パン粉と油を求めて、村へレッツゴーでござる!
前回のあらすじ。
パインズリーナから御先祖の風魔小太郎の話を聞いた風魔光太郎は、過去に己が見つけ、過去に渡る秘術だと仕事の合間を使い研究した古びた巻物が異世界へと渡る秘術であったことを知る。
ニヤニヤしたり頭を抱えたりする風魔光太郎を不気味に思うキマイラのタマ。
タマが現れたことで臨戦体制となるパインズリーナ。
一触即発の中、タマの上から聞こえる気の抜けた声にパインズリーナは、武器をしまう。
フェランティーナとパインズリーナの感動の再会とはならずフェランティーナを助けるために武器を再び抜いて斬りかかるパインズリーナ。
それを止めたのはフェランティーナだった。
そして、キマイラのタマが流暢な人語を話していることに今更ながら驚いたパインズリーナは、その場で驚きのあまり気絶してしまう。
その頃、お腹の空いた風魔光太郎は、毎日同じ食べ物だと飽きると考え、キングホークの肉を使った唐揚げを考案していた。
しかし、パン粉に卵に油と足りない物だらけ、どうやって材料を集めようかと考える風魔光太郎の元に、二羽のキングホークが卵を落としていく。
有難い天の恵みに感謝しつつ、残りの食材パン粉と油を手に入れられないかと思案するのだった。
あの鳥は貴重な卵を落としていくとは、返そうと思ったがそのまま通り過ぎていく始末。
この卵は有り難く頂くとしよう。
しかし、大きい卵だ。
これ一つで目玉焼きが何個作れるのだろう。
肉も卵を絡めさせてパン粉を塗して、揚げればたくさんの唐揚げができそうだ。
まぁ、取り敢えずこのまま収納しておけば良いか。
「後はパン粉と油があれば良いのでござるが」
「あのぉ。そのぉ。風魔様ぁ?」
「ん?ティナさん、どうしたでござるか?」
「あのぉ。本当にぃ。あのお爺さんだったのが本体で、今の姿が借りではなく、真の姿がゴブリンなのですかぁ?」
「拙者としても本意ではないがそうでござるな」
「そんなぁ。あの気持ち悪くて、女を苗床の道具としか思ってないゴブリンに助けられたなんてぇ。最悪ですぅ」
「それは、色々と申し訳ないとは思うでござるが色々と心外でござるな。人を見た目で判断するなと御母堂から教えられなかったのでござるか?」
「ゴブリンは、人じゃないですぅ!魔物ですぅ!」
「確かにそうでござるな。これは、1本取られたでござるよ。ハッハッハ」
「うぅ。見た目は気持ち悪いのに、確かに話してると風魔様なのは、不思議な感覚ですぅ」
「ふむ。では、ティナさんがいる時は、この姿でいよう。老遁の術でござる!」
ポワンと風魔光太郎の姿が魔法使いのような長い髭の老人の姿となり、帽子とフード、手に杖を持たせたら似合いそうな見た目となる。
「これが私の知ってる風魔様ですぅ!」
「うーん。はっ!?これは、懐かしいものを見た。小太郎もよく、こうして変装してくれていた。概ね、私に合わせて、エルフの姿になって、街の中で奇妙な目で見られるのを分散してくれていた。うぅ。小太郎に逢いたい」
「また泣いてるニャンね〜。ティーナのお母さんは、泣き虫ニャンよ〜」
「うっ。煩い!この猫助!それ以上、くだらないことを言えば、斬るぞ!」
「怖いニャンね〜。それに物騒な言葉は使っては、いけないニャンよ〜。それにタマは猫助って名前じゃないニャン。タマニャンよ〜」
「煩い猫助は猫助だ!以上!」
「一方的すぎニャンね〜」
「それよりも光太郎ちゃん、パン粉と油があればって呟いていたけれど、何かに使うのかしら?」
「ウンディーネさん、良くぞ聞いてくれたでござる!拙者、唐揚げを作ろうかと思っているでござる!」
「か、唐揚げ?それって、その鶏肉を卵と小麦粉を塗してあげるアレかしら?」
「おぉ。こちらの世界にも唐揚げはあるのでござるな!?」
「え、えぇ。家畜として飼われている鶏や羊、豚に牛はこちらの世界にもいるから。それこそ、パインちゃんがギルドマスターをしている村に」
「なんと、それは真でござるか!?すぐに、案内して欲しいでござるよ!拙者の口は、今猛烈に唐揚げを求めているでござるよ!」
「あ、あぁ。私としてもゴブリンの姿ではないその姿の風魔殿であれば、案内するが」
そう言って、風魔光太郎の後ろにいるタマとウンディーネを見るパインズリーナ。
「そうね。見る人によっては、私の姿は水の精霊に見えるだろうし、タマは恐ろしいキマイラに見えるわね。ここで、光太郎ちゃんの帰りを待ちましょう。それで良いかしら?」
「水の精霊、ウンディーネ様の御配慮に感謝します」
「良いのよ。パインちゃんとは、私が子供の頃からの付き合いだもの」
「こうして、再びお会いできて大変嬉しく思います。泉の整備を欠かさずやってきて、本当に良かった。うっ。うぅ」
「もうパインちゃったら、そんなに泣かないで、もう精霊信仰なんて、エルフとドワーフと獣人ぐらいなものよ。人は、自然を大事にしている職業の人ぐらいしか信仰してないし」
「悠久の時の中で、嘆かわしいことです。多くの者に代わって謝りますウンディーネ様」
「ちょっとちょっと、パインちゃんってば、そんなに畏まらないでよ!」
「いえ、あの時は産まれたばかりの赤子で、初代ウンディーネ様と共に成長を楽しみにしておりましたが、今は貴方様こそ当代のウンディーネ様ですので」
「もう!本当、昔からそういうところは硬いんだから」
「タマ、少し行ってくるでござる。そこに寝転がってる2匹のゴブリンとウンディーネさんのことをよろしく頼むでござるよ」
「わかったニャンよ〜。御主人様の家猫として、しっかり今度こそ守ってやるニャンね〜」
こうして、風魔光太郎はパインズリーナの後をついて、村へと向かうのであった。
「ゴホン。光太郎殿、一つ伺っても構わないか?」
「構わないでござるよ」
「その、小太郎のことを御先祖様と呼んでいたが、光太郎殿は、何代目に当たるのだ?」
「ふむぅ。正確には、拙者にもわからぬでござるが、大体でよければ、拙者でちょうど20代目になるでござる」
「そうですか。そんなに月日が流れていたのか。あの強かった小太郎が盗賊として囚われて、処刑されるなんて俄かには信じられないよ」
「仕えた主家が滅亡し、皆を食わせるための致し方のない行為であったと理解はしてるでござるが。拙者は、御先祖様の汚名を注ぐために過去へと渡りたかったのでござるが」
「当代のウンディーネ様が御迷惑をおかけして、申し訳ない。精霊信仰を代表する者として、深くお詫びする」
「そう畏まらなくて良いでござるよ。そういうパインさんは、ウンディーネさんとは長いのでござろう?」
「当代のウンディーネ様が赤子の時からの付き合いとなりますので、もう400年近くになります」
「400年と聞くと改めてエルフという種族が長命だと気付かされるでござるな。それよりもティナさんのことは良かったのでござるか?」
「娘が御迷惑をおかけして申し訳ない。一度村へ連れて帰りたかったのだが、あそこまで頑固に猫助に抱きつかれては、引き剥がすこともできず」
「こちらもタマが迷惑をかけるでござるよ」
そう、村へと向かう少し前のこと、パインさんの帰ろうという言葉にティナさんはタマに抱きついて、離れたくないと駄々を捏ねたのである。
ドジっ子天然娘に駄々っ子属性の追加である。
タマに喰われそうになった事など何も覚えていないかのように、それはもうタマのフサフサの脚にガッチリと抱きついて、タマとここにいますぅと言うのだ。
これでは、パインさんも諦めざるを得ないだろう。
「お互い、子供に苦労するな。着いたぞ。ここが、私がギルドマスターを務める村、スタットの村だ」
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第22話は、明日のお昼の12時を予定しています。
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