勇者の育成は前途多難でござる!
勇者クラッシュの動きを見ていた風魔光太郎。
「飛び道具はお気に召さなかったでござるか?」
「いや、何だよコレ!何で、コレをゴブリンパイセンたちは難なく当てられるんだよ!結構難しいんだが!」
「む、難しいでござるか?」
「いや、アッシたちは、当てるだけで良いなら百発百中っすね」
「うむ。しかし風魔様。武器にも良し悪しがあります。我らには、この手裏剣という飛び道具が合っていても勇者にも同じとは限りませぬ」
「ふむ。そういうものでござるか。では、一撃与えて経験値を得るのは難しいでござるか。やれやれ、ゴブリンよりも育てるのが難しい勇者とは如何なものでござるか」
「知るかよ!寧ろ、アンタがゴブリンパイセンたちをコレから増やして、全員にコレを習得させたら簡単に国の一つや二つ滅ぶんだわ!ゴブリンが使用したら弓よりも射程距離が長くて、殺傷力も高いとか脅威でしかないんだわ!」
「拙者は、そのようなことをするつもりは無いでござるが」
「いや、物の例えだわ!本気にして、何処かの国滅ぼされたら困るんだわ!」
「わかる〜。コレが光太郎ちゃんの平常運転なのよ〜。ヤバいでしょ〜」
「わかってるなら水の精霊様が止めるべきなんだわ!この人、きっとほっといたら何するか分からない程の超危険人物なんだわ!」
「いや、流石にやってはダメなことぐらいは拙者も弁えてるつもりでござるが」
「弁えてる人は、レベリングと言いながら順番すっ飛ばした別の地域の魔物とか連れてこないんだわ!この辺りの魔物を狩って、少しづつあげるんだわ!」
「ふむ。やはり、面倒でござるな。タマとマミィとゴブリン兄弟で、樹の化け物を討伐した方が早いのでは無いでござるか?」
「それ、もう全投げなんだわ!確かに俺自身は、そうしてくれた方がありがてぇけど、この地域のボスであのレベルなんだわ!他の地域のボスとか勝てる気しねぇんだわ!大魔王、討伐とか夢のまた夢なんだわ!」
「だから、勇者というのはでござるな」
「いや、もうそれ散々さっきから聞かされてんだわ!」
「ハァ。で、ゴブリン兄弟から見て、勇者のレベルはどれぐらいでござるか?」
「そうっすね。まぁ、モンキーツリーが無理な時点で、それ以上に強いレッドボアは無理っす。順当にワーウルフかゴブリンの群れから狙うのが良いんじゃ無いっすかね」
「うむ。弟の言う通り、ダメージを与えられない以上、経験値は得られませぬ。ここは、長いスパンをかけて、勇者を育成するしか無いかと」
「全く、勇者とは育成すら面倒な存在でござるか」
「いや、アンタがおかしいレベルなだけなんだわ!何処をどうやったらキングホークの群れが一瞬で駆逐されるなんてことがおきるんだって話なんだわ!」
勇者クラッシュが言ってるのは、マミィが連れてきたキングホークがあまりにも多くて、風魔光太郎が雷遁稲光の術を使って、キングホークを次から次へと放電させて撃ち落としたことを指している。
「ん?雷遁、稲光の術でござるが何か?」
「何なんだよお前。魔物を従える力だけじゃなくて雷魔法も使えるとかヤバすぎなんだわ!というか、魔力量、どうなったんだって話なんだわ!キングホークを一撃で絶命させるほどの雷魔法を連発してたら魔力が尽きる筈なんだわ!涼しい顔して、今日の晩御飯は唐揚げだなとか言えねぇんだわ!寧ろ、空の王者って呼ばれてるキングホークが形無しになってるんだわ!」
という話なんて、全く風魔光太郎は聞いておらず野営の支度を始めるのであった。
「水遁、水源湧きの術からの火遁、湯沸かしの術でござる!おっと、アレも忘れてはダメでござるな。土遁、石部屋の術でござる!」
「あら〜光太郎ちゃん、お風呂だなんて気が利いてるわね〜。それに部屋付き、光太郎ちゃんなら私の裸見てもい・い・の・よ」
「はいはい。ウンディーネさんは、とっととお風呂に入ると良いでござるよ」
「欲情しない光太郎ちゃんも素敵」
「それよりもパインさんは、今日ずっと静かでござるな」
「あぁ、すまない。今日一日、色々と驚きすぎて、言葉を失っていた」
「まぁ、そんな日もあるでござるよ。そういう日は、お風呂に入って気持ちを整えてくると良いでござるよ」
「あ、あぁ。そうさせてもらうよ」
「お母様が心配なので、私も付き合いますぅ」
「というか今の何なんだよ!水魔法に火魔法に土魔法?アンタ、一体どんだけの魔法が使えるんだよ!もう、おかしすぎるんだわ!アンタの存在がおかしすぎるんだわ!」
「煩いでござるよ!勇者もとっとと風呂に入ってくるでござる!汗臭いのでござるよ!」
「お、おぅ。そ、それは申し訳ない」
風魔光太郎の突然の殺気に似た空気に勇者は言葉が詰まり、謝っていた。
こうして、全員をお風呂に誘った後、風魔光太郎は、晩御飯の支度を始める。
そのあまりの美味しさに勇者クラッシュは、驚くのだった。
「美味すぎなんだわ!こんな唐揚げ、王都でも食ったことねぇんだわ!」
「醤油があれば、もっと美味しくできるのでござるが。まぁ塩でも充分でござるよ」
「ピィ、コレ好きでしゅ」
「あぁ、同胞の肉だが食べるのをやめられない。とまらない」
「タマ様とモフモフして、晩は風魔様の美味しいご飯。でも風魔様の真の姿はゴブ。んん」
「ゴブ?」
「勇者殿、気にしないでほしい。娘の戯言だ」
「あ、あぁ。Sランクの冒険者であるギルドマスターが言うなら俺も追求はしねぇよ」
「やはり風魔様の作る料理は美味い。コレがあるから労働にも身が入るというもの」
「あぁ、兄貴の気持ちわかるっす。わかるっすよ兄貴」
「御主人様の料理なら毎日でも飽きないニャンね〜」
皆の満足そうな姿を見ながら風魔光太郎は、木を用いて、家を作っていた。
「木遁、木の家の術でござる!」
これにはパインズリーナをはじめとした野営を考えていた面々も驚き戸惑うのだった。
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第44話は、10月29日水曜日のお昼の12時を予定しています。
それでは、次回もお楽しみに〜




