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さて、続いての巣はでござる!

【ナツ視点】


 コウタロウ様へのプロポーズは受け入れてもらえなかった。

 でも、コウタロウ様が作る村の一員にはアタシたち全員を迎え入れてもらうことには成功した。

 この世界では、貴族しか入れない風呂。

 それになんと言っても、あんなに美味しい料理が自分で作れるようになるかもしれないという料理教室。

 新生活にアタシたちはウキウキしていた。

 えっ?

 ゴブリンに蹂躙されるのは良いのかって?

 コウタロウ様をゴブリンなど低脳と一緒にするんじゃないよ!

 コウタロウ様は、神の悪戯で醜いゴブリンへと姿を変えられてしまった被害者なのさ!

 アタシたちは、身支度を済ませて洞窟の外へ出る。

 そこで待っていたのは、勇者と2匹のゴブリンだった。


【風魔光太郎視点】


 新しい村人となったナツたちを伴い洞窟の外へと出た風魔光太郎。


「お待ちしておりました風魔様」


「皆、変わりはなかったでござるか?」


「はっ!」


「今回は勇者クラッシュも」


「はいはい。ここに居ますよ」


「このへっぽこ勇者が!テメェ、風魔様になんて口の利き方してんだ?締めんぞオラ!」


「イテェ!イテェってゴブリンパイセン!悪かった!悪かったから!」


 ゴブリン弟が勇者クラッシュを締める、これも最早今のパーティーでは、見慣れた光景でござる。


「あのコウタロウ様?勇者様と御一緒されてるのですか?」


 ナツが拙者に問いかける。


「うむ。まぁ、まだまだ雑魚すぎるのでゲストでござるが」


「いや、オメェがおかしいだけなんだわ!普通、あのクラスの高位魔法を連発してたら魔力切れで倒れんだわ!」


「風魔様のことをお前呼ばわりするとは、良い度胸じゃねぇか?まだまだ締められ足りねぇようだなぁ!オラァ!」


「イテェって!イテェから!マジでどつくなって言ってんだろうが!このスパルタゴブリンが!」


「プッ」


 横を見ればナツたちがこの光景を見て、腹を抱えて笑い転げていた。


「ゴブリン弟よ。それぐらいにしておいてやるでござる」


「承知しやした。テメェも頭を下げろオラァ!」


「悪かった」


「謝るぐらいなら拙者のことをお前呼ばわりしないことでござるよ。では、ナツ殿たちには、ここからそう遠く離れていない拙者が現在仮住まいしてるところに向かって欲しいでござる。案内は、クラッシュに任せるでござる」


 風魔光太郎は勇者クラッシュに釘を刺すとナツたちに向き直り、説明を始め、案内を勇者クラッシュに任せた。


「はいはい、わかってますよ!」


「はいは一回で良い。お主が風魔様に許されてるのは、慈悲によるものだ。本来ならば」


「わかってるってゴブリンパイセン。感謝してる。でも言葉遣いは治らねぇんだよ」


「フン。ならしっかりと役に立つのだな」


 勇者クラッシュがナツたちを連れて、この場を後にした。


「風魔様、では次に向かいますか?次もここからそう遠く離れておりませぬ」


「うむ。案内は任せたでござるよゴブリン兄よ」


「はっ!お任せを!」


 歩き出そうとしたゴブリン兄。

 しかし、ゴブリン弟は、勇者クラッシュの方向を向いて一言つぶやいた。


「へぇ。アイツ、風魔様に感謝はしてんのか」


「どうした弟よ?」


「いや、なんでもねぇ。兄貴、俺たち風魔様と出会えて幸せ者だな」


「弟よ。今更、何を言うのだ。我らの主。我らの兄として、共にずっと忠を尽くして行こうぞ」


「おぅ」


「お主たち、どうしたでござる?案内はまだでござるか?」


 ゴブリン弟の方に歩み寄り案内を中断していたゴブリン兄に向かって風魔光太郎が言った。


「申し訳ございませぬ!今、案内を再開致す!」


 こうして、暫く歩くこと数十分、ゴブリン兄が振り向き風魔光太郎に前の洞窟を指し示す。


「この洞窟です。今回は我々も御一緒に」


「必要ないでござる」


「いえ!この洞窟からは魔導士の匂いがします。流石に風魔様にもしものことがあっては」


「大丈夫でござる!お主たちは、また外の警戒を頼むでござるよ」


「しかし」


「心配してくれるのは嬉しいでござるが、驚かせたくはない、わかって欲しいでござるよ」


「かしこまりました」


 風魔光太郎は慎重に洞窟の内部へと足を踏み入れる。


「ファイアーボール!」


「水遁、水かけの術でござる!」


 相変わらず風魔光太郎のネーミングセンスの無さは置いておいて、この水かけの術もその言葉の通り、海で良く見かける光景のような技である。

 飛んできたファイアーボールは水をかけられて、消える。


「なんてことなの!?入ってきたのがゴブリンメイジだなんて、それも私たちよりも高位魔法師!?」


「バブルショット!」


「風遁、風おこしの術でござる!」


 飛んできた複数の水を風おこしの術が巻き上げ、霧散させる。


「複合魔法を使うゴブリンメイジ!?」


「ウインドカッター!」


「木遁、森林受けの術でござる!」


 身体を切り裂く程の風も森や林にとっては、そよ風程度のようなものというイメージで作られた森林。


「これは、精霊魔法!?こんなことができるゴブリンメイジが存在するなんて!?」


「サンダーボルト!」


「土遁、避雷針の術でござる!」


 避雷針の素材は銅。

 銅は鉱石の一種。

 鉱石なら土遁で代用できるという謎理論で編み出されたイメージの術だがその威力は絶大。

 雷魔法師の放った雷を受け止めた避雷針である。


「このゴブリンメイジ、一体幾つの魔法を使いこなせるっていうの!?あり得ない」


「まだ、やるでござるか?光遁、目眩しの術でござる!」


「えっ?魔族が光魔法ですって!?あり得ない!あり得ない!きゃぁぁぁぁ」


 こうして怯んだ隙に風魔光太郎は5人の魔法使いを後ろ手に縛り上げ拘束したのだった。

 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

 少しでも楽しい・面白い・続きが見たいと思って頂けましたら、下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から評価してくださいますと執筆活動の励みとなります。

 第71話は、12月31日水曜日のお昼の12時を予定しています。

 それでは、次回もお楽しみに〜

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