食事の後のお風呂は欠かせないでござる!
前回のあらすじ。
ウンディーネからステータスオープンとギフトについての説明を受ける風魔光太郎。
ステータスオープンで表示されるスキルの数々に納得し、それらをウンディーネに打ち明ける。
風魔光太郎より打ち明けられたスキルを聞いたウンディーネは、ギフトが必要か思い悩む事となるが風魔光太郎の『貰えるものは何でも嬉しい』という言葉を聞き、ギフトの一つに自身の愛、即ちウンディーネと恋人になれるスキルを忍ばせたのだが風魔光太郎が選んだのは、収納スキルであった。
風魔光太郎は、嬉々として解体した魔物の素材を回収し始め、それを見た収納スキルの使い方について、説明途中のウンディーネは遠い目となるのであった。
本当にこの収納のスキルは便利だ。
アレだけあった魔物の肉やら素材やらが綺麗さっぱり、異空間に吸い込まれていったのだ。
「ぐぅぅぅぅぅぅ」
「な、何この音は、て、敵襲!?」
「拙者の腹の虫ゆえ、案ずるでないでござるよ」
「あ、そうなんだ。えーっと、確か君の世界で言う腹が減ったの合図だったかしら?」
「そうでござる」
思えば、スライムだったウンディーネさんに火が燃え移りそうになって、遁術を用いて、助けたりと食う暇が無くなっていた。
それにあの遁術のスキルの説明を見る限り、拙者が居た元の世界では、道具がなければ使えなかったものがイメージで、なんとでもなるということがわかる。
さて、モノは試しでござるな。
先ずは、ゴブリン固有のスキル、器用な手先を使って、骨と皮で器を作る。
次にこの器の中に。
「水遁、海水浴の術でござる」
頭で海をイメージして、手から出した水はしっかりと海水になっていた。
後は、これを煮詰める。
「火遁、ぐつぐつ鍋の術でござる」
海水を熱々の炎で熱して、素早く煮詰めると残った見慣れた白い塊に拙者は感無量となっていた。
拙者はそれをワーウルフの肉にかけて、余分な水分を拭き取ってから、こんがりと焼いて食べた。
「くぅー、これでござるよ。あんだけ臭かった狼男の中ですら塩をかけて、余分な水分を取ってやればこの通り臭みが取れるでござる」
「な、な、何、この外はパリパリで中はジューシー、これが本当にあの臭くて食べられないなんて言われてたワーウルフの肉なの!?お、おかわりよ光太郎ちゃん!」
「ふっふっふ。ウンディーネさんの胃袋をガッチリ掴んでやったでござる。さぁ、焼いて焼いて腹が膨れるまで食べるでござるよ!」
「おー」
とこんな感じで、ワーウルフの肉をウンディーネさんと2人で、丸々4頭ほど食べた。
「ふぅ〜。腹が満たされるとお風呂に入りたくなるでござるな」
「お風呂って、光太郎ちゃんの世界で確か桶に水を張って、火で熱するだったかしら?」
「そうでござる。火を持ちいるからウンディーネさんは、厳禁でござるな」
「あら、そんなことないわよ。人が蕩けるという光太郎ちゃんの世界のお風呂とやらに興味があるわ」
「しかし拙者は、ウンディーネさんの溶ける所は見たく無いでござるよ」
「えっ?あ、あぁ成程ね。そう言えば、まだ説明していなかったわね。この世界の精霊は力を失いつつあってね。私が火に弱いスライムになってたのもそういうわけなの。だから完全に力を取り戻したこの状態なら問題ないから気にしなくて良いわよ」
「そ、そうなのでござるか。そういうことであれば、直ぐに準備するでござるよ」
風呂を作るのに本来なら石を集めてきて、周りを固めるか地面を掘って、側面を固めて、そこに水を張るかの2択があるが拙者には遁術がある。
「土遁、石桶の術でござる!」
石造りの風呂桶のようなものが出来上がり、そこに水遁で水を出し、火遁で水を人肌に熱すれば、異世界に風呂ができました。
「では、先に入らせてもらうでござる」
「ちょちょちょ、いきなり脱がないでよ!ここにレディがいるのよ」
「何を恥ずかしがっているのでござる?風呂とは裸で入るものでござる。ウンディーネさんも入る時に脱ぐのでござるよ?」
「にしても前もって声かけたり、するものでしょ。そういう配慮って無いのかしら?」
「ふむ。拙者、晩年は人付き合いを絶っていたでござるからな。配慮が足らなかったやも、申し訳ないでござる」
「わ、分かれば良いのよ」
「ふぅ〜。やはり風呂は良いでござる。日本男児たるもの、こうして風呂に入らなければ、疲れがきちんと取れないでござるよ」
「そ、そんなに良いものなの?」
「風呂は良いでござる。拙者の居た世界では、風呂に浸からない国もあると聞いた事があるでござるが拙者には無理でござるな。ヨイショ。今から水を変え、温め直すから待つでござるよ」
「って。あわわ。そんなことよりも先に服を着てーーーーーー」
「おっと、すまないでござる」
「(もしかして、わざと見せつけてるのかしら?私を欲情させて、何をしようというのかしら?)」
「はっ!?そ、そ、そ、そんなつもりは、ま、ま、ま、全く無いでござるよ!」
「あっ!?そうだった光太郎ちゃんの前では、心の中で思っただけでも伝わるんだったわね。恥ずかしすぎる」
「ゴホン。そ、そんなことよりも風呂の準備ができたでござるよ。拙者は離れているゆえ、存分にお風呂を堪能すると良いでござる」
「そんなこと言って、コッソリと何処かから私のことを覗くつもりなんでしょ?って、もう居ないじゃ無い!もう。別に覗いても良いのに」
そんなウンディーネの言葉は、忍び走りでこの場を離れた風魔光太郎の耳に聞こえるはずもなく、落ちてる枝をせっせと集めて、棒手裏剣の作成に勤しんでいるのであった。
この場に残されたウンディーネはというと。
「こ、これはハマっちゃいそうね。程よい暖かさで身体がポカポカして、とても気持ち良いわ。指先で足や腕をマッサージしても気持ち良いわね。この地が回復したら直ぐに神様に言って、こちらの世界の人間たちの間に流行らせないと。にゅふふ。人々の間に浸透したら、私の泉もお風呂仕様にしてもらおうかしら」
初体験のお風呂に頬を赤らめ御満悦なのであった。
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第8話は、明日のお昼の12時を予定しています。
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