一刻の猶予も無いでござる!
【風魔光太郎視点】
やれやれ、ホースメン騎馬国家とやらもエンパイア帝国とやらも簡単に魔族に騙されて、クラッシュとキングクレスト王国の責任にして、軍勢を差し向けるとは、これだから人の話を直ぐにそれが真実だと決めて、自分の目で判断しない奴らは嫌いなのでござるよ。
馬鹿な統治者は、どうなろうと知ったことでは無いがそれに巻き込まれる国民たちは不憫でござるな。
やれやれ、こんなことはしたく無いでござるが両国の目を新たな脅威に目を向けさせるのが良いでござるか。
新たな脅威は……。
「タマにマミィ!」
「御主人様〜何ニャンね〜?」
「主よ。私に何か御用か?」
ここは、拙者の可愛い忍獣たちに活躍してもらうでござるよ。
「ホースメン騎馬国家とエンパイア帝国がキングクレスト王国に向けて進軍開始したようでござる。タマとマミィには、双方の軍勢の前に姿を現し、新たな国家『風魔忍軍』として、暴れて来てもらいたいのでござるよ」
「了解ニャンね〜。タマはホースメン騎馬国家の方を荒らしてくるからマミィは、エンパイア帝国の方を蹴散らしてほしいニャン」
「ふむ。承知した」
「待て待て待てーい!何の脈絡もなくいきなりなんだわ!何で、五大国同盟を結んでるはずのホースメン騎馬国家とエンパイア帝国が攻めてくるんだよ!その説明は!色々と飛ばしすぎなんだわ!」
拙者の命を受けて動き出そうとするタマとマミィを止めるクラッシュ。
ふむ。
確かに何の説明もしていなかったでござるな。
「簡単に説明すると魔王軍四天王の1人魅惑のマリアンヌとやらが裏で暗躍して、キングクレスト王国の命を受けたお主に使者を斬られたその報復の兵を興したとのことでござる」
拙者の説明に口をポカンと空けて固まるクラッシュ。
「あの私からも良いでしょうかコウタロウ様?このようなことを言うのは、大変失礼かもしれませんが私の国の王がそんな馬鹿な行動をするとは思えないのです」
拙者に対して態度を軟化しただけでなく忠誠を誓った元エンパイア帝国護衛部隊の隊長のシーラーがはっきりと否定する。
それについても説明せねばならぬでござるな。
「ふむ。どうもシドと名乗る者が全身血だらけになりながらも命を賭して、エンパイア帝国の王に自分達に何が起こったかを伝え、キングクレスト王国に兵を差し向けるように仕向けたようでござる」
「私のフリをした何者かですって!陛下ともあろう者が私の偽物すら見抜けないなんて!エンパイア帝国を捨てて正解でしたわ!えぇ!もう本当に!」
拙者の言葉を聞いて、シーラーが拳を握り、怒髪天のように怒る。
私のフリをした偽物でござるか……成程シーラーがシドなのでござるか。
にしても男を女に変える薬が人間国に蔓延したら人間たちは子孫を残せなくなるのでは無いでござるか?
まさか、魔王軍の狙いはそこなのでは無いでござるか?
「失礼ながらウチも陛下が簡単に軍勢を差し向けるとは思われへん。ホンマにウチが元いた国がキングクレスト王国に軍勢を差し向けてるん?」
拙者の言葉が信じられなかったのか元ホースメン騎馬国家のルミスが疑問を投げかける。
ふむ。
その事についてもルミスには知る権利があるでござるな。
「どうもバルガスと名乗る男がホースメン騎馬国家の王に事の次第を説明し、それを間に受け軍勢を差し向けるに至ったようでござる」
「ははーん。ウチのフリをして、やなんて。やってくれるやん。ハァ。それにしてもウチの偽物を見抜けんやなんて陛下にはガッカリや。ホースメン騎馬国家を捨てて、コウタロウの女になるって決めて正解や!これで、断言できるわ!」
拙者言葉を聞いたルミスは自分が元いた国に対して、呆れているようだった。
それにしてもお主もそうでござるか……魔王軍案外と人類滅亡計画進んでいるのではござらぬか?
「いや!待て待て待て!ボスは、どうやってその情報を?」
まぁクラッシュの疑問は最もでござるな。
「拙者の忍法『耳すましの術』は全国どこでも声に出して発したらこの耳に届くのでござるよ。それも必要なものだけを選ぶこともできるという優れものでござる」
拙者の言葉に再び口をポカンと空けて固まってしまうクラッシュ。
「ハハ。コウタロウ様の前では誰も隠し事できねぇってわけだ。俺も昔ならコウタロウ様がキングクレスト王国の陰に居たら良かったと思うところだが。今は、どうやって民が巻き込まれる戦を回避するかだな。勇者様、固まってる場合か?」
元キングクレスト王国の諜報部隊『影』として生きてきたアオバがクラッシュの肩を揺するが一向にこちらの世界に帰ってくることはなく、依然として口をポカンと空けたままの状態だ。
「成程ねぇ。要は光太郎ちゃんはさ。ホースメン騎馬国家とエンパイア帝国とキングクレスト王国の戦争を止めるために仮想敵国を作ろうってわけね。それが今言った『風魔忍軍』と言う国ってことね。大いに賛成ね。タマもマミィも光太郎ちゃんの命令ならやりすぎることは無いでしょうし。簡単に乗せられて戦に駆り出されるような馬鹿にはお仕置きも必要でしょうし。パインちゃんも良いわよね?」
「うむ。マリアンヌが関わっているなら厄介だ。先ずは、あやつの思い通りにさせないことが必須」
流石、精霊のウンディーネさんは拙者の言いたいことを理解してくれたようでござるな。
それにしてもパイン殿まで。
まぁ『風魔忍軍』は国ではなく組織みたいなものでござるが。
了解は得られたようでござるな。
「タマ。マミィ。任せたでござるよ」
「了解ニャン!」
「承知!」
こうして、拙者は進軍してくる2国に対して、タマとマミィを派遣するのであった。
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
少しでも楽しい・面白い・続きが見たいと思って頂けましたら、下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から評価してくださいますと執筆活動の励みとなります。
第90話は、2月13日の金曜日のお昼の12時を予定しています。
それでは、次回もお楽しみに〜




