解呪と策謀でござる!
【シスターアンナ視点】
な、何が起こったの!?
私の呪いが解呪された?
一体誰が?
不味いわ。
こんなの神の予定に無かったもの。
ムノン陛下誕生を邪魔する者の処理、急がないといけないかもね。
それにしても、あのゴブリンと遭遇してから、神の予定が大幅に狂っているわ。
ムノン陛下を誕生させるため、早々に勇者の加護とやらを奪うとしましょうか。
「アンナ?何処かに行くの?」
「えぇ、久々に古巣へ。勇者がゴブリンと結託してることを伝えに、ね」
「成程〜。ムノン様が王位を継ぐために勇者という称号は邪魔だしね〜。行ってらっしゃい〜」
「えぇ。少し留守にするわね」
相変わらず辛気臭い教会だこと。
ここが私への当て付けで、ムノン様を勇者認定せずあんな無能を勇者認定なんてするから。
その無能、私が断罪してあげましょう。
ふふっ。
「アンナ、破門になったお前が今更何のようじゃ?」
「少し面白い話を聞いたものだから猊下にお伝えしようと思ってね」
「要らん!とっとと帰るが良い!何度言われようとも教会が選定した勇者はクラッシュであり、ムノンではない!」
こういうところも無能なのよね。
教会という大きな組織を自由自在に使えるのに馬鹿の一つ覚えみたいに、まるで用意されたテンプレートしか話さないんだもの。
だからね猊下。
貴方には今から地獄を見てもらうことにするわ。
「その猊下が認定した勇者なのだけれど今は魔物と行動を共にしてるって噂を御存知なのかしら?まさか教会が認定した勇者が亜人じゃなくて、魔物と行動を共にしてるなんて、知れ渡ったらどうするのかしら?」
「シスターアンナ!?貴様、ワシを脅すのか?」
「そんなつもりはありませんわ。だって、私は敬虔なる神の信徒ですもの」
「どの口が。お前の言う神は、ムノンのことであろうが!」
「あら。ムノン陛下のことを呼び捨てにするだなんて、これだから邪教徒は。それよりも良いのかしら?教会が認めた勇者は、魔物と一緒に動いてるって、噂を広めてしまっても?」
「な!?ぐぬぬ。何が望みだ」
「ふふっ。これでようやくお話ができますわね。簡単ですわ。勇者の認定を取り消してください。今は、それだけで構いませんわ。だって、私の親愛なる神は、己の力で勇者としての力を手にするんですもの」
「やはりそれが狙いか。この邪教徒めが」
「だーかーら、邪教徒に邪教徒呼ばわりされるだなんて心外ですわ。初代勇者と婚姻しただけの能無し女を女神だなどと崇め奉る無能な貴方たちに、ね」
「ぐっ」
「それで、神であるムノン陛下と違い無能なクラッシュの勇者認定は取り消してくださるのかしら?」
「取り消そう。しかし、我ら教会がムノンを勇者として認めることは絶対にない!」
「まぁ、今はそれで充分よ。これで、勇者の力が知らず知らずのうちに無くなったことを知らない無能なクラッシュ君は、無能な民のため自分には勇者の力があると信じて、己の命を散らすでしょうから。ふふっ。アーハッハッハ」
「狂った邪教徒が!2度とここへ顔を出すでない!」
「あらあら、嫌われてしまったものね。まぁ、邪教徒に嫌われたところで、なーんにも痛くないのだけれど。また、必要になったら利用させてもらいにくるわ。勿論、無能な猊下に拒否権はありませんことよ」
「うぐぐっ」
まるで一仕事を終えたとばかりに高笑いを浮かべて、シスターアンナはムノンの元へ転移魔法を使って、戻っていくのだった。
【風魔光太郎視点】
!?
明らかにおかしいでござる。
勇者クラッシュの身に纏う空気というかオーラというか雰囲気というか何と言えば良いかわからぬでござるが、何か大事なものが消えてしまったかのような、そんな気がするでござる。
「忍法、鑑定眼の術でござる!」
「なっ!?いきなり俺のことを鑑定してどうしたんだよ。ボスゴブリンの旦那」
「やはりでござるか。クラッシュよお主、勇者の力が失われているでござるよ。何か神の意に背くようなことでもしたのでござるか?」
「なっ!?嘘だろ?だって、俺は略奪に手を染めて己の力を過信して、とてつもない化け物に弄ばれて殺されて、戦女神様に、その時に2度と人の道は踏み外さないと誓った。決して、神の意に背くようなこと」
「そりゃあ。坊ちゃんは、道を踏み外してないと思っていても魔物と行動を共にしてることを戦女神様がどう思うかだねぇ」
「あっ!確かにこの状況、俺が人類の敵に回ったと思われても仕方ねぇのか」
『そうではありません。そうではないのです。勇者クラッシュ。もし、私が本当にそう認識していたらその命を躊躇せず刈り取っています。教会が貴方から勇者としての力を取り上げたのです。今は力を付けなさい。そして、己の力で勇者の力を取り戻すのです。世界を頼みましたよ。私が認めし勇者、クラッシュよ』
「今、頭で戦女神様の声が。どうやら俺は教会によって、勇者の力を取り上げられたらしい」
「やっぱりねぇ。アタイに呪いをかけるような真似をした女が二の矢を準備していない訳が無かったのさ」
「クソッあのイカれ女が!教会を脅したのか。でもどうやって?」
「それこそ、アタイの眼を通してかもしれないねぇ。アタイには何も映さない眼でもあの女には鮮明に見えていたのかもしれないからねぇ」
「まぁ、よくわからんでござるが要は単純な話でござろう。勇者クラッシュ、いやクラッシュ殿を何者にも負けないように育てれば良いだけなのでござるからな」
「アッハッハッハ。確かにそうさね。やっぱり、アンタは魔物のくせにアタイと気が合うよ。勿論、アタイも坊ちゃんのため精一杯協力するさ」
「ボスゴブリン。ミランダ姐さん。こんな弱々しい俺だが宜しく頼む!」
こうして拙者は、まだまだクラッシュ殿のことを鍛えることになったのでござった。
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第78話は、1月16日の金曜日のお昼の12時を予定しています。
それでは、次回もお楽しみに〜




