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羨望の目でござる!

【???視点】


 俺は今、何を見ていたんだ?

 老魔法師に仕える小間使いのゴブリンが少し休みましょうと告げた後、この老魔法師は何を思ったかいきなり木に風魔法を打ち込んだ。

 極大の風魔法を自在に扱える魔法師は少ないと聞く。

 それを木に?

 何を考えていると思ったのも束の間、木が悲鳴を上げる。

 あの木、魔物だったのか!?

 しかも色がいきなり毒々しい色に、それもとてつもない殺気がこちらに飛んできている!

 うっ。

 このとてつもない殺気は要人の護衛を任されてきた俺でも立ってるのがやっとだ。

 それを意にも介さず続けて雷魔法で追撃?

 それも極大の威力の雷魔法で?

 まぁ、そんなの直撃したら木だし燃えるよな。

 な!?

 一層、強い殺気が!?

 これは、うぐっ。

 流石にここで気を失ったら死ぬ。

 何とか踏ん張らねば。

 えっ!?

 極大の炎魔法?

 それが使えるなら最初から燃やせばよかったのでは?

 もしかして、魔物が苦しむ姿を見ていたかったのか!

 なんと、素晴らしい!

 この御方こそ俺が仕える主君だ!

 この身を捧げるに値する主君だ!

 そこで俺は自分の身体を見る。

 あ!

 今の俺、女だったわ。

 しかも、なんかお腹の辺りがキュンキュンしてるんだよな。

 あ!

 これが、いつか聞いたことのあるこの人の子を産みたいっていう感情か!

 俺は、いつのまにか老魔法師に臣下の礼を取り、名前を名乗っていた。


「俺。わ、私は、エンパイア帝国護衛部隊の隊長を務めていました」


 そこまで名乗って考える。

 今の俺は女だ。

 男の時の名前は捨てるべきだよな。

 俺の名は、シド。

 どちらかは残しておきたいな。

 とするとシーラーかドーラー。

 あ、名前のセンスは気にしないでくれ。

 俺は生粋のソーラーなんだ。

 何でも濃いめのソースをかけるからな。

 そこからーラを後ろに付けただけだ。

 うん、決めた。


「私の名はシーラーです。今後は、老魔法師様に忠誠を捧げます!あの、身も心も。なんちゃって」


 俺があざとらしく女の武器を使う日が来るなんてな。

 いや、今となっては女になってでも生きていたから老魔法師様と出会えたんだ。

 そのことを喜ぶべきだ。


「ふむ。しかしお主、今何故自己紹介を?いや、そもそも拙者名乗っていなかったでござるか。これは失礼したでござる。拙者の名は風魔光太郎でござる」


 コウタロウ様か。

 俺。

 いや私が女になって仕える御方。

 あぁ、今からコウタロウ様との生活が楽しみだ。

 そうすれば、コウタロウ様の作る村に貢献して、御褒美にコウタロウ様の種を貰えるかもしれない。

 人類にとってもコウタロウ様のような強い殿方との子を多く残すことは悪い話ではない。

 そう、これは女として生まれ変わった俺にとって義務なのだ。


【???視点】


 休憩か。

 主人である老魔法師の心配をする辺り、やはり知能のあるゴブリンは厄介だな。

 いくらそれが老魔法師の小間使いだとしても。

 いっそのこと、ここで殺しておくか。

 な!?

 無詠唱で風の極大魔法だと!?

 元は遊牧民である我らホースメンの者も風魔法の使い手が多いがこれほどの風魔法の使い手は居ない。

 これだけの風魔法の使い手が居れば、弓騎兵の放つ矢も馬の機動力も段違いな性能になる。

 この老魔法師、なんとかして我らの国に迎え入れたいな。

 じゃなくて、何故いきなり木に風魔法を?

 うぐっ。

 何だこの溢れんばかりの殺気は!?

 要人警護で数々の暗殺者を返り討ちにしてきた俺が立っているのがやっとだと!?

 それをゴブリンの小間使いが平然と耐えている?

 それどころかこの殺気に当てられながら雷の極大魔法だと!?

 それも無詠唱で?

 この老魔法師は一体何者だ?

 これだけの魔法師が居て、我が国に情報が流れてこないなど普通はありえぬ。

 我が国の諜報部隊は何をしていた!

 このことを一刻も早く王に伝えねば。

 殺気のボルテージが上昇しただと!?

 うぐぐっ。

 ぐはっ。

 立っていられないほどだ。

 な!?

 炎の極大魔法!?

 何故、それが使えるのに木を一気に燃やさないのだ!

 しかもこれだけの殺気を向けてくる相手を前に弄んだのか。

 ハハッ。

 こりゃ敵わねぇ。

 この老魔法師には絶対に逆らっちゃいけねぇ。

 一歩遅かった。

 俺の横では、エンパイア帝国のへっぽこ兵士が全員で跪いて、目の前の老魔法師に忠誠を誓っていた。

 俺もすぐに忠誠を示さねぇと。

 しかもこの帝国のへっぽこ兵士、咄嗟に名前も変えやがった。

 これは女としてもこの老魔法師様に仕える気満々だな。

 その気持ちは俺にもわかる。

 むしろ、3つの属性の極大魔法を無詠唱で使える相手との子なら人類として期待してしまう。

 だが俺の名はだいぶ蛮族らしい名前なんだよな。

 バルガスだからな。

 これを女っぽくするなんて、どうしたら良い。

 ルス……ルアス……ルイス……ルミスならどうだ?

 良いかもしれない。


「俺。ウチは、ホースメン騎馬国家のルミスや。コウタロウ様、ウチも忠誠を誓うで。一緒に、村発展させていこうや。これから、宜しゅう頼むで」


 なんか、女っぽくするのってだいぶ疲れるんだな。

 こんなことなら、男勝りな感じの女性にするべきだったか?

 いや、今更引き返せねぇ。

 俺は、ウチはこれでいくで!


【風魔光太郎視点】


 ふぅ〜、良い汗かいたでござる。

 それにしても、あんな弱い木如きに殺されるとは、クラッシュはまだまだのようでござるな。

 これから一気に鍛えないと……後ろを振り返った拙者に跪いているエンパイア帝国の騎士とホースメン騎馬国家の兵士……ど、どうしたのでござる!?

 まるで拙者のことを羨望の目で見つめて……照れるでござるよ。

 この後、何故か二つの国の兵士は、自国を捨てて拙者の民になる事を誓って、その時拙者が彼らに名を名乗っていなかった事に気付いて、慌てて自己紹介をしたでござる。

 まぁ、協力的になったのなら良かったでござるよな?

 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

 少しでも楽しい・面白い・続きが見たいと思って頂けましたら、下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から評価してくださいますと執筆活動の励みとなります。

 第87話は、2月6日の金曜日のお昼の12時を予定しています。

 それでは、次回もお楽しみに〜

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