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ゴブリンの巣も残りわずかでござる!

【風魔光太郎視点】


「病み上がりで、本当に付いてくるのでござるか?」


「アタイの心配なら要らないさ。こう見えても、キングクレスト王国で騎士団長の1人を務めていたのでね。それに勇者の力が無くなった以上、坊ちゃんのことを側で守る存在が居るだろうからねぇ。それはアタイの役目さ。いくら気の合うアンタでも坊ちゃんの隣に立つ権利は奪わせないよ」


「奪うつもりなど無いでござるが。やれやれ、できるかわからぬでござるが。光遁『癒しの術』でござる!」


 風魔光太郎が見様見真似で唱えたヒールのようなものは、ミランダのありとあらゆる傷を身体から消し去った。


「こりゃ、とんでもないねぇ。こんな高位な回復魔法まで簡単に使いこなせるゴブリンが存在してるとはねぇ。それも全く疲れもせずに。こりゃとんでもない奴に坊ちゃんは拾われたみたいだね。ありがとね。坊ちゃんのこと、守ってくれて、さ」


「気にする必要はないでござるよ。それよりも戦場に身を置けば、人生は案外短いものでござるよ。伝えられるうちにその想い伝えておいてやることをお勧めするでござる」


「アンタ、アタイの想いまで理解してるってのかい?こりゃ、敵わないねぇ。あぁ、近いうちに坊ちゃんに打ち明けるつもりさ。でも、今はまだ。坊ちゃん隣で愛する人を守る1人の女戦士として居たいのさ」


「そういうもんでござるか」


「女心は複雑なのさ」


 そこに近付いてくるクラッシュ。


「ミランダ姐さん!?」


 身体中から傷の消えたミランダを見て驚くクラッシュ。


「ボスゴブリン、アンタまた何かしてくれたのか?マジかよ!最高じゃねぇか!」


 別に風魔光太郎は何も答えて居ないのだが勝手に喜ぶクラッシュ。


「じゃ、ミランダ姉ちゃんも僕が安全な場所に」


「そのことなんだけどね。アタイはやっぱり坊ちゃんの側にいることにしたよ」


「そ、それホント?でも、やっぱり危ないよ。せっかく、あれだけ酷かった戦傷すらも綺麗に消えて、ますます可愛くなったミランダ姐さんを連れていくなんて」


 おいおい、クラッシュはミランダ殿と話す時だけまるで子供のような口調になる時があるでござるな。


「か、可愛いだなんて、坊ちゃんでもアタイを揶揄うことは、ゆ、許さないよ」


 そうであったでござる。

 お互いが両想いであることを知ってるのは、拙者だけでござった。


「か、揶揄ってないよ。僕は、できればミランダ姉ちゃんには、僕の帰り。んぐぐっ」


「その先は聞きたく無いねぇ。アタイは戦場でこそ輝く女なのさ。大人しく、愛する。ゴホン。坊ちゃんの帰りを待つ女になるつもりはないよ」


 いや、もうそこまで言ったのなら告白すれば良いでござろうに。

 何というか不器用な2人でござるな。

 恋愛経験のない拙者ですら今告白する時だと理解できるぐらいでござるのに。


「ミランダ姉ちゃんがそこまで言うなら僕はもう何も言わないよ」


「そういう坊ちゃんがアタイは好きさ」


「もう、ミランダ姉ちゃんこそ、僕のことを揶揄わないでよ。もう子供じゃないんだから」


 いや子供でござる!

 今のクラッシュは、間違いなくミランダに甘える子供でござるよ!

 何故、拙者が心の中でこんだけツッコミを入れなければならないのでござるか。


「風魔様、話がまとまったのなら次の巣へと案内させていただきます。ここよりそう遠くないところから、雌の匂い。ゴホン。生存者の匂いがします。急いだ方が宜しいかと」


「何故、それを先に言わないでござるか!直ぐに向かうゆえ、案内するでござるよ!」


「はっ!」


 甘酸っぱいメロドラマのようなものを見せられている間に、新たなゴブリンの魔の手に晒されそうな人が居たようでござる。


「ここです風魔様」


「では、行ってくるでござるよ」


 洞窟内へと足を踏み入れた時、微かにピリッと静電気のようなものが身体中に走った気がしたでござるが、何ともないでござるな。


「嘘!嘘!嘘!何で!何で!何で!魔の侵入を防ぐ結界が効いてないの!こうなったらありったけの聖魔法を喰らわせるのよ皆!セイントビーム!」


「待つでござるよ。拙者は、お主たちを助けに来ただけであってでござるな」


「そう言って、私たちを手篭めにするつもりでしょ。そんな見え透いた罠に引っかからないんだから。セイントビーム!」


 聖魔法と光魔法に長けているということは、彼女たちが回復術師でござろうか。

 やむを得ないでござるな。

 少し、気絶してもらうとするでござる。


「闇遁『影縫い縛り』の術でござる!」


「一体何を?身体が動かない。もう嫌!もう穢されるのは嫌ぁぁぁぁ!!!戦女神様、私たちをお救いくださいませ!」


「ハァ、だから拙者は、何もしないでござるよ。先ずは、その身体のヌメリを綺麗に落としてくるでござるよ。忍法『風呂』の術でござる!」


 そう前まで、幾つもの拙者がイメージした遁術を組み合わせて、風呂を作っていたでござるがどうやら複数掛け合わせるような遁術は、体術と同じような扱いらしく忍法と唱えれば、このように一瞬で構築することができるようになったのでござる。

 同じように料理をする際も忍法『システムキッチン』の術と唱えれば、このように必要なものが準備された状態で、目の前に出現するのでござる。

 そして、拙者の目の前では、拙者の料理に祈りを捧げる彼女たちが。


「美味い。こんな美味しいの食べたことない。あぁ戦女神様の恵みに感謝します」


「そう言えば、拙者の村でシスターをしてくれる者を3食昼付きで探しているでござるが」


「立候補します!魔物にも広く戦女神様の素晴らしさを説かなければ」


「本音は何でござるか?」


「風呂にこんな美味しいご飯が3食もついてくるのはずるいです!お風呂、すごく気持ちよかったんですもの」


 本当に女性は風呂が好きでござるな。

 まぁ、拙者はもっと大好きなのでござるが。

 ここは、譲らぬでござるよ。

 と、まぁこうしてまた新たな村人をゲットしたでござるよ。

 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

 少しでも楽しい・面白い・続きが見たいと思って頂けましたら、下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から評価してくださいますと執筆活動の励みとなります。

 第79話は、1月19日の月曜日のお昼の12時を予定しています。

 それでは、次回もお楽しみに〜

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