気絶した女から話を聞くでござる!
前回のあらすじ。
風魔光太郎とCランク冒険者パーティー『飛翔する翼』の面々が激しく火花を散らす。
キマイラのタマは、水の精霊ウンディーネが誤爆した水の脚を絡め取られて、動けず雷魔法の餌食になる寸前。
風魔光太郎の水遁噴水の術で、空へと打ち上げられ、事なきを得るが魔法使いのミリエルは、続けて噴水に雷魔法を当てるため、詠唱を始める。
術者を葬るのが1番だと考えた風魔光太郎は、土遁岩落としの術でミリエルを攻め立てるが、交わされる。
風魔光太郎がただのゴブリンではないと警戒した『飛翔する翼』の面々だが、僧侶のアンナの放つ光魔法で風魔光太郎を滅することに決める。
しかし、ゴブリンに対して弱点となり得る光魔法を月遁暗闇弾の術で、打ち消し、家族に手を出したことに怒り心頭の風魔光太郎は、日遁太陽燦々の術を使う。
炎よりも圧倒的な高熱のレーザー照射を見て、逃走を開始する『飛翔する翼』。
風魔光太郎も黙って逃すわけがなく、水遁水照射の術、火遁炎の雨の術、木遁蔦絡みの術を用いて、追い詰めようとするがその悉くを回避されてしまうのだった。
風魔光太郎は、森の奥を見て舌打ちする。
まさか逃げられるとは思っていなかったのである。
家族に手を出されて、怒り心頭で攻撃が散漫になっていたかもと悔いると共に、1人だけ捕らえた襲撃者に話を聞いてみようと血が登った頭を冷やす。
「タマ!無事でござるか?」
「御主人様〜、無事ニャンよ〜。ティーナを抱えてたゴブリンを捕まえたニャンよ〜」
「また新手のゴブリンがティナを狙っておったでござるか。あの2人は何してたでござる」
タマの足元でもがき苦しんでいるゴブリンを見て、ハッとする風魔光太郎。
「タマ、止めるでござる!その2人は、悪いゴブリンではないでござる!」
「クッソー。兄貴、俺風魔様に恩も返せないまま死にたくねぇよ」
「ぐっ。風魔様に頼まれた任務すらろくに果たせぬとは無念」
「ニャニャニャ!?申し訳ないニャン!」
タマが離すのが少し遅かったのか2匹のゴブリンは、永眠ではなく気絶していた。
一方、目を覚ましたフェランティーナは、タマを見て喜びのあまり抱きついていた。
「タマ様ぁ。怖かったですぅ。臭くて汚いゴブリンが3匹も。はわわわわ。タマ様、コイツですぅ!」
「ティーナは、御主人様を指差して、何言ってるニャンね?」
「タマ様ぁの御主人様ぁ?じゃあ、やっぱりアレは夢じゃなかったんですかぁ?ふっ」
「御主人様、ティーナが倒れちゃったニャンよ〜!」
「酷く疲れているのでござろう。そのまま休ませておくと良いでござる」
「そうニャンね〜。ティーナが変なこと言うからタマもびっくりしたニャンよ〜」
「うむ。で、ウンディーネさんは何処でござる?」
「ウンディーネ様ならさっき御主人様が倒したティーナと同じ匂いのするエルフのところニャンね〜」
「ティナと同じ匂いでござるか。まさか!?姉や妹とかでは、ないでござるよな?」
「そんなこと言われてもタマには、わからないニャンね〜。でも同じ匂いがするニャンよ〜。家族の可能性は高そうニャンね〜」
「こ、こうしてはおられぬでござる!直ぐに謝罪をしてくるでござる!」
風魔光太郎が駆け付けた先では、意識を失っているパインズリーナを介抱しているウンディーネが居た。
「ウンディーネさん、その女性は無事でござるか!?」
「ちょっと!ちょっと!ちょっと!光太郎ちゃん、あんまり大きな声を出さないでよ!パインちゃんに障るでしょ!もう!」
「んっ。んんっ。ここは、私は夢を見ていたのかこの世界にまだ小太郎がいるわけが無いというのに」
「こ、小太郎でござるか!?それは、風魔小太郎と名乗っていたでござるか!?」
「待て!お前は小太郎を知っているのか!アイツは、アイツは元気なのか!」
「お、落ち着くでござる。拙者の名は、風魔光太郎と申すでござる」
「そうだな先ずはお互い名乗らなくてはな。冒険者ギルドのギルドマスターをしているパインズリーナだ。冒険者ランクはSだ。って、ご、ゴブリンが人語を流暢に話しているだとぉぉぉぉぉ!!!」
パインズリーナだとこの世界のエルフは名前が破廉恥になる魔法にでもかかっているのか!
「ちょっとパインちゃん、落ち着いて。見た目はゴブリンだけど中身は人よ」
こ、これは良い。
ウンディーネさんが言ってるように拙者もパインさんと呼ばせてもらおう。
「なんと。呪いを受けたのか可哀想に。身の上話も気になるが小太郎について、知ってることがあるのなら聞かせてくれないか!」
「ちょっとパインちゃん、気持ちはわかるけど。そんなに詰め寄ったら光太郎ちゃんが話しづらいでしょ」
「す、すまない。アイツに会って私と娘を捨てたことをガツンと言ってやらなければならないんだ!」
「御先祖様がパインさんと娘を捨てたでござるか?」
「あぁ。ある日突然、私とフェランティーナの前から何も言わずにあの男は姿を消したのだ!」
「それは、とても申し訳ないことをしたと御先祖様に代わって拙者が謝るでござるよ。な、な、な、なんと!?パインさんって、ティナさんのお母上なのでござるか!?」
「娘のことを敬称で呼ぶとは、風魔の者は、相変わらず手を出すのが速いと見える」
「断じて違うでござるよ!名前が卑猥だからでござる」
「娘の名前の何処が卑猥だと言うのだ!」
「あのその、夜伽の際の一部分を思い浮かべるといえば良いでござるか?」
「そ、そ、そ、そんなわけがないだろう!小太郎が付けてくれたのだぞ。私と娘の名前をな」
「光太郎ちゃんは、知らないかもしれないけど随分昔に今と同じように大魔王が現れて討伐した勇者がいたの。その人の名前は、母様が教えてくれなかったから知らなくて、パインちゃんの語る話の内容から察したんだけどね。で、その勇者が率いたパーティメンバーの1人がバインちゃんなのよ。まさか、勇者とやることやって子供作ってたとは知らなかったけどさ」
「その時、今のウンディーネ様は、生まれたばかりの赤子でしたからね」
「精霊も代替わりするのでござるな」
「勿論よ。限りある命に永遠なんて無いもの。いや、ここに規格外のエルフが居たわ」
「まだ600歳だ。エルフの寿命は千年と言われている。まだ半分を超えたぐらいだ。そんな私ですら、あの当時は20歳も行かない幼児で奴隷として見せ物とされていた。そこを救ってくれたのが小太郎だ。恋心を抱いて、何が悪い」
「そうよね〜。そこから大魔王を討伐するパーティに加わったんだもんね〜。いつも私に武勇伝として語ってくれたもんね〜」
「うっ。ゴホン。で、小太郎は元気にしてるのか?」
拙者はパインさんに包み隠さずに真実を話した。
「そんな、小太郎が野盗の頭目として、処断されただって!?それも今より400年以上も前に?何で、そんな世界に私と娘を置いて、帰ったんだ馬鹿者!」
パインズリーナが泣き止むまで、風魔小太郎は見ていることしかできなかった。
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第20話は、明日のお昼の12時を予定しています。
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