毎日美味しい卵をゲットでござる!
前回のあらすじ。
キングホークママと風魔光太郎の戦いは熾烈を極めていく。
キングホークママが風の極大魔法を放てば、風魔光太郎も同レベルの火の遁術を用いて相殺する。
キングホークママが風の多段魔法に切り替えれば、風魔光太郎も火の遁術の多段攻撃で相殺する。
とうとう魔力切れを起こしたキングホークママが翼での渾身のタックルをかましてくるなら風魔光太郎は人遁の術で腕力を強化して、交錯する。
地面に倒れ臥したのは、キングホークママであった。
どうやって会話をしようか思案する風魔光太郎にピィが助言する。
それは、ピィと同じく風魔光太郎の料理を食べさせて、話せるようにするというものだった。
風魔光太郎は無事キングホークママと和解することはできるのだろうか。
風魔光太郎がピィちゃんの助言に従い、倒れ伏しているキングホークママの側に近付き、口の中にパン粉を放り込んだ。
「カァーカッカッカ(私の赤ちゃんが言ってた。人間とお話しできる物がこれかい?こんな物、口に放り込まれて)な、な、な!?な、何なのこの美味なる物は。こんなのが今まで食べたどんな魔獣の肉よりも美味しいだなんて。って、えっ!?!?!?私、人語を話してるんだけど!ど、ど、ど、どうなってるのぉぉぉぉぉ!?!?!?」
「ママが元気になって良かったでしゅ〜。御主人様といきなり殴り合うから心配したでしゅよ〜」
「あぁ、私の赤ちゃん。良かった。本当に無事で良かった。パパがごめんね。怖かったでしょ。もう大丈夫だからね」
「全然怖く無かったでしゅよ〜僕は御主人様の家鳥になったでしゅから」
「家鳥って何?」
「御主人様の庇護の元、毎日美味しい物を食べるだけの生活をするでしゅ〜。その代わり、僕が大きくなったら、沢山の雌鶏を捕まえて、卵を産んでもらうでしゅ。そして、育った子供の肉を提供するでしゅ」
「おいクソガキ、アンタ本当に私の子か?女は卵を産むだけの道具ってかい?舐めてるんじゃ無いよ!」
「ち、違うでしゅ。御主人様にお世話になってるお返しでしゅ」
「そのためにアンタが捕まえてきた雌鶏たちに、卵産ませて、温めさせて、産まれた子が育ったらあげるってのかい?そんなの、我が子を殺される母親が可哀想だとは思わないのかい?」
「じゃあ、どうすれば僕は御主人様に恩返しできるでしゅか?」
「恩返ししたいって、その考えは立派さ。でもね。そのためにアンタのことを好きになってくれる雌鶏たちを巻き込むのは、間違ってるってことさ!」
「うぅ、僕はどうしたら良いでしゅか?」
「確かに拙者もその場のノリでピィにハーレムを築いてくれなどと言ってしまったでござるよ。反省するでござる」
「そんな、御主人様、僕何も返せなくて良いでしゅか?」
「いや、ピィが元気に大きく育つことが拙者への1番の恩返しでござるよ」
「そうなのでしゅか?じゃあ、僕立派な御主人様の家鳥になるでしゅ!」
「えーっと風魔様だったね。良い男じゃないかい。気に入ったよ。それにアンタ、キングホーク界、最強の私を打ち負かすなんてやるじゃないか。でもね。私は、女を道具としか見ない男が大嫌いなんだ。風魔様は、どうしてそんな考えをしたのか失礼じゃなければ、聞かせてもらおうじゃないか?」
「うむ。拙者、産まれはここより遠い世界の存在でござるよ。そこでは、鶏が人が生きるために卵を産み、首を絞められ、皮を削がれて肉になるのが日常茶飯事でござる。それゆえ、拙者たちは殺される生き物のために大地の恵みに感謝して手を合わせるのでござる。それが当たり前であったゆえ、ピィにも拙者の価値観を押し付けてしまっていたのでござるよ。深く反省しているでござる」
「成程ねぇ。それで、水の精霊であるウンディーネ様がお目付け役として、一緒にいるわけかい」
「流石、キマイラのタマと同じくSランククラスともなれば、私が理由を話さなくても理解できるようね。それなら話が早いわ。少し話したいことがあるので、このキングホークをお借りするわよ光太郎ちゃん」
「それは良いでござるが」
「ありがとう」
水の精霊ウンディーネがキングホークママを連れて、誰も聞こえないところで話をする。
「さっきの話の続きだけど。貴方は、光太郎ちゃんの料理を食べて、どんな感じだったの?」
「そうね。あのパン粉とやらを食べた時に頭がハッキリとなったわね。あれは、恐らくかつて存在した古の魔法、テイムじゃないかい?」
「そこまで、わかってるなんて。えぇ、本人は、獣遁って言ってたけどね」
「へぇ、そりゃまた直球なことだね。まぁ、自分の所有物という印を刻まれたら風魔様と意思疎通できるようになるのも頷けるってもんさ。でも、あの失われた恐ろしい魔法がこうして蘇ってしまうとはねぇ」
「大魔王が蘇ったこともですがこの世界で何かが起こりつつあるようです。理解したのなら貴方もタマと同様に光太郎ちゃんのことを」
「わかっているさ。その前に私のクソ旦那はどうする?」
「光太郎ちゃんにテイムさせますか?」
「テイムさせたところで、あの連れてる2匹のゴブリン同様に盾ぐらいの役目にしかならないさ。それよりも、この技を多用するのは避けるべきさ。うちのクソ旦那には、私が赤ちゃん。いや、ピィちゃんだったね。ピィちゃんと話を付けた事にしておくさ。後、我が子を平気で差し出して、身体を張りもしないところに愛想も尽きたからね。キッパリと別れる事にするよ。元々浮気性のクソ旦那だからね」
「キングホークの生態は、一夫一妻制では無かったはずだけれど」
「女は誰だって、雄に一途に愛されたいもんだろ?」
「成程、タマ同様に貴方も相当な変わり者のようね」
「そうかい。褒め言葉として、受け取っておくよウンディーネ様。じゃあ、私は風魔様に頼みたいことがあるから、これで失礼するよ」
「えぇ」
こうして、戻ってきたキングホークママの提案を受けて、風魔光太郎は。
「拙者の大事な家族に手を出して、タダで帰れると思うなでござる!忍法手裏剣乱舞の術でござる!」
「キィーキッキッキッキッキッ(だから言わんこっちゃねぇ。もう俺はしらねぇからな。たかがガキ1人で。でも惜しいなぁ。あのゴブリンと知己になれれば、将来安泰だったってのによ)」
こうしてキングホークパパは、子供と無数の棒手裏剣が刺さって、見る限り助かりそうもないキングホークママを置いて逃げ出していくのだった。
「マミィ、これで良かったでござるか?」
「あぁ、風魔様、こんな事に付き合わせて、すまなかったね」
「いや、別に構わぬでござるが。それに名前も、ピィのママだからマミィと安直で申し訳ないでござる」
「構わないさ。そもそも、子供を道具としか考えてない考え方にうんざりしてたのさ。これで清々したよ。これから、ピィ共々、世話になるよ。次の番が見つかるまでなら毎朝、卵も供給してあげるよ」
「良いのでござるか?」
「風魔様は、大地の恵みに感謝して美味しく調理してくれるんだろ?それなら無精卵で良ければ渡し甲斐はあるさね」
「助かるでござるよ。卵焼きに目玉焼きに親子丼と食べたい物がまだまだあるでござるからな」
「親子丼って、風魔様も物好きさね」
「拙者は、ただ美味しい物を追求しているだけでござるよ」
「そうかい。そりゃ、叶うと良いね」
こうして、風魔光太郎はここから暫く毎朝新鮮な卵を手に入れる事ができるのだった。
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10月より、月・水・金の週3日投稿となります。
第32話は、明日のお昼の12時を予定しています。
それでは、明日もお楽しみに〜




