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その死神は悲しく微笑う  作者: 柿者ししまる
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1話 オープニング

人は生きる。何故なら生まれるから。


人は死ぬ。何故なら生きるから。


人は・・・


??「はいそこまで!」


思わせぶりなセリフを陽気な、少し強めの語気をきかせて男の頭をはたく男。


??「そのくだりは前シリーズっでやってんだよ!また最初っからやる気か?」


?「ま、まあ最初だしこういう感じのほうがいいかな~?と」


??「それにそれこそお前の役は俺のポジションだろう。お前がそんなんでどうすんだ!」


?「いや~こういうのもいいんかな?と最近思いだしてな。


お前の言う「楽しそう」というのを最近わかりだしたんだよ」


ジリジリジリジュー


気さくに答える男の腰にかけている小型のカバンから小さく煙がでてきた。


??「仕事か、」


手慣れた感じで手帳を出す男。ページをめくり文字を読むやため息を一つつきながら手帳をしまう。


手慣れすぎていて逆再生のように見える。


?「ああ、少し大仕事のようだ。お前にも入るぞきっと」


??「ん?まさか災害か・・・?」


?「いや・・・事故かなんかだ」


その時もう一人の男の胸元に熱い焼ける音がする。熱さを意に介さずこちらも手慣れた感じで


手帳を取り出す。読んで目をむいて一言


??「これ・・・事故か・・・?364人・・・」


?「カイン、勘ぐるなよ。手帳に記された以上これは現実に起こる数だ。


何をしようが覆ることは・・・!」


カインと呼ばれた男はその場にいなくなっていた。


ーーーーーーーーーーーーー


重い扉が開く。拓いた扉に体をくぐらせた途端聞こえてくるのは


下手から少し大きな滝の音。だがそれを意に介さず上手側の崖のような机に一足飛びに


飛び上がり数秒後にその机に着地する。机の広さからすれば入ってきた男、カインは


消しゴムのようなサイズだ。


?「やはりきたか」


カイン(以後カ)「!うえ!!」


その机のサイズに見合う山ほどの大きな影。黒いローブをまとってそれこそ


黒い岩山のようなそれはその人物の後ろ姿。


その人物が一声つぶやいた後、頭のローブをあげて椅子を回しカインに向いた。


元来この部屋の責任者はこのローブを脱ぐことはない。ローブを脱ぐのは


その責任者以外の誰かだ。そしてその人物はその責任者以上の権威の持ち主でもある。


?「久しぶりだなカインよ」


カ「ハ、ハーデス様!なんでここに?」


ハーデス(以後ハ)「そもそもここは私の部屋だ。


あれに任せているのは代理としてだ。久しすぎて忘れたか?」


カ「そりゃあ忘れますって!何百年ぶりですか!!って、そういうことじゃない!」


ハ「ん、その仕事の件か」


カ「! は、はい。これは・・・本当に?」


ハ「カイン、それが人間の世界の現実というものだ。戦争でもない。疫病でもない、


ただの事故になる。それだけで多くの命が消える。我々はそれを管理するだけだ」


カ「・・・悪魔は」


ハ「来る前に知っておろう。何のざわめきもなかったことを。ただ・・・


その事故に起因するものはすでに人の世界に入っているのかも」


カインはその言葉を聞き終わらぬうちに扉までとび、扉から出て行った。


カインを目で送るだけだったハーデス。少しの間、再び椅子を回し机の向こう窓を眺める。


ハ「・・・初めてでは無かろうに、人の戦時中も、あの虐殺兵器の時も、地震の時だって、


その都度あいつはここにくるんだな・・・あれが私に任せるはずだ・・・」


?「人は命の進化を妨げた功罪を持っています。その進化を文化や精神性に変化させた


結果の一つが我々であれ、時に起こってしまうものなんでしょうね。油断というものは・・・」


いつの間にか机の反対側、真紅の滝が落ちる壁側の応接用の机とソファに


真紅のワインのような液体を片手にうつろ気な表情の天使がお供を連れて座っていた。


ハ「油断、で片づけるか・・・それが悪魔の仕業と揶揄もされようが一度の消える数を考えると


カインではないが釈然としない気分にさせられるな・・・ミカエル、クロノス神はなんと?」


ミカエル(以後ミ)「なにも、依然眠っておいでです。ハーデス様御身には?」


ハ「おなじく・・・人の死は今もどこかであるもの。命の誕生も等しくな」


ミ「はい、ただ、カインではありませんがやはり、


平和な場所でそれだけの命が、と思うと私でさえくるものがあります」


ミカエルはワイングラスを片手にお供をソファの後ろに立たせたまま


ハーデスのいる机のほうにとんだ。


机に優雅に飛び降りたミカエル。ワイングラスを置き、ハーデスに膝まづいて


ミ「願わくは冥界神に彼らを含めた消えゆく人の命の安息を」


それを聞き終えたハーデスは窓を眺めた方向のまま立ち上がり、窓に近寄り


片手を掲げる。その手にはいつの間にか


ミカエルのそばに置かれていたワイングラスが握られていた。


ハ「気持ちは同じだ、我もまた人の命の安息を願おう」


そういってワインを飲みほした。


これはカインが、ある飛行機事故を担当するお話。


お久しぶりです。

なるべく更新頻度あげて投稿できればと思います。

今回はある実際に起こった飛行機事故を参考にしたお話。

登場人物や会社などの全てはフィクションです。

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