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スノー王国での話し合い

スノー王国の長であるユキネは兵を使って強硬派であったハクトを無理矢理連れてきた。


「なんのつもりだ?」


今まで商人に騙されてスノー王国を困窮させた責任の為に強気に出られなかったユキネが、無理矢理自分を連れて来たことに内心で戸惑いを覚えていた。


「民の困窮は私の招いた失態です。だから今まで貴方の行動に注意に留めておりましたが、事情が変わりました。貴方にはクレスト王国に行ってもらいます」


なんだと?


「それはどういう意味だ?」


言い方に含みがあり、兵を挙げて奪ってこいと言う意味なのか、それとも?


「タマモを人質にクレスト王国へ支援を頼みに行かせました」


!?


この言葉にハクトはキレた。


「ふざけんじゃねーぞ!!!!!!タマモを人質にだと!すぐにやめさせろ!!!!!」


今にも飛び掛かりそうなハクトを騎士達が止めた。


「話は最後まで聞きなさい。貴方の悪い癖ですよ」

「タマモを人質に送ったやつが何を言ってやがる!あいつはユキねぇの一人娘だろうが!!!!!」


聞く耳を持たないハクトに、後ろからタマモがやって来た。


「違うの!ハクトお兄ちゃん聞いて!!!?」


へっ?

魔の抜けた顔になったハクトから力が抜けた。


「だから最後まで話を聞きなさいと言ったでしょう。確かにタマモを人質として差し出して援助を引き出そうとしたのは事実です。しかし向こうのシオン姫殿下に却下されました」

「支援自体を断られたのか?」


まとまった食料がなければ国民の多くに餓死者が出るところまで来ているのだ。手段を選んでいる余裕はないとハクトは覚悟を決めていたのだ。しかし──


「シオン姫殿下は無条件での支援を約束してくれました。自国の領土を削って国境線を下げて緑豊かな土地を譲ってくれるとの事です。更には多くの食糧である小麦を送ってくれると約束してくれました」


「はっ????ユキねぇ、どこの世界に無条件で助けてくれるやつがいるっていうんだよ!そんなやつがいたら俺たちはこんな国に逃れるハメになってないだろうがっ!?」


生まれた土地を追い出され、暮らすのが大変な土地に追いやられた過去にハクトはみんなの声を代弁するかのように吠えた。


「・・・確かにそういった人の方が多いでしょうね。しかしすでにシオン姫殿下はタマモを送り返して、すぐに用意できる小麦を馬車数台分送ってくれました。少ししたら隣のレグルス王国からもっと大量の小麦を送ってくれると言ってくれてます。貴方にはその護衛に向かって欲しいのです」


ユキネはシオンからの手紙をハクトに渡した。

手紙を読んだハクトは震える手でユキネを見上げて涙した。


「こ、これは本当なのか?また騙されているんじゃないだろうか?」

「事実です。タマモのスキルを知っているでしょう?」


タマモのスキル、『真実の眼』は相手の嘘を見抜くことのできるスキルだった。知っている者は限られている。


「本当なの!シオン姫殿下はとてもお優しい方だったの!」


タマモの言葉にハクトはついに膝をついて呟いた。


「なら、本当に?仲間を、家族を身売りに出さなくてもいいのか・・・?」


今回の騙された経緯はユキネだけのせいではない。雪が溶けるのを確認してハクト達が強引に直訴して進めた結果でもあった。ユキネは民の為に家族を差し出す覚悟で、ハクトは自分が汚れ役となり責任を取るつもりだった。


二人とも国を仲間を家族の為に責任を取ろうとしていたのだ。


「不甲斐ない長でごめんなさい。貴方の兄との間に生まれた愛しい娘を差し出すような長で本当にごめんなさい。でも、貴方が盗賊となって他の民から奪うことはないのよ」


ユキネも涙を溜めながらハクトの手を握った。


「よかった・・・本当によかった」

「ハクト、だからこそ貴方の力が必要なの。タマモにも国を守るためにこれからは大事な国の契約の時は同行させます。そして今はシオン姫殿下が運んでくる物資を何者にかに奪われないよう兵を連れて護衛をお願いしたします」


「了解した。この命に代えて任務を遂行して見せます!」


涙を強引に拭いながらハクトは立ち上がるのだった。



その頃シオン達は──


「もふもふに会えるのが楽しみじゃのー!」

「姫殿下、節度ある対応をお願い致しますよ?」


レグルス王国からの支援物資を待っているシオンにセツナが軽くため息を吐いた。


『でも、年相応の反応をする姫殿下も可愛いです♪』


セツナはシオンの様子を見て楽しんでいた。

シオンは知らなかった。

親であるレグルス王国の国王が予想以上の物資を用意していたことに。


支援物資が小麦だけではなかったことに。


自分の送った手紙のせいで、また自分自身が忙しくなることに今はまだ気づいていなかった。








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