風の申し子たちでござる!
【マミィ視点】
私の種族名であるキングホークは、空の王者などと呼ばれていて、洗練された個体は強力な風魔法を行使する事が可能とされている。
私がこうして今自己紹介のようなことをしていることにも訳がある。
その中で、トップクラスと自負している私を負かした主様に師事して、まさかこのような形で、風魔法を使えば右に出るのは居ないとされるエンシェントオウルでことを構えることとなるとは……人生とはつくづくよく分からないものだ。
決して、悲観しているわけではない。
私の今の実力がエンシェントオウル相手にどこまで通じるのかやり合ってみたいと思える程には。
主様は、ウンディーネ様とよろしくやっている頃だろう。
ウンディーネ様は水の精霊様であり、私たちが不甲斐ないばかりに魅惑のマリアンヌの主様ハーレム計画とやらで、主様に身体を蝕む強力な媚薬を使われたそうだ。
それを全て洗い出すため、その身を捧げて居られる。
まぁ、ウンディーネ様が主様のことを気に入っているのは見ていてわかるし、あのままにしておけないのも事実。
こればかりは、私たちにはしてあげられないことだ。
後で、マリアンヌには同じ相手にタイムされた先輩として、きつく言い聞かせておく。
さて、ウンディーネ様だが、もうそろそろ代替わりの時期も差し迫っていることから、その身に次の精霊を産み落とせる種を欲していることを私は知っている。
そして、主様はゴブリンの姿をしていても中身は人の子だ。
それもとても強い精神力を持った人の子だ。
ウンディーネ様が惹かれるのも無理はない。
私は魔王様の陣営に居ながらも風の精霊様を信奉している。
ゆえに他の精霊様のことも敬う一定の気持ちがある。
そこは、何でもかんでも破壊したがる魔王様とは違う。
それにしても私は、いつまでかつての主君を様付けするのだろうな。
こればっかりは長年染みついた癖のようなもので、なかなか抜けないので、仕方がないと割り切っている。
しかし、このエンシェントオウルのせいで、火龍に襲われているクラッシュの方を援護できないのは痛い。
向こうには、主様の子を宿す女たちが数多くいる。
お優しい主様のことだ。
媚薬を使われて、強制的に性欲を増幅させられて、行った行為だったとしても男の責任を果たすだろう。
厳しさの中に確かな優しさを持つ、それが主様の魅力なのだ。
「クェェェェェェェェェェ」
まずい、考え事をしていたら向こうが先に風魔法の詠唱を終えてしまったようだ。
全てを切り裂くような風の刃が私へと迫る。
だが、その程度でやられる私ではない。
「ハリケーン!」
私の周りをぐるぐると守る竜巻が風の刃を全て撃ち落としてくれた。
劣勢というわけではない、どちらかというと五分、十分にやり合えている。
風の申し子との呼び声も高いエンシェントオウルと一対一でやり合えている。
それは、私の中で確かな自信となっている。
シュインシュインシュインとエンシェントオウルの周りに集められた風。
まずい、詠唱して魔法が来ると油断させる作戦だったか。
無詠唱でこれだけ高度な風魔法を行使できるとは……ならばこちらもとっておきを出すしかない!
「クェェェェェェェェェェ」
あの風は生ある者全てを切り裂く、鉄の硬度を持つ先程とは比べ物にならないぐらいの広範囲に及ぶ風の刃だ。
「そんなことはさせん!ウインドカウンター!」
これが私のとっておきだ。
相手の風魔法を自身に向けさせ、それを数倍にして返す風の反射魔法だ。
「グェェェェェェェェ」
な!?
方向だけで、数倍になって跳ね返った己の魔法を消し去ったというのか!
やはり、やりあえているように見えて、その実向こうの方に分がある。
五分などではない……どうやら私は遊ばれていたに過ぎないようだ。
次なる手を考えねば。
皆を私の今の家族たちを守るために。
ここで、来てくれるか主様。
まさか、お一人で3匹を相手になさるつもりか!?
しかし、いや主様の心配をするなど無駄なことだ。
主様にどうしようもないのであれば、その時は相手の方が上だろうと全身全霊をかけて、タマと共に此奴らを外へと追い返すまでのこと。
「御意。エンシェントオウルを主様の元へ誘導します」
「頼んだでござるよマミィ!」
この戦いの中で心残りがあるとすれば、エンシェントオウルに傷を付けられなかったことぐらいなものだ。
まだまだ、私も鍛錬に励まねば。
タマやスラキチ、ゴブリン兄弟に我が子もそろそろ戦いを学ばせても良いだろう。
付き合わせるクラッシュには酷だが。
「タマ、何をしている!歩調を合わせろ!」
「マミィは、タマ先輩に対して酷い言い草ニャンね〜。アースワームを誘導するのは難しいニャンよ。代わるニャンか?」
「空も飛べないタマにエンシェントオウルが誘導できると?」
「無理ニャンよ〜でも賢いエンシェントオウルの方が誘導はしやすいニャンね〜。アースワームは、脳筋の馬鹿ニャンから」
「フン。言っていろ。最近食べ過ぎて、身体が鈍った言い訳であろう」
「それは、仕方ないニャンよ〜御主人様の御飯は絶品ニャン!」
「ふむ。では、タマに出す食事を少し」
「嫌ニャン!ちゃんと誘導するからそれだけは許して欲しいニャンよ〜」
できるなら初めからそうしろと言いたいが飯でキマイラをやる気にさせられるのは、世界広しといえども主様ぐらいのものだろう。
ここに火龍が向かってこないのは、心配だが先ずは2匹、主様になんとかしてもらうとしよう。
その後、ここを離れ様子を見に行けば良いだろう。
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第102話は、3月13日の金曜日のお昼の12時を予定しています。
それでは、次回もお楽しみに〜




