ステータスオープンとギフトについての説明でござる!
前回のあらすじ。
火遁の術で弱ってしまった水玉の奇妙な生物を水遁の術で助けた風魔光太郎は、あまりにも現実世界と違う光景に忍術が最も栄えた戦国時代では、ここまで威力が違うのかと調子に乗って、水を出しすぎてしまった。
突如、聞こえた妖艶な言葉に一瞬固まってしまった風魔光太郎であったが、先程の水玉の奇妙な生物が女性になったと推測する。
女性の名前はウンディーネと言い、水の精霊だと名乗った。
風魔光太郎は、異世界転生の術に干渉し、こちらに来るように誘導したと語るウンディーネに怒りながらもこの世界を救えるのは貴方だけと言う言葉に絆され、安請け合いするのであった。
しかし、この世界に不慣れな風魔光太郎の道案内役としてウンディーネが付いてくることとなったのだが。
拙者としたことが妖艶な女性に手を握られて『今この世界を救えるのはアナタだけなんです』と言われては、断ることもできないでは無いか。
思えば、定年まで勤め上げた製薬会社でも残業を頼まれて断れなかったものだ。
頼られると弱いのだ拙者は。
「ねぇ、光太郎。早速だけど私から一つギフトをあげるわ。何が良いかしら?」
70年も生きてきた拙者だがこちらの世界では1年目のど新人だ。
フルネームで名前にさん付けされるのもどうかと思い光太郎で落ち着いた。
拙者は、彼女のことをウンディーネさんと呼んでいる。
先輩には『さん』を付けるのは、当たり前だからな。
それ以前に精霊なのだから呼び捨てでなんて呼べないのだが。
「ウンディーネさん、拙者はこの世界1年目であることをお忘れでござるか?いきなりギフトだの、何が良いかなどわからぬでござるよ」
「あら、光太郎。ワタクシのことはウンディーネと呼び捨てでも構いませんのに」
「それも何度も言ったでござろう。畏れ多くも精霊さんを呼び捨てにできないでござるよ」
どこの世界に神様や精霊さんを呼び捨てにできる人間がいるのだろうか。
「もうイケズなんだから。まぁ、良いわ。ギフトというのはね。神様や私たち精霊からの贈り物よ。簡単に言えばスキルね。その前に、心の中でステータスオープンと念じて見てくれるかしら?」
「ステータスオープンでござるか?わわっ!?」
「心の中で念じるだけで良かったのだけど、その驚きようだと目の前に出てる画面のようなものがきちんと見えているようね」
ウンディーネさんの言うとおり、拙者の目の前には、自身のステータスが表示されていた。
姓 風魔
名 光太郎
見た目 ゴブリン種
職業 ニンジャ
忍術スキル 調合(薬草の知識さえあれば、薬を調合して効果を高められる)、百発百中(投擲物や弓が必ず敵に当たる)、忍び走り(移動速度を2段階上昇させ、心肺機能を促進させる)、遁術(思い描いたあらゆる忍術が形となって現れる)、二刀流(両手に武器を持てる)
転生スキル 弛まぬ努力(あらゆる弱体効果を無効にする)、強固な精神(あらゆる精神異常効果を無効にする)、心理眼(相手の心の声が聞こえる)。
ゴブリン固有スキル 投擲(石や物を投げることができる)、逃げ足(敵に囲まれている状況を除いて、必ず逃げられる)、器用な手先(作り方がわかれば何でも制作することができ、又魔物を解体することができる)、模倣(人の動きを見て真似る)
「な、なるほどでござる」
ニンジャという職業があることには驚いたが、どうやらスキルを見る限り、拙者の場合は三つに分かれているようだ。
一つ一つ説明していては、時間がいくらあっても足らないので、使う際に説明するとしよう。
兎に角、見る限り、拙者は精神異常だけでなく弱体異常ですら無効化するようだ。
しかもゴブリンの固有スキルとやらが忍術スキルと相性が良いものが多く有用だ。
良いでは無いか。
良いでは無いか。
「このステータスオープンはね。人間や人語を話せる魔物なら利用可能なのよ。だから一部の幹部レベルの魔物と遭遇する時は気を付けてね。向こうもスキルを使ってくるからね」
「それなのでござるが。カクカクシカジカでござってな」
拙者は、書かれていたスキルを全てウンディーネさんに打ち明けた。
「光太郎。貴方、何者なの?」
「至って真面目に製薬会社の重役を定年まで勤め上げ、異世界のことを知るためにファンタジーゲームをやり込み、主家と御先祖様を助けるために忍びの術を磨いただけでござるが」
「普通の人はね!三足も草鞋を履けないのよ!わかる?」
「いや、拙者に言われても生きる上で衣食住は必要でござるし。異世界のことを知るためとは言え、ゲームは娯楽として欠かせぬようになっていたでござるし。もしも過去に渡れた時に何も役に立てなければ、御家の滅亡は変わらぬでござるし。全て、必要であるからしてきたのでござるが」
「うん。わかった光太郎がとんでもなくストイックだってことは。(これギフト要る?要らないよね?)」
「いや、貰えるものは、何だって嬉しいでござるが」
「そ、そう。(さっき光太郎から聞いたスキルに比べれば全て劣るのだけど)」
「拙者は、スキルに良いも悪いも無いと思うでござるが。そもそも現実世界には無いでござるし、頂けるものは嬉しいでござるよ」
「って!?精霊の心の声も聞こえるの!?」
「聞こえるでござるな」
「(ワタクシ、ひょっとして盛大にやらかしてしまいましたの?光太郎のチートスキルなら、この世界の王にもなれちゃいますわよ)」
「いやいや、王だなんて、もう元の世界に戻れないのであれば、拙者は役目を果たしたらスローライフとやらを満喫するでござるよ」
「(良かった光太郎が野心家じゃなくて)」
「拙者にも野心はあるでござるよ。主家と御家の滅亡を防ぎたかったという野心でござるが」
「うん。何回も心で呟いたのが完全に把握されてるから、もう良いわ。えーゴホン。改めて、異世界からこの世界を救うために呼び寄せた風魔光太郎。貴殿に水の精霊ウンディーネからギフトを一つ授けましょう。収納(物を自分だけの異空間に収納する。収納した物の時間は止まる)、水魔法の開花(水魔法が使えるようになる)、ウンディーネの愛(ウンディーネと恋人になる)」
「たはっ!?」
「だから言ったじゃない!光太郎のスキルと比べるとどれも見劣りするって」
拙者が一番驚いたのは、主に最後のギフトである。
そもそもウンディーネさんと恋人になるとは、あんなことやこんなことが可能になるということか捨てがたい。
それに異世界と言えば魔法、水魔法の開花も捨てがたい。
しかし、何と言っても一番捨てがたいのは、収納だ。
これさえあれば、物の持ち運びが楽になる。
例えば、棒手裏剣を500本とか作っても今ならどうやって持ち運ぶ問題が出るが、これさえあれば問題が1発で解決なのだ。
何が拙者のスキルより格段劣るのか。
どれも甲乙付け難く悩むでは無いか。
拙者の選択は。
「収納のスキルが良いでござる」
「えぇぇぇぇ!!!!そこは、ウンディーネの愛を選ぶところじゃ無いの!?ワタクシとあーんなことやこーんなことしたくありませんの?」
「拙者とて男でござるゆえな。最後まで悩んだでござるが。そこはやはり、衣食住の確立のためには、収納が良いと判断したでござるよ」
「もう。変更は聞かないんだからね。ゴホン。風魔光太郎に水の精霊ウンディーネが『収納』のギフトを与えます」
ポワンと何か光る玉のような物が拙者の身体に吸い込まれた。
「ふぅー。これで良いわ。モノは試しに、未だにそこら中に転がってるワーウルフの素材を回収して貰えるかしら。イメージは、見えない空間に物を入れるような感じね。イメージしづらければ」
「これは凄いでござる!」
「あ、直すのも取り出すのも自由自在にできてるのね(忍者って、スゴイんですね〜)」
ウンディーネが説明の途中にも関わらず、風魔光太郎は、嬉々として解体した魔物の素材を収納していた。
それを見るウンディーネの目が遠い目をしていたことに風魔光太郎は知らない。
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第7話は、明日のお昼の12時を予定しています。
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