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二本足で立つ獣との遭遇でござる!

 前回のあらすじ。

 仕えた御家と落ちぶれた主家を守るため時を渡る秘術こと異世界転生の術を編み出した風魔家の当代当主である風魔光太郎は、ひょんなことから日本とは違う異世界へと辿り着く。

 目覚めて、直ぐに女性に変なことを言われたり、目の前の緑の化け物を見ても野盗の類いと信じ、ここが戦国時代の日本だと疑わない風魔光太郎であったが、無能は要らないと追放されてしまう。

 辿り着いた小川で、水面に映る姿を見た風魔光太郎は、自分自身も緑の化け物であったことを知り、驚愕するのであった。

 あまりに大きな声を出して、取り乱してしまったがここは森の中、獣の類いが居るかもしれない所に居るというのに迂闊であった。

 幸いにも今は日中で陽があるから何とかなっているがこれから暗くなることを考えるとこのままでは、夜を越すのに適切ではなかろう。

 それに裸一貫で追放されたこともあり、金はおろか食べるものすらない。

 幸いにも小川を見つけたことで飲み水には困らないが。


「それにしても、小川の水が澄んでいた事が幸いでござる。ゴクゴク、プハァ〜生き返るでござるな!」


 しまった!

 また大声をあげてしまった!

 茂みがガサガサとまずい、本当に獣の類を呼び寄せてしまったかも知れぬ。


「グルルルルル」


 突如聞こえた唸り声に風魔光太郎は、身構える。


 何だこの狼のような唸り声は?

 しかも、声が聞こえるのは1つどころか2つ3つとどんどんと増えているな。


 風魔光太郎の目の前に姿を現した唸り声の正体とは。


「いやいやいや、待つでござる!?な、何故、狼が二本足で立ってるでござるか!?」


 これでは、まるで満月の夜に変身するとかいう狼男ではあーりませんか!

 いや、待てよ。

 少なくとも狼男なら獣人だし、人の言葉を理解できても良いんじゃないか?


「グルルルルル。グルァ」


 全然待ってくれねぇし!

 しかも目の前の狼男は、目は真っ赤で長い舌をペロリと出して、牙が見えてる。

 うん、拙者を食べる気満々であることは否めないな。

 ここは逃げるが勝ちか。


「せ、拙者を食べても美味しくないでござるよ!に、逃げるでござる!」


 ん、全然追ってこない?

 いや、追いかけてきてる音はかすかに聞こえるが遠くなっていってるようだ。

 逃げ切れたのか?

 ふぅー。

 それにしても、緑の化け物の癖に拙者の忍び走りについて来れるとは、とてつもない脚力ではあーりませんか!

 緑の化け物とやらも中々に見所があるではないか。

 ハッハッハ。

 しかし、水場から遠のいてしまったのは残念だ。

 せっかく、澄んだ小川で飲み水に困らないと喜んでおったというに。

 まぁ、嘆いていても仕方あるまい。

 先程の狼男を見て思ったのだが、忍びと犬は切っても切れない間柄というのは有名でな。

 拙者も忍犬を飼っていた事がある。

 寧ろあの狼男を手懐けて忍犬に、、、いや無理だな。

 そもそも二本足で走るのなら人と変わらん。

 拙者の忍び走りに付いて来れないのでは、狩りをするのにも役には立たんな。

 いや、これも拙者が忍びとして優秀すぎた故かも知れぬが。

 ハッハッハ。

 にしても、拙者の培った忍び走りが問題無く使えるのは良かった。

 何の訓練もしていない身体では持たぬかと思ったが。

 中々、優秀ではないか緑の化け物とやらも。


 グゥゥゥゥゥという音が突然聞こえる。


「お腹が減ったでござるな」


 そう、この音は、風魔光太郎の腹の虫が鳴った音であり、新たな敵の来襲ではない。


 しかし、腹が減っても喰う物がないのでは、どうすることもできんな。

 せめて、苦無くない手裏剣しゅりけんを作れれば、何とかできるのだが。

 いや、棒手裏剣ぼうしゅりけんなら作れるか。

 身近な枝を拾って、形を整えて、両側を尖らせれば、、、いや形を整えて、先端を尖らせる事などナイフでも無ければ不可能か。

 ん?

 待てよ。

 この緑の化け物の異様に尖った鋭い爪であれば、ナイフのように削れるのではないか?

 ものは試しだ。

 形の良さそうな枝を拾い集めるとしよう。


〜数分後〜


 結構な数が集まったな。

 コレなら。


「グルァ。グルァ」


 おいおい、嘘だろ。

 1、2、4、8、16。

 さっきよりも数がめちゃくちゃ増えてるじゃねぇか勘弁してくれ!

 あ、でも狼って犬科の動物だから群れで狩りをする生き物か。

 いや、そんなところまで似なくて良いんだよ!

 だって、君たち狼じゃないよね!

 狼男だよね!

 こっちはまだ、棒手裏剣も完成してないってのに。

 ここも逃げるが勝ちか。


「グルァァァァァァァァァ」


 それにしてもさっきあれだけ忍び走りしたのに全く疲れていないとは。

 体力とスタミナも異常なほどあるのか。

 やっぱり緑の化け物は、忍者として優秀じゃないか。

 ハッハッハ。

 コレだけ、距離を離せば、暫くは棒手裏剣の作成に移れるだろう。


 風魔光太郎は、緑の化け物となった自身の尖った爪で、先ずは枝にヤスリがけするように真っ直ぐ形を整える。

 次に両側をペンの先端のように尖らせて、棒手裏剣を50本完成させた。


 中々、緑の化け物の癖に器用ではないか。

 みるみるうちに50本も作れるとは。

 脚力だけでなく手先も器用とは。

 ますます忍びとしての特性が高いではないか。

 ハッハッハ。

 コレで、あの狼男1人当たり3本の棒手裏剣か。

 的確に弱点を捉えれば難しいことでもあるまい。

 さて、忍びとして磨いた技術を披露してやるとするかの。


「先程までの拙者と思ってもらっては、痛い目を見るでござるよ。ハッハッハッハ!」


 が、学習能力が無いとは、まさに拙者のことか!

 またしても大きな声で高笑いを。


「グルァ。グルァ」


 はっ!?

 さっきの倍に増えてるじゃねぇか!

 合計で32匹かよ!

 1人あたり1.3って、交わされたら終わりじゃねぇかよ!

 こ、こんなの聞いてないよーーーー!!!


 風魔光太郎の悲痛な心の叫びが木霊するのだった。

 はてさて、風魔光太郎の運命やいかに。

 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

 少しでも楽しい・面白い・続きが見たいと思って頂けましたら、下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から評価してくださいますと執筆活動の励みとなります。

 感想も読んで返信させていただきますので、何卒宜しくお願いします。

 第3話は、明日のお昼の12時を予定しています。

 それでは、明日もお楽しみに〜

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