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次の巣に行くでござる!

「本当に皆だけで大丈夫でござるか?」


 風魔光太郎が心配そうに1人の女戦士へと言う。


「心配ないさ。地図は書いてもらったんだ大丈夫だよ。それに人を襲わないキマイラとキングホークが目印なんだろ?」


 この女戦士はいつのまにかこの集団のリーダー的存在になった。


「キマイラとキングホークではないでござるよ。タマとマミィと言うのでござる。さらにマミィの子のピィもあるでござるよ。3匹とも可愛い拙者の忍獣でござる」


 ペットを飼ったことがある人なら拙者が名前を呼ぶように訂正した意味が理解できるでござるよな?


「それはすまなかったね。忍獣という言葉は聞いたことはないね。しかし、あれだけの高度な魔法を使いこなすんだ。魔獣を従えていても今更驚かないから安心しな」


「そうでござるか。あっ!」


 訂正しても女戦士が改めてくれないので、それはおいおいで良いかと思う風魔光太郎であったが、つい最近新たに加わったメンバーのことを忘れていた。


「突然、どうしたんだい!?」


「スラ吉のことを忘れてたでござるよ。ぷにぷにで可愛い拙者の忍獣でござるよ」


「へぇ。そうなのかい。アタイらは冒険者だったからね。スライムは狩る側で可愛いと思ったことはないね」


「ガーンでござる」


 こんなやりとりの後、5人の女戦士と3人の町娘と8匹のゴブリンは、風魔光太郎が仮拠点としているところへと向かっていくのだった。


「風魔様。じゃあ、あっしらは次に向かいやすか?」


 女戦士たちを見送った後、ゴブリン弟が言う。


「そうでござるな」


「では、クラッシュよ。彼女らを密かに護衛し、直ぐにこちらへ戻ってくるのだ」


 風魔光太郎が頷くのを見届けたゴブリン兄が勇者クラッシュの方を振り向いて言う。


「いや、大丈夫って言ってただろ」


 ゴブリン兄の言葉に反論する勇者クラッシュ。


「この馬鹿者め!風魔様の手を煩わせるのか?これは、まだまだ動きの固い貴様の足腰を鍛えるための修行と思え!わかったら『はい』と言って、とっとと行け!」


「わかったって!わかりましたって!」


「後で、女戦士たちに話を聞く。その時に誰かにつけられていることに気付かれていたことがわかった場合は、追加でペナルティを与えるから気を抜くでないぞ」


「ゲッ。マジかよ」


 こうして、勇者クラッシュも気付かれないように女戦士たちの後をつけるのだった。


「拙者の考えの先を行くとは成長したでござるな」


「風魔様にそう言って頂けるとは、有難き幸せ」


 ゴブリン兄の返答にまだまだ硬いと思った風魔光太郎は、顎に手を当てて、話を続ける。


「其方たちは拙者の弟なのでござるからそう畏まる必要はもう無いでござるよ。気軽に兄者とでも呼ぶが良いでござるよ」


「そのようなこと畏れ多いことです」


「そうでやすぜ」


 2人に否定された風魔光太郎は、どうしたものかと思案し、ならばと話を続ける。


「まぁ、なら一息つけたら、お主たちに拙者が褒美として、名前を与えてやるでござるよ」


「おぉ。風魔様がくださる名前とは。今から楽しみで仕方ありませぬ」


「風魔様がアッシに名前を?感激で前が見えやせんぜ」


 歓喜に打ちひしがれる2人に、まぁ今はこれで良いかと納得する風魔光太郎であった。


「風魔様、もう間も無く見えてくる洞窟があの連合軍の誰かが根城にしていた巣かと」


「うむ。お主たちは外を警戒せよ」


「はっ!」「おぅ!」


 風魔光太郎は、洞窟の中へと足を踏み入れる。

 ふむ、反応が微弱だがあちらこちらにあるでござるな。

 ん?

 1人で拙者を狙うとは豪胆でござるな。


「やめておいた方が良いでござるよ。そのような奇襲、見え見えでござる」


【???視点】


 キングクレスト王国が誇る諜報集団『帷の鴉』には5つのランクが存在する。

 王の警護を主任務とするプラチナランク。

 大臣などの要人警護を主任務とするゴールドランク。

 暗殺を主任務とするシルバーランク。

 国内の不穏分子の元に潜入するブロンズランク。

 そして、潜入任務の基礎を学ぶため他国に送り込まれる密偵としてのノーマルランクが存在する。

 俺のランクは、このノーマルランクだ。

 ノーマルランクでは、5人1組で動くことが義務付けられ、1人は監督生としてベテランの者が派遣される決まりとなっている。

 そう俺こそがその新人たちの教官で、ノーマルランカー歴40年の大ベテランだ。

 気が付いたらこの洞窟のようなところで目を覚ました。

 辺りを見ると近くには俺の仲間たちが倒れている。


「おい!お前たち、大丈夫か!」


 呼びかけてみるが返事はない。


「いやだ。もう。ゴブリンを産みたくない。返して。返してくれ」


 まさかここはゴブリンの巣なのか?

 だが、ゴブリンが連れ去るのは女だけのはず。

 男を連れ去って、何を?

 イタタッ。

 頭が痛い。

 この記憶はなんだ?

 この俺がゴブリンを何匹も産み落としている?

 あり得ない!

 俺は男だ。

 男には子を産む子宮は存在。

 無い。

 俺にあったはずのものが無い。

 この膨らみはなんだ。

 何故、胸が膨らんでいる?

 わからない。

 わからない。

 わからない。

 だが、ゴブリンに犯された者は精神が崩壊すると聞く。

 何故、精神が保てているのかわからないが今はアイツらを元気付けないとならん。

 生きて、ここから出るために。

 俺は奮い立ち、仲間たちの元へ向かうと仲間たちも同じようにその姿が変わっていた。

 男から女に。

 身体の中から性別を変化させる何かを投与されたのだろうか?

 幸いにも軽く頬を叩くと意識を取り戻してくれた。


「きょ、教官なのですか?その姿は?えっ?なんで?無い?俺も?」


「取り乱すな!」


「は!では、あれは夢では。嫌だ嫌だ嫌だ」


「意識を強く持て!生きていれば復讐の機会もある」


「うぅ」


 無理か。

 彼らも万年ノーマルランクの俺の元に配属されなければこのようなことには。

 !?

 この反応は、何かが近付いてくる。

 俺が仲間たちを守らねば。


「やめておいた方が良いでござるよ。そのような奇襲、見え見えでござる」


 ぐっ!

 憎きゴブリンであるというのに、その姿を見ているだけで下半身がじわりと濡れてくる。

 俺の身体はすっかり雌に成り果ててしまったのか。

 人語を完全に話せるゴブリンというのも聞いたことはない。

 向こうにも理性があるのならそこに一抹の望みをかけよう。


「わかった。降伏する。俺のことは好きにしてくれても構わない。仲間たちのことは見逃してくれないか?」


 これが俺が主君と仰ぐことになる風魔光太郎との出会いだった。

 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

 少しでも楽しい・面白い・続きが見たいと思って頂けましたら、下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から評価してくださいますと執筆活動の励みとなります。

 第66話は、12月19日金曜日のお昼の12時を予定しています。

 それでは、次回もお楽しみに〜

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