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辺境開発公社・悪役令嬢課――断罪されたので国を黒字化します

作者:妙原奇天
舞踏会での断罪から、
物語は泥へ降りる。

レースの裾は塩で白く固まり、
靴はひび割れる。

いいでしょう。
派手な救国は騎士に譲って、
わたくしは一次産業で王国を救います。

干満を読み、
風の向きを手帳に記し、
鏡の代わりに水面を覗く。

塩田は、
日射・風・塩分という三拍子の楽器。
正しく鳴らせば、
王都の台所は音を立てて変わる。

用水は、
地図の線ではなく暮らしの動脈。
魔物の回遊道と交わらない経路を、
夜明け前に石と杭で確かめる。

行商ギルド、騎士団、反公社の若者たち。
交渉は“勝つ負ける”ではなく、
“流れるか滞るか”。

KPIは嘘をつかない。
塩の産出が増え、
治安指数が上がり、
住民満足が+0.3された夜、
焚き火の灯りの向こうで、
寡黙な用水技師が小さく頷いた。

それが恋の始まりだなんて、
誰も気づかない。
わたくし以外は。

王都は笑う。
「辺境が国を食わせる? 夢を見るな」

夢ではない。
黒字は現実にしか宿らない。

断罪の印は、
やがて品質保証の印に変わる。
悪役令嬢課は本日も開庁。
数字と未来で、
あなたの偏見を上書きします。
番外編
2025/09/27 17:45
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