復活のナイトメアトレント
【ナイトメアトレント視点】
やれやれ、酷い目に遭ったわい。
大魔王様より力を授かり、この地に顕現して、恩を返すために勇者とやらの排除に向ったまでは良かったのじゃが、その森で最も危険な存在が勇者でもかつての勇者パーティの女エルフでも人間でもなくゴブリンだなんて、誰が信じられようか。
こうして、木炭となってまでもこの地に留まり意識を保てているのは、ひとえにあのヤバいゴブリンの存在を大魔王様に知らせるためじゃ。
何者かの足音が聞こえるのぉ。
こんな焼け落ちた木に何のようじゃ…お前さんはいつぞやのゴブリンでは無いか!?
もしかして、このワシが生きていることに勘付いて、まずい、まずすぎる。
「光遁『蘇生』の術でござる!」
ま、眩しい!?
やはり、ワシの存在に気付いて!?
ぐわぁぁぁぁぁぁぁ。
ワシはどうなったんじゃ?
瞼を開くと、手も足も身体も全てが元通りじゃ。
「良し、これで良いでござるな。お前の名は、ナイトメアトレントで間違いないでござるか?」
「このクソゴブリンがぁ!ワシの名を何故知ってるのかは知らぬが…ここで会ったが百年目!あの日のリベンジマッチじゃ!喰らえ、暗黒百連打!」
フハハハハ。
どうじゃ、これだけ複数の枝に殴られれば、ひ弱なゴブリンの肉体など簡単に貫いてくれるわ!
「忍法『身体強化』の術でござる!」
馬鹿な!?
ワシの枝が刺さる前に跳ね返るじゃと!?
ええいまだじゃ!
「中々、やるでは無いかクソゴブリン!それならこれでどうじゃ!暗黒魔法『デスアンカー』」
フハハハハ。
船の錨のような物で相手に死を与える暗黒魔法『デスアンカー』これで、お前さんの命もこれまでじゃわい!
フハハハハ。
「聖遁『光錨』の術でござる!」
馬鹿な!?
ワシの暗黒魔法『デスアンカー』を同じ船の錨の形をした聖魔法で覆い隠して包み込んで打ち消したじゃと!?
此奴、本当にゴブリンか?
ゴブリンの顔を被った神なのでは無いか?
ええい!
まだじゃ!
せっかく、何故か知らぬが蘇った命、大魔王様のため、例え相打ちとなろうともこのゴブリンだけは確実に殺すのじゃ!
「良いぞ!そうでなくてはつまらん!じゃが、ワシに本気を出させてしまったようじゃ。そろそろ死んでもらうぞいクソゴブリン!暗黒殺『デスカッター』」
無数の葉っぱをカッターの先のように鋭くさせ、相手の身体を糸屑のように切り刻む、ワシの暗黒殺法の最終奥義、これを受けて生きていたものはおらぬ。
さらばじゃ、クソゴブリン。
良い試合であったぞ。
「風遁『竜巻』の術でござる!」
無駄じゃ!
ワシの葉っぱは、風魔法如きで打ち上がらんわ……何故じゃ!?
何故、ワシの葉っぱが全て床に落ちているんじゃ!?
まさか、ワシの最終奥義でさえも通じぬとは…完敗じゃ。
大魔王様、申し訳ありませぬ。
ワシは、先に冥府でお待ちしておりますぞ。
何か、前もこんなセリフを言った気がするが…こんな強いゴブリンに勝てるわけないわい。
「気は済んだでござるか?」
「うむ。我が最強の好敵手であった!さぁ、遠慮はいらぬ、一思いに殺すが良い」
「何故、わざわざ炭から蘇生させたのに、殺さないといけないでござるか。お主の主人が大層悲しんでいたのでな…笑顔が見たくて蘇生させたでござるよ」
何と!?
流石は大魔王様じゃ!
こんなに強いゴブリンを支配下に置くとは、そういうことであれば断る必要も無かろう。
「ナイトメアトレントちゃん!?生きてたの?」
誰じゃこの可憐な女性は?
ワシは、こんな幼気な少女は。
ぬわっ。
この流れてくる魔力は、間違いないワシを蘇らせてくれた大魔王様じゃ!
「ダーリン!ナイトメアトレントちゃんを蘇らせてくれてありがと。最高のサプライズプレゼントだよ。今日の夜は期待しててね。ダーリンが気に入るエッチな下着で、マリアンヌちゃんと3人で」
大魔王は、何を言っておるんじゃ?
これではまるで、大魔王様がゴブリンの女みたいでは無いか。
それにマリアンヌ様といえば、大魔王様の側近であった幹部のサキュバス女であろう?
それに、ここには人も多く…鋭い殺気!?
アレは、まさか精霊衆か!
しかも四精霊が揃い踏みときた。
まさか大魔王様もこのゴブリンに敗北して…いやいやそんなわけあるまい。
わかりましたぞ。
これも何かの作戦なのですな。
そうと決まれば、ワシもこの生活に馴染むように。
キングホークよ。
ワシの枝は止まり木では無いぞ!
キマイラよ。
ワシの身体に擦り付けて毛繕いをするな!
炎の精霊様。
隙あらば炎の試し撃ちをしようとするなはやめてくだされ。
水の精霊様。
毎日水やりしてくださり感謝しますぞい。
風の精霊様。
ワシの葉っぱに風魔法はやめてくだされ、一歩間違えば丸裸になってしまいますわい。
大地の精霊様。
いつも、土の状態を保ってくださるお陰で、ワシが根付かせた木たちが果樹の実を付けて、感謝しますぞい。
勇者よ。
あの時は、悪かった。
だからそう何度もあの時の復讐とばかりに、斬り付けに来るのはやめよ。
コウタロウ様!
いえいえ、コウタロウ様の手を煩わせるなど治療などしていただかなくとも自然に治りますゆえ。
人間たちよ。
大地の恵みに感謝しますと毎日のように食べ物を持ってくるでない。
そのようなことせずともこの畑とこの果樹は、ワシが守ってやるゆえな。
結論、すごく馴染んだ。
というか、この村最高じゃ。
マオ様がコウタロウ様をつがいに選ばれたのも納得じゃ。
これからワシは、末長くこの村の番人として、守り続けるのが仕事じゃ。
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