・かなりの低空を飛んでやがるな。突っ込み過ぎたら自爆もあり得るか。


「麾下の戦隊に発念!降下角40°で『岩石弾ロックバレッド』!後は敵の位置次第で各員の判断に任せる。引き起こしのタイミングをミスるなよ!以上だ」


 コチラの指示に合わせ、友軍が突入しつつ法撃を開始した。未知の敵だからな。巧く行くと良いのだが。


「良し、コチラも法撃開始!ユーリス、高度を1000毎に読み上げろ!」

「フンッ!了解」

「アイヨッ!」

「り、了解!」


 うぬ・・・ユーリスにトラウマを植え付けちゃったかな・・・返事に必ず吃音きつおんが交るように。


「法撃手!次があるかも知れん、魔力を使い切るなよ?」


 一応警告しておくか。


「誰にモノを言ってやがる!若造は引っ込んでおけ!」

「そうさ!アタシ等がそんなミスをすると思ってんのかぃ!?」」


 そう言い返しつつ、二人の顔は狂気に彩られていく・・・ダメだこいつら・・・。エルフってこんなのばかりか?確かに支配者向きじゃないなぁ・・・。万が一にも国のTOPに立ったとしても、滅亡が早そうだ。

 『岩石弾ロックバレッド』は『雷撃槍サンダースピア』に比べ魔法の連射が利く分、魔法そのモノの移動速度は遅い。それ故に重ね当てとも言うべき魔法弾の重複が可能になる。1艇で30発くらいの『岩石弾ロックバレッド』で4艇合わせれば100を優に超える。土石流以上の破壊力はあるはずだ、これで損害を与えられないと打つ手はないな。

 その間にも『高度7000』『高度6000』と読み上げられて行く。先程よりかは進入角度も緩いし、艇体せんたいも悲鳴をあげていない。限界まで撃てそうだな。


「良~し!ガンガンぶっ放せ!」

「いっいいっ言われなくってもっぜぜぜっ絶好っ調~フヒャッフヒッヒヒッヒィ~~ッ!」

「アハハハハッハァッさ、さささッ最高のききキブンだっねぇっ!ハアッハァ~~ッ!」


 指揮所のメンバー、特にポーラは絶対零度的な冷やかな目で二人を見てたりする・・・これがこのふねの日常的戦闘風景か?似た者同士と言うか何と言うか・・・永く一緒に居ると似て来るのかねぇ・・・。サーシャさんも指揮能力がどうとか以前の問題で、興奮すると人格が破綻するのな・・・。 

 うしてる内にユーリスが『高度3000』と読みあげた。そろそろ頃合いか?


「良し法撃中止!姿勢制御開始!取舵一杯!操帆室、展帆開始!タッキングだ、抜かるなよ!?旋回後に敵の背後を取るぞ!魔方陣は『火球ファイアーボール』に交換だ!」 

「フヒッ!?」

「タッキング、了解です」

「ハハハッ!」


 エルフ二人は完全に脳がイッてしまってるのか、命令を理解する事無く更に魔法を放ち続けてる・・・ダメだこいつら?


「艇長さん、この二人には言葉じゃ無理なのね。止めるにはこれ位ちないとダメなのね」


 と、言いつつ懐から小型の魔導筒を取り出し魔法を発動!どうやら小型の『雷撃槍サンダースピア』の様だ。バチュンッ!と言う生々しい音と共に魔法が身体に吸い込まれる!魔法をザード、サーシャの順で撃ち込んでいく。


「さ、もう一度命令ちてみると良いのね」


 魔導筒を懐に収めつつそう言った。


 ヒィィィィッ!容赦無いのは言葉だけじゃないのね・・・気をつけよう・・・。


「ほ、法撃中止!魔方陣は『火球ファイアーボール』に交換だ!」


 少し間があって返事があった。


「んあ?ここは誰だ?・・・あぁ、オーグルか、今は何処だ?」

「あれ?アタシはどこ?・・・今は誰だぃ?」


 ダメだ・・・バグってやがる!もう一度だ!


「法撃中止っ!魔方陣は『火球ファイアーボール』に交換っ!」

「あ、あぁ、了解・・・だ?」

「あい・・・ょ?」

 

 何とか通じたか?その時スカイから弾着確認があった。


「敵アーマード級に弾着確認!4艇全てに命中!大破3 中破1である」


 タッキング中で船体が傾いてるため、左舷の『魔法投影マジックスクリーン』で敵に与えた損害が確認できる。4艇中3艇は、金属製の装甲が凹み変形し穴が開いている。流石に貫通はしていないみたいだが、内部で岩が砕け凄まじい惨状になってる事だろう。甚大な被害を与えた3艇は、コントロールを失ったのかそのまま森の中へ堕ちていった。残る1艇も、帆柱は全部て折れ機動力を失い、装甲のあちこちが凹み内部にも相当影響を与えてるだろうと推測が出来た。


「よし、このまま敵の背後に着き魔法を連射!蒸し焼きにしてやれ!スカイ!麾下の浮空艇はどうなってる?」

「『スレイプル』『コブラン』共に健在である!『スレイヤー』が見当たらないのである!」


 何処に行った?


「『スレイプル』と『コブラン』に発念!『スレイヤー』は何処どこだ?以上だ」


 何処だ?何処に行った?まさか、引き起こしに失敗したとか・・・?


「『コブラン』より入念!『『スレイヤー』は早々に引き起こして上空に居る!』以上ですわ」


 はぁっ?1艇撃ち漏らしたのは『スレイヤー』が原因か?何やってるんだ?


「『スレイヤー』に発念!貴艇は何をやっているのか!?敵前逃亡か!?と伝えろっ!『スレイプル』と『コブラン』には各自の判断で残敵を始末しろ!近寄りすぎて乗り込まれるなよ?と伝えてくれ」


 一撃で片付けれたかもしれないのに・・・何をやってるんだ?


「『スレイヤー』からの入念はありませんわ」


 スカイからも報告があった。


「『スレイヤー』が戦線を離脱していくである。何かトラブルであるか?」


 逃げやがったのか?


「『スレイヤー』を呼び出し続けろ!」

「了解ですわ」


 まぁ、残敵は1艇のみだ。集中砲火で何とかなるだろう。


「間もなく射程に入るである。距離は約1000である!」


 仕方ない、殲滅が先か。


「よし!法撃開始!」

「フンッ!了解だ」

「アイヨッ!」


 こ、こいつら・・・暴走した事は既に記憶に無いのか・・・?エルフがこの星の支配者になる事は有り得ないな・・・。

 友軍艇も射程に入ったのか法撃を開始した。紫雷や炎球が飛んでいく。いくら重装甲とは言え、3方向からの法撃に耐えられる筈もなく、炎上し堕ちていった。


「良し!『スレイプル』と『コブラン』に発念!本隊に合流する為、主戦場に戻るぞ!」


 別働隊は片付けられたが、本隊はどうなっているのやら。

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