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キマイラとの死闘でござる!

 前回のあらすじ。

 Cランク冒険者パーティー『飛翔する翼』に誘われたAランク冒険者の長耳少女は、言われるままに始まりの森の調査依頼を受ける。

 スライムやゴブリン、ワーウルフなどの低級の魔物に襲われる程度で、これで楽々冒険者ランクアップだぜとリア充を満喫していた『飛翔する翼』の面々。

 ところがそんな甘い話は、長く続かず忍び寄る大型の危険生物キマイラ。

 その頃、初めてのパーティー加入で、役に立とうと食材の調達をしていた長耳少女。

 狩りを終え『飛翔する翼』の元へ戻った矢先、突如としてキマイラの襲撃を受ける。

 逃げ遅れた長耳少女を見捨てて逃げる『飛翔の翼』の面々。

 死を悟った長耳少女のまだ死にたくないという心の叫びを感じ取ったヒーロー風魔光太郎の遁術によって、水に押し流される長耳少女。

 獲物を嬉々として見つめる風魔光太郎。

 風魔光太郎の眼中から消えた長耳少女の運命やいかに!

「それでね。もう一度、言うけど光太郎ちゃんには、私たち精霊を蘇らせて欲しいわけよ」


 ウンディーネさんの話は、続いているが、遠くで助けを求める声が聞こえるのでな。


「ウンディーネさん、その話はまた後ほどでござる。拙者は、助けを求める声を無視できないでござるよ」


「ちょっと!ちょっと!ちょっと!そんな適当な話で誤魔化さないで、きちんと話を聞いて!それでね。って、居ないし!」


 ウンディーネさんには、悪いが今は一刻を争う状況である。


「(まだ死にたくないよぉ)」


 と言う声が聞こえたのでな。

 拙者が駆けつけた先では、何だか異様な姿をした化け物に、長耳の少女が襲われているところであった。

 化け物の姿は、頭はライオンで身体は羊、尻尾は蛇である。

 うむ。

 ちょうど、忍犬の代わりが欲しかったところである。

 四足歩行の動物ならアレはこの異世界における犬であろう。

 よもやライオンが犬とは全く。

 いかんいかん、あの長耳の少女が死んでしまうな。

 ん?

 長耳の少女?

 アレも魔族か何かであろうか?

 まぁ、良い。

 ならまとめて。


「水遁、水流押し流しの術でござる!」


「な、な、何なのぉ。この高位な水魔法、な、な、流されるよぉ」


 ほぉ、アレだけ流暢な人語を話せる魔族もいるのか。

 長耳少女、侮れんな。

 あっと、今は、あの化け物をどうやって弱らせるかだ。


「雷遁」


「ちょっと!ちょっと!ちょっと!何考えてんの光太郎ちゃん!早く逃げるのよ!アレはキマイラと言って、Aランクの冒険者が束になっても勝てないSランクに分類されている魔物なのよ!本来ここにいちゃいけない魔物よ!」


 キマイラ?

 所詮はライオンと羊と蛇を混ぜ合わせただけの合成動物であろう。

 それにAランク冒険者?

 Sランクの魔物?

 そんなことを矢継ぎ早に話されても拙者にはわからぬ。

 それに拙者は、あの魔物を立派な忍犬にすると決めた。


「雷遁」


「だーかーら!何考えてんの光太郎ちゃん!水に雷なんて流したら、あそこにいるエルフの少女にも被害が出るでしょうが!」


 エルフの少女?

 ほほぉ。

 アレがファンタジーで有名なエルフであったのか。

 しかし、人間でないのなら魔族であろう?


「雷遁」


「話を聞きなさーい!エルフは亜人で、森を守る防人なのよ!」


 ウンディーネさんが何度も拙者の術の発動を止めるせいで、あのキマイラとやらの態勢が元に戻ってしまったではないか。


「わかったでござるよ。要は、あの長耳の少女に被害が及ばないようにキマイラを倒せば良いのでござろう?」


「だーかーら!Aランクの冒険者が束になっても勝てないSランクの魔物なの!逃げるの!兎に角、逃げるの!」


「拙者は、あのキマイラとやらを忍犬にすると決めたでござる。ごちゃごちゃと言わずに黙って見ているでござる!」


「わ、私はちゃんと忠告したからね!どうなっても知らないんだから!そこにいるエルフの人、私の声が聞こえるならこっちに走ってきて!ここを離れるわよ」


 エルフの少女は、コクコクと頷き、ウンディーネの元に駆け寄る。

 だが、それを黙って見逃すキマイラではない。

 その背に鋭い爪を振り下ろそうとしていた。


「あ、危ない!避けてーーーー!!!」


「やれやれ、火遁、炎弾の術でござる!」


 風魔光太郎の放った炎の弾丸を素早く避けるキマイラ。


「今よ!早く、こっちに!」


「はぃぃぃぃぃ」


 ウンディーネの言葉にエルフの少女は悲鳴を上げながら、駆け寄る。


「た、助かりましたぁ。あの、そちらのお爺さんは、Sランク以上の冒険者さんですかぁ?」


「拙者は、冒険者ではござらんよ。ただ、あのキマイラという動物を忍犬にしたいだけでござる」


「忍犬?」


「この馬鹿のことは、気にしないで」


 忍犬という聞きなれない言葉に首を傾げたエルフの少女にウンディーネは、無視するように言った。

 ウンディーネの姿を見たエルフの少女は、歓喜に震えていた。


「はわわ〜。やっぱり、水の精霊ウンディーネ様なのですぅ!?」


「え、えぇ。間違いないわよ(エルフは、精霊のことがわかるのを忘れてた)」


「お会いできて、嬉しいのですぅ。ここ最近、気配が全く感じられなくて、心配してたのですぅ」


「喜んでいるところ悪いのだけれど。さっさと逃げるわよ」


「はぃウンディーネ様ぁ」


「光太郎ちゃんもこれでわかったでしょ!あのキマイラからは、逃げる。って、えっ!?」


 ウンディーネの言葉などまるで聴こえていないかのように、風魔光太郎はキマイラに対して、次々と遁術を発動していた。


「木遁、蔦絡みの術でござる!」


 伸びた蔦がキマイラの前脚と後脚を絡め取るために、向かっていく。

 キマイラは、それを爪で切り裂き、風魔光太郎目掛けて、飛び掛かってくる。


「土遁、石壁の術でござる!」


 突如目の前に現れた石壁ごと叩き割るキマイラ。


「かかったでござるな!土遁、落とし穴の術からの草遁、草で穴隠しの術でござる!」


 石壁を叩き割り、その勢いのまま草を敷き詰められた場所に着地して、穴へと落ちるキマイラ。

 穴にハマったキマイラは、必死に出ようともがいていた。


「まだまだ、これでチェックメイトでござるよ。水遁、雨降らしの術からの雷遁、雷落としの術でござる!」


 何度も言うが風魔光太郎という男に術のネーミングセンスはない。

 だが、分かりやすくはある。

 落とし穴の中でもがくキマイラを雨を降らせて、身体をビチョビチョにして、その上から雷を落としたのである。

 その場から動けずなすがままとなっていたキマイラは、感電してぐったりとしていた。

 この光景を見て、唖然となるウンディーネとエルフの少女であった。

 本来Sランクの冒険者ですら複数人集めて、討伐する必要があるキマイラが風魔光太郎の遁術の前にまるで赤子のように軽く捻られてしまったのだった。

 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

 少しでも楽しい・面白い・続きが見たいと思って頂けましたら、下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から評価してくださいますと執筆活動の励みとなります。

 感想も読んで返信させていただきますので、何卒宜しくお願いします。

 第11話は、明日のお昼の12時を予定しています。

 それでは、明日もお楽しみに〜

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