プロローグ
私は友達の好きと、恋する好きの違いが分からない。
ただ一緒に居るのが楽しいと思ったから、付き合うという選択肢を選んだ。
毎日会えないと寂しいなんてことはない。
近くでお喋りしていれば楽しいし、姿が見えなければ居ないなぁと思う。
本当にそれだけ。
じゃあなんで付き合ったのか?
それはあの子に私が必要だったからだろう。
私も隣にあの子が居て不快になんてならないし、好意を向けられて嫌な気持ちは全くなかった。
だから告白を受けた時、条件付きで付き合うことにした。
本当にそれだけ。
私はあの子のことを嫌いになれない。
むしろ嬉しそうに笑う顔が好きだ。
でもそれが恋だと思ったことは一度も無い。
それは仲の良い友達との違いが分からないからなのかも知れない。
一緒に居て楽しい人はその子だけじゃない。
別にその子にこだわる理由も見付からない。
だけど拒否する必要性を感じない。
だって私も楽しいのだから。
それを世間一般で恋愛とは言わないのだろう。
なら別に私達は周囲から恋人として見られなくてもいい。
私はあの子のことが好き。
あの子は私に恋している。
そして私達は恋人同士。
本当にそれだけ。