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ランスルー4  作者: jima
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The Decisive Battle: The Top of the School編 ⑥

 いよいよ決闘に臨む4人。それが日常のタケちゃん、何か策略を巡らすプラ、ビビっているロー、ほぼ何も考えていないアンラッキ…

 プラ1


 僕がプラと呼ばれることになったのは本日2時間目の学級活動の時間だ。学級委員決めで変なやりとりがあり、その途中で担任のアディに『プラ』と呼び名を変更された。タケちゃんやローや周りもほぼ全員が『プラ』と呼ぶようになってしまった。

 みんな順応性というか適応力がすごすぎないか。



 それはそうと、我々…番長タケちゃんと学級委員ロー、そして何でかアンラッキが加わって4人で屋上への階段前に来ている。ローに話しかけた。


「ロー、怖くてオシッコをちびりそうだ。トイレにつきあってくれ」

「僕はすでに数滴ちびっているといってもいい。だからここで解放してくれないだろうか」

「今逃げたら、明日、我らがヒーロー広尾は3年生側に寝返ったと言いふらす」


 会話を聞きながら、アンラッキが呆れた顔で僕たちを見ている。タケちゃんと違って僕たちには腕力胆力突進力がないのだ。

 だいたいアンラッキが無理矢理ついてくるから、僕は苦労しているのだが。自他共に認めるイケメンローだが、さすがに女子の前でも格好をつけられないほど、ビビっているようだ。


「いいから、来いよ。一人は寂しいんだよ。アンラッキ、一緒に来るかい?」

 アンラッキが僕をにらんで、膝蹴りをお尻に当てる。


「いきません!お下劣プラ!」

「いててっ!タケちゃん、ちょっとだけ待っててね」

「おうっ!たっぷり出してこい」


 タケちゃんがニヤリと笑って言うと。またアンラッキがいやな顔をした。




 トイレでローに話しかける。

「ロー、アンラッキをなんで止めないんだよ」

「あれだけみんなで止めたじゃないか。ギリギリまで。なのにまるで聞く耳持たずで、しまいには連れてかないなら、『3人の秘密をひとつづつ暴露する』…と脅迫を」


「秘密って何だよ。僕にはそんなものはないぞ」

「僕だって…ないよ」


「『連れて行かなかったことを必ず後悔するくらいの恥ずかしい秘密ですよ』って何だ」

「プラ、僕は恐ろしい。アンラッキちゃんは何を知っているんだろう」


「何だ、ロー何か後ろめたいことがあるんじゃないか?」

「いやいやいや、ない。ホントにない。だが女子のネットワークの恐ろしさを君は知らない。事実かどうか何か関係ない。彼女らに睨まれたら、あることないこと言いふらされて、廊下も歩けないくらいに恥ずかしい人間である認定をされるんだ」


「ロー、いったい昔何があったんだ。アンラッキはそんなことしないよ。…でもまあ、ここまでついてきちゃったし、なにしろタケちゃんが『大丈夫だろ、多分。』という泥船のような保証をしてくれているから、とりあえず屋上までは行ってみよう」


 ローが青ざめた顔で頷いた。

「で、ローはタケちゃんと僕の後ろからついてきてくれ」


「タケちゃん、プラ、僕、アンラッキ…の順だね」

「うん、そうだ。3年生の人数が7人以上だったら、僕が合図する。すぐに扉を閉めて内側から鍵をかけちゃってくれ」


「えっ?鍵を?」

「ローの判断力責任感等を信じて、お願いするよ。アンラッキを守って、そのままアディのところへ行ってくれ」


「大丈夫なのか?その…6人相手で」

「タケちゃんの話では京口先輩は狂犬ではあっても、1対1といったら1対1でやるそうだ」


「あてになるか、そんなの」

「僕もそう思うよ、ロー。タケちゃんは5人までは一人で相手にできると言っている」


「ホントかよ…。でも6人って一人多いじゃないか」

「一人は僕が抱きつくなり、まとわりつくなりして邪魔するから、そのくらいは大丈夫だ」


 ローは少しだけ、見直したような顔をする。

「それ以上だったら、アディに報告しに行くと…」

「そういうこと。さすがにアンラッキを危険な乱闘現場に連れて行くわけにはいかない」


「待て待て。6人以下なら僕たち4人、しかもアンラッキ含む、で乗り込むことになっているぞ」

「さっきも言ったように、6人以下なら安全な乱闘現場だ」


「そんな馬鹿な…」

「それにね、ロー。アンラッキがいた方が穏便に話が進むというのは本当なんだ」


「プラ、…何か考えがあるんだろうな」

「僕の悪賢さとタケちゃんの喧嘩の強さとアンラッキの不運さを信じろ」

「最後に思いっきり不吉なのが入ったぞ、プラ」


 僕たちは再び屋上前の廊下に戻った。タケちゃんとアンラッキが何故か、緊張感のかけらもない顔で笑って何か話している。

「お、戻ったか、連れションコンビ」


 アンラッキも続ける。

「戻ったか。連れションコンビ」


 …アンラッキが変な言葉を覚えた!僕もローもそれには反応しないで、言う。

「…お待たせしました」「行きますか」


 タケちゃんが上の方を向いた。

「だいぶ待たせたみたいで、悪かったなあ。先輩方はもうとっくに来てるみたいだ。気配がする。4~5人ってとこかな」

 動物的な勘だな。でもタケちゃんはそういう勘はほぼ外すことがない。




 予定通り、僕とローで誘導し、先頭タケちゃん、僕、ロー、アンラッキの順で階段を登った。さて、何人か。この後も僕の予定通り進むのか。

 本日の目的は僕の落ち着いた学校生活が乱されないようタケちゃんにラスボスと決着を付けてもらうこと。そのためにはタケちゃんが一方的に決闘に勝利を収めたとしても3年生のプライドをある程度保つことだな。狂犬とタケちゃんが少し仲良くなるようならベストだが…これはこれで鬱陶しいだろうか。


 屋上へのドアを開けた。3年生の男子が4人待っていた。


 

 次回はいよいよ本当にまったく必ず決闘です。

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