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心の声が聞こえる術でござる!

【風魔光太郎視点】


 やれやれ、洞窟からミランダさんを無事に連れ出したかと思えば、この勇者と来たら、本当に世話が焼けるでござるよ。

 ん?

 お前は何で、隣の大柄な女性が名乗ってないのに名前を知ってるかでござるか?

 そんなの、当然勇者クラッシュの心の中を覗いたからでござるよ。

 忍法『心眼の術』を使ってでござるが。


 説明しよう!

 忍法『心眼の術』とは、人の心を明らかにする術だ。

 読者の皆さんも一度は、考えたことが無いだろうか?

 もしも、人の心を読めたならと。

 それを可能にしたのが忍法『心眼の術』なのだ!

 では、続きをどうぞ。


 何やら拙者の意識が乗っ取られた気がするでござるが気のせいでござろう。

 それにしてもまさかこのミランダさんが勇者の国の騎士団長を務める程の腕前を持つ女性だったとは、通りであの手は納得でござる。

 血の滲む努力をして、愛する人の隣にいようとした健気でござるなぁ。

 この健気な気持ち、どうにか報われてほしいでござるが。

 そうなると拙者がキングクレスト王国を滅ぼすしか無いでござるか?

 いやいや、百歩譲ってクラッシュの父親は、ミランダさんの背を押した形に見えなくも無いでござるが嘘の情報を持ってきたとかいうクラッシュの弟と眼が見えなくなる呪いをかけてゴブリンの苗床となるように仕向けた魔導士の女は、最低最悪の極悪人でござるよ。

 いつか、会ったら拙者が両方ともその首ポキリと折ってやるでござるよ。


【何処かの街の宿】


「ハックション!うぅ。寒いぜ」


「寒いなら私が身体で温めてあげようかムノン?」


「おっ。そりゃあ嬉しいお誘いだねぇ。今日は、ミリエルに優しくリードして貰って包み込まれるのも一興だな」


 ムノンたちは宿をふたつ取るのが恒例で、片方はムノンがその日楽しむ女性をもう片方は残りの2人がしっかりと身体を休められるようにという配慮であった。


「チッ。またしてもあのゴブリンに天罰は降らなかったようですね。せっかく、ムノン様に従わないクソ女を媒介に間接的に忌々しいゴブリンどもを使役してあげましたのに」


「ってかさ。アイツ、マジでゴブリンなのって感じ〜。陰陽の技って、陰陽師が使う技じゃん。それすら使いこなしてたし〜。アンナがムノン様のために排除しようとするのはわからなくもないって感じっしょ」


「えぇ。神の予定では、天罰が降るはずなのですが。全く、神の裁きをもろともしない愚かな魔物のようです。にしても国王陛下には良い報告ができます。これで、あのパッとしない勇者が手柄を立てようとも名実共にムノン様が次期国王となるでしょう。よりにもよって勇者がゴブリンと共闘関係なんて話が王国中に知れ渡りでもすれば、ねぇ」


「ホント、アンナって腹黒だよねぇ〜。まぁ、ウチもムノン様以外に仕えるとかごめんだし。アイツ、ムノン様の兄の癖に対外的には威張ってる癖にナヨナヨしてて、ムカついてたのよね〜。だからさアンナ。この機会にさあのムカつくゴブリンごと殺しちゃおうよ。そっちの方がもうムノン様に対抗できるやつ居なくなるっしょ」


「シーナ、私も大概だと思っていましたが貴方も大概ですね。その提案、飲みましょう。ムノン陛下のために」


「じゃあ、そん時までに優秀なウチらであのムカつくゴブリンの処理方法を考えなきゃね」


「えぇ」


【勇者クラッシュ視点】


 ミランダ姐さんは、隠してるつもりだろうけど、ミランダ姐さんのことをこんな目に遭わせられる連中は、そんなに居ない。

 考えられる1つは、戦での花形と言われる騎士団に対抗意識を燃やしている魔術師団。

 だが現当主のアムール老は、ミランダ姐さんと意見で対立はしても戦では合わせられる万能型の将軍だ。

 まず、除外して構わない。

 ミランダ姐さんの眼が呪いの類いだと考えた時、もう1人真っ先に俺の頭に浮かんだ人がいる。

 教会に所属していたシスターアンナ。

 弟に付き従い教会を自ら脱退してまで冒険者になったイカれた女だ。

 あの女なら弟のために俺の肩を持ちそうな連中を排除しようと動いても何らおかしく無い。

 そして、そう考えた時、俺の頭には恐ろしいシスターアンナの計画が浮かび上がってきた。

 そもそも、ミランダ姐さんを利用してゴブリンの大軍勢を形成したのでは無いかという考えだ。

 普通、あれだけの群れを築いたゴブリンキングは、他のゴブリンキングと群れる事はない。

 だが、そこに自分たちの生存を脅かす存在が現れたとしたら?

 当初、それがボスゴブリンのことだと思ったけど、あの場所の近くに俺が居たことを斥候のシーナなら掴んでいたかもしれない。

 斥候のシーナもキングクレスト王国の諜報機関に所属していながら弟に付き従い、職を辞してまで付いて行ったイかれた女の1人だ。

 全てがミランダ姐さんを利用して俺を亡き者にする計画だっとしたら、ミランダ姐さんは勇者に選ばれてしまった俺なんかのせいで、あんな目に。

 これが真実かはわからない。

 でも、弟の供回りのイかれた女どもならやりそうだと思う。

 アイツらの俺を見る目は侮蔑の対象としてだった。

 そんな俺が勇者に選ばれたなんてことアイツらが納得するわけがない。

 そして、イかれた女と言えば、もう1人魔女ミリエラ、魔法の行く末を担うとアムール老に期待され魔法の英才教育を施された天才児も弟に付き従い、職を辞した。

 それも魔導士団、副団長の職を。

 その他にも弟に協力してるのはいる。

 跡目争いなんて降らない。

 俺は勇者に選ばれた時、ただ純粋にこの力で人々を守れると喜んだ。

 でもそんな俺も力に溺れて、勇者特権なんてものを好き勝手解釈して、略奪を働いた。

 あの時、死んでなければ、俺はミランダ姐さんが最も許せない卑怯な男となってただろう。


「ふむ。こんな感じでござるが。光遁『解呪の術』でござる!」


「アンタ、何を?って、本当にゴブリンだったんだねぇ」


「ミランダ姐さん、見えるのか?」


「あぁ、よく見えるよ坊ちゃんの泣き顔がね」


 ハァ!?

 いやいや、マジかよボスゴブリン。

 ゴブリンが聖魔法、それも呪いの類いを消す魔法を使うなんて。

 でも今は感謝するぜ。

 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

 少しでも楽しい・面白い・続きが見たいと思って頂けましたら、下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から評価してくださいますと執筆活動の励みとなります。

 第77話は、1月14日の水曜日のお昼の12時を予定しています。

 それでは、次回もお楽しみに〜

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