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手紙

ある日、一通の手紙が届いた。


『未来の英雄様へ』


「これ、いたずらかな?」


未来の英雄様?胡散臭い。こんなもの誰が信じるんだろう。まぁとにかく開けてみよう。


内容を簡潔にすると、貴方は選ばれし勇者です。どうか世界を救ってください。って感じだ。


まぁいいや。寝よう。考えるのが面倒そうな事はいいや。


そんな事を考えながら、俺はいつも通りに、いつもの明日が来ると思いながら目を閉じた。手紙はポケットに入れたままに。


その夜、僕は不思議な夢を見た。それは、夢というにはあまりにリアルで、リアルというには現実離れしていた。


「ここはどこだろうか。まぁ、夢だし覚めると忘れるか。」


僕は真っ白な地面に立っていた。どうやってきたのかは分からない。ここがどこかも分からない。だから適当に歩いてみることにした。


「こんにちは。」


背後から声をかけられた。


「貴方は誰ですか?」


「私は、この世界とは別の世界の神、アルテマです。」


「神様?」


「はい。そうですよ。」


「え?神様?」


「はい。」


正直、名も知らない、正体も分からない、無視が一番だろう。だが、こんなよく分からない奴が夢の中に居るのは少し気味が悪い。意識がはっきりしているから尚更だ。


「夢ならば、自由だな。」


思い切り自分の頬を叩く。バチンという音と共に衝撃が走る。しかし、痛みはない。もう少し叩いてみるか。


「ちょ、ちょっと待ちなさい!」


「これは夢だこれは夢だ.....」


「話を聞きなさい!」


手を掴まれ、どこから出したのか分からないが、椅子に座らされる。


「実は私の世界を救っていただきたくて、声をおかけしました。」


「なんて?」


聞き間違いかな?いまなんか聞き捨てならない単語が聞こえたが。


「だから、世界を救って欲しいんですよ。」


「そうか、そんな夢なんだな。じゃあ現実に帰るわ。」


「そ、そんなぁ~貴方が勇者になってくれないと、もうこの世界滅んじゃうんですよ~お願いしますから!一生のお願いですから~」


これが神様?なんともまぁ随分と軽いというか、頼りないというか。


「分かりました。分かりましたから。その手を離してくださいよ...」


「ありがとうございます!それでは早速説明しますね___」


このアルテマとかいう神様が管理している世界が何者かに脅かされているという事から、俺が呼び出されたらしい。呼び出される条件は手紙を見ることだったらしい。


「質問だが、なんでその世界で勇者を見繕わなかったんだ?他にも自分で救いに行くとかできるんじゃないか?」


「それは.....」


「事情があるんだな。神様も大変だな。」


アルテマ曰く、神様はたくさんおり、現実には干渉できない誓約があるそうだ。そして、他の世界の神様から推薦された人のなかから選ぶそうだ。言い迷惑だな。


「報酬とかあるの?」


「もちろんそれ相応の報酬はでますよ。なんでも叶えることも可能ですので。私、これでも神様なので。」


「なら分かった。引き受けよう。」


どうせ、親と友達以外の未練は無い。


「ありがとうございます!ありがとうございます!それでは、条件がありますので、この書類に同意してください。」


書類?急になんかリアリティが増したな.....どれどれ.....


一つ、心をほぼ善意のみにするため記憶に若干、干渉します。


「は?」


ま、まぁいい。次だ次。


二つ、この世界で死んでも生き返ることができますが、身体と精神へのダメージはあるので注意してください。


その他はけっこうどうでもいいものだった。


「一つ目ってどうゆうこと?」


「...?そのままの意味ですが?」


「自我とか壊れないの?」


「その点は問題ありません。あくまで善意のみにするってだけであって基本の記憶や技能は残るはずです。」


「え?おいおいおい、ちょっと待てって.....」


「はい。それではお願いします。どうか世界を救ってください。いってらっしゃい。」


その瞬間、俺の身体は光に包まれ意識が次第に薄れていくのを感じた。






「.....様....お.て....」


ん?なんだこの声は?


「勇者様、おきてください。」


聞き覚えのない声が隣から聞こえる。


「な、なんだ?」


「お目覚めになられましたか?」


誰?この子。


「えっと...ここどこ?」


「ここはウィンドチルの町です。」


「え?日本じゃ.....ないのか?」


「ニホン?何処の事でしょうか?私は聞いたことないですね。」


どういうことだろうか?僕は家のベットで寝ていたはずでは?


「貴女の名前は?」


「私はアラゴナイト・ドラゴアイといいます。今は神と勇ましき者に仕えるものです。」


「僕は....」


あれ、思い出せない。なんでだろう。名前だけが思い出せない。記憶からすっぽり抜け落ちている。


「どうしました?どこか痛みますか?」


「名前が思い出せない。」


「困りましたね.....」


「なんだったか...」


思い出そうとすると頭が痛くなる。しかし、どうしたものか。


そう考えていると、ポケット中の異物感に気づく。


「これは...」


そうだ。この世界に来る前にポケットの中に手紙を突っ込んでいたんだった。何か手掛かりりがあるかもしれない.....え?


「どうされましたか?」


「内容が変わっている.....」


おかしい。内容は全部読んだはずだ。少し曖昧だが、内容も覚えている。だが、中身が全く別のものになっていた。


「何かあるかもしれません。読んでみましょう。」


「あぁ、分かった。」


内容を読んだが、大したことは書いていなかった。今の世界がどうとか、やることがどうとかといった、説明書みたいなものだ。


「たいした事は書いてなかったようだ.....」


「そうですか.....」


そういえば、気になることがある。


「今さらですけど、アラゴナイトさんって背、高いですよね。」


そう、アラゴナさんは背が高いのだ。僕より高いって事は多分180近くあると考えられる。


「そうでしょうか?私は169cm程しかありませんが。」


あれ?身長の高さの単位って多分一緒だよな。ていうことは...


「僕の身長ってどれくらいに見える?」


「140cmぐらいでしょうかね。」


「なんてこった.....」

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