第2章
知らない人「だとしたら、その場合は簡単だよ。転生しなければいいから。」
私「あっ、転生しなくてもいいんだ。」
知らない人「しなくてもいいよ。」
私「転生しない場合はもう転生するチャンスはなくなるの?」
知らない人「いつでもいいよ。」
私「転生しない場合はどうなるの?天国か地獄のどちらかに行くの?」
知らない人「地獄はないよ。天国しかない。」
私「なるほど。確かに全員天国に行けるのであれば、転生する必要はないね。」
知らない人「『全く何不自由なく安全に暮らす』ことを目的とするならね。」
私「天国ってどういう所?」
知らない人「一言で言えば、悩み、苦しみ、それらが一切なく常に満たされている世界。」
私「お金は必要ないの?おなかがすいた時は?」
知らない人「おなかはすかない。なぜなら常に満たされているから。病気にもならない。なぜなら、常に健康だから。」
私「そこでは友達はできるの?恋人は?」
知らない人「天国では全てが一体となっているよ。全ての人間がコミュニケーションをとる前からお互いの事を完璧に分かっている。お互いの事が100%分かっているから、争いもなくトラブルもない。だから、皆が家族だし、友達だし、恋人になれる。」
私「でも、中には悪い人もいるんじゃないの?そういう人が来た場合はどうするの?地獄がないってことは生前、人を殺した人も来るんだよね?」
知らない人「悪い人というのは存在しない。少なくとも天国では。例えば、スラムでは生き残る為に、強盗をしてその際、人を殺してしまう事もある。その人がなぜ人を殺したかというと飢えを凌ぐためだったり、他者への理解が足りなかったりするから。けれど、天国では、常に満たされているので飢えは存在しないし、お互いの事を良く理解しているので、傷つけ合おうとは思わない。人を傷つけるのは足りないと思うからであって、常に満たされているのであれば、暴力を振るおうとは思わない。」
私「例えば、それでも、1人の女の子を2人の男が好きになって、それで争うとかないの?」
知らない人「お互いの事を100%理解しているということは、その人が何を望んでいるのかも分かる。その人の喜びは自分の喜びになるし、その人の悲しみは自分の悲しみとなる。そのため、他者が悲しむことはわざわざしようとは思わない。もし、その3人が一緒にいることで幸せになるのであれば、3人で一緒になる。」
私「あまりイメージができないな。」
知らない人「肉体があるのとないのとでは全然違うからね。食欲も性欲も肉体に縛られている。けれど、天国ではそれらが常に満たされているからそもそもそういったトラブルも存在しない。」
私「分かった。ともかく、天国では全てが満たされていて皆、ハッピーということね。」
知らない人「そういう理解で大丈夫だよ。」
私「分かった。ただ、天国もいいんだけど、流石にそれだと、つまらなすぎるかもしれない。」
知らない人「『全く何不自由なく安全に暮らす』ことが目的とするならば、これ以上の選択肢はないと思うよ。」
私「そもそも他の人はどういう理由で転生するの?」
知らない人「それぞれ、目的は違うよ。」