今日も美少女生徒会長は意地悪です。
※なんか思いついたから適当に書きました。続くかどうかは知りません。
「……会長、俺がやるのってこの書類?」
『それは私がチェックするやつ。鈴木君のはそれの右のやつ』
「うげっ……こんなに……?」
『仕方ないでしょ。必要なやつなんだから……それに今のあなたは生徒会メンバー(仮)でしょ?』
「……思ったんだけどさ、何で俺はここで強制労働させられてんの?」
『こんな美女と二人きりで仕事出来るだなんていいじゃない。それにお礼は弾むわよ♪』
「お礼って?」
『私とデート♡』
「断る」
『はーい大チャンス逃したー! 冴えない鈴木君にとっても可愛い彼女とデート出来る最初で最後の大大大チャンスだったのにー!』
「人を"冴えない”だなんて言うやつは俺の彼女じゃない。それにさっきから思ってたけど全然二人きりじゃなくて思いっきり他のメンバー居んだろ……」
『えっ……! ちょ! 本気にしないでよ!! 今のは〜え〜っとその〜言葉の綾って言うか〜?』
慌てて表情を変えて訂正する会長。笑顔だったり困った顔だったり、表情がコロコロ変わって可愛い。
さっきから俺を奴隷のようにこき使っているのは、生徒会長の和泉杏奈だ。校内トップクラスの美少女と名高いが、このように俺の事を便利なやつ扱いしているので、俺はこいつが苦手だ。全く……何でこんなのが生徒会長になんてなってしまったんだ……
事の発端は一ヶ月ほど前……大量の書類の処理に困った彼女達に手を差し伸べたら、何故かそれ以来、俺は生徒会メンバーだけでは終わらなそうな処理作業やらの時に駆り出される便利屋のような存在となっていた。
クラスの連中からは、和泉が俺のクラスに来た時は、大抵俺に用があると既に学習されてしまったようで、和泉が何も言わなくても俺がクラスの連中に連れていかれるようになってしまった。
『(俺たちずっと居るのに居ないみたいな扱い受けてるな)』
『(なー)』
可哀想な生徒会メンバーがヒソヒソと話し合ってる。まぁどうせあいつへの愚痴だろうから聞くまでもないが。
「なぁ、お前のせいで今日も帰るの遅れるんだけど」
『……』
ダメだこいつ無視してやがる……
──────鈴木拓也のクラスメイト、そして会長以外の生徒会メンバー全員はこう思っている。
『『『『(お前ら早く付き合えよ)』』』』
と。傍から見ても、和泉杏奈が鈴木拓也を好いているのは明らかだった。最近は大した仕事でもないのにちょくちょく生徒会室に連れてきてるし、彼と話す時の顔はいつもと少し違う。鈴木拓也の方もなんだかんだ言って毎回バックれずにちゃんと仕事をしているし、さっきのデートの話を聞いた時も一瞬体がピクっと動いていた。会長が告白された話を持ち出すと、複雑そうな顔で話を聞いて、彼女が相手をフったことを知ると安堵したような表情を僅かに覗かせる。毎回そのパターンなのによくもまぁ飽きないものだ。会長はよく冗談めかして彼をデートに誘っているが、彼の方は休日出勤はごめんだと断っている。しかし実際のところは、二人で並んで歩いているところを頻繁に目撃されているため、彼はいわゆるツンデレと言うやつだろうか……しかし当人たちは一向に相手への恋心を自覚しようとしていないため、ワンチャンあると思ったバカが会長に突っ込んで玉砕しているし、彼は毎回それを聞いて動揺している。そんなんだったらもういっそこいつは俺の彼女だと宣言でもしてやればいいと思うのだが、なかなかその通りには進まない。
さてさて、今日もなかなかくっつかない二人の青春劇が楽しめるのだろうか……それともそろそろ付き合っちゃうか? そんな感じで周りのみんなは優しく見守ってくれています。
──────あー、久々の休日だ……最近はあいつにあちこち連れ回されてばっかだったからな……つまらないかと言われればそうじゃないが……あいつ可愛いし。ん? 何で俺はいつの間に外出用の服に着替えてるんだ? まぁいいや、さて、録り溜めてたアニメでも見て日頃の疲れを癒s……
『ピンポーン』
そんな時に無情にも鳴るインターホン。あぁ、またか……またあの時間が始まってしまうのか……まぁ……いいや。あいつ可愛いから許す。(思考放棄)
ドアを開けると、二次元美少女に勝るとも劣らない天s……じゃなくて会長がいた。
『今日もどっか行くわよ!』
「寝てていい?」
『私の膝枕で?』
うーん……それは大変魅力的なのだが、近所の人と玄関先で待機してた妹からの視線が痛い。
「ぶっ飛ばすぞ」
対して俺はいつもと変わらない口調で返す。本当ならぶっ飛ばすどころか抱きしめたいぐらいだが。
『つれないなぁ〜』
『兄さん今日も彼女とデート?』
『そうそう! あなたの未来のお義姉ちゃんだよ〜』
「断じてそんなんじゃない。俺はこいつの都合の良いように連れ回されてるだけだ」
『二人ともまだ高校生なんだから子供は作らないようにね〜』
「そういう事の前にはまずは付き合わないといけないんだぞ?」
『『じゃあ今から付き合っちゃう?』』
「アホかお前ら」
『それじゃそろそろいってらっしゃ〜い』
──────そんなこんなで茶番を終えて目的地に着いた。相変わらず勘違いの激しい妹だ。
『ねぇねぇ! まずは服が見たい!』
「先々週に行ったろ」
いやまぁ新たな可愛い姿を開拓できるからいいかもしれないけど……
『うーん……じゃあミ○ドで!』
「じゃあ俺はポン・○・リングな」
『私はエンゼルクリーム♪ 久々だから楽しみだな〜』
──────フードコートの某大手ドーナツチェーン店へと足を運んだ俺たちだったが、前回奢ってもらったお返しとして俺が奢り返すこととなり、彼女を席に残して俺はドーナツを買いに行った。目当ての品を買えて、満足して彼女の元に戻ると、ラノベではすっかりお馴染みのイベントとなった、"チャラ男のナンパ”が始まったようだ。
『お姉ちゃんどこの高校なの? 俺と最近話題のタピオカ店にでも行かね?』
『タピオカとかもう古いですよ? ブームが来たのって何年前ですか(笑)それに私には彼氏がいるんで』
おっと……親の声より聞いた定番のセリフ。その彼氏役は誰がやることになるんですか? …………はいはいわかったわかった。嫌だなぁ……
『へー、じゃあ呼んでもらおっか』
「呼ぶも何もここにいますけど」
仕方ない。こういう時は空気を読んでこいつの彼氏役に徹しよう。
『へー、あんたが……ね。ぶっちゃけ地味っつーかこの男にお姉ちゃんは勿体ないっつーか……』
『……人の彼氏にケチつけるような器の小さい男に興味はありません。さよなら。じゃあ行こっか♪』
彼女はそう言うと突然腕を組んできた。とてつもなく大きいと言うわけでもないが、一般的な女子高生レベルはある胸が俺の腕に押し付けられる。今まで感じたことの無い柔らかな感触の虜になりそうになったが、あくまで平静なフリを保ってその場を後にする。どうやらチャラ男もたまにはいい事をしてくれるようだ。
──────『いやー、ありがと♪ 助かった……』
「それより腕を話してくれませんかね?」
『さっき助けてくれたお礼♪ 今日だけはこのままでいいよー♡』
「いやあのそういうのいいんで……」
じゃないと俺が色々と抑えきれません。
『こんな美少女と腕を組めるなんて思春期の男子の誰もが妄想するシチュエーションでしょ?』
いやまぁそうだけどさ……
「今度何か奢ってくれれば良いから……同じ学校の奴に見つかったら面倒なことになるし……」
『……じゃ、私が腕を組みたいって言ったらどうする?』
「……別にどうもしねーよ」
『へー……本当に〜?』
「本当だっての……」
『あーあ……つまんなーいの……』
ようやく彼女は俺の腕を解放してくれた。 なんかもう色々と限界に近かった……危ない危ない。
──────はぁ……どうやら今日も美少女生徒会長は俺でいっぱい遊びたいようです。
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