表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女ラジカルはるか~エグニマ時空戦役~  作者: 騎士誠一郎
第8話 第1次人類生存意義防衛戦
31/39

8-2 激戦!!

その瞬間から、戦いが始まった。

 自由電子レーザーが飛び交い、ミサイルの雨が降り注ぐ。

 攻撃が飛べば、必ずどちらかの船が沈む。

 戦場は残酷でシンプルな世界。

 強いものが生き残り、弱いものは消える。


 弱肉強食の答えの1つが示されている。

「カサマ、ハシバ、共に沈黙!」

「第2攻撃艇中隊、多数大破! 以前敵の攻撃は続く模様!!」

 連邦軍は必死になって状況に対応していく。


 人類の存在意義のために戦っている。

 それは、人類が安心して暮らせるために戦う意志だ。

『我らが神のために』

『愚かな有機知性体に、鉄槌を』

 エグニマは、自分たちの存在意義を示すために、全ての生命を根絶やしにする。


 自分たちを生み出した、上位決定者の指示のもとに、彼らは戦っている。

 エグニマ艦隊は、6連装レーザー砲を放つ。

 これに対して、

「シールドドローン、フォーメーションD4!」

 昇の号令でシールドドローンたちが前衛に飛び出し、スクラムを組む。


 前面にレーザーシールドを展開して敵からの攻撃を防いだ。

『敵ドローンの排除を優先する』

 エグニマも、ドローンの存在を邪魔に思ったのか、排除に乗り出した。


「全艦、主砲斉射!!」

 その隙をついて連邦攻撃艦隊第1陣が主砲を一斉に放つ。

 電磁加速した光分子が、エグニマ艦隊を貫いた。


 そんな中、はるかはムラクモの甲板に居座っていた。

 赤星の手には、大型のレーザーランチャーが握られていた。

「中尉、こいつはムラクモからエネルギーを引いてあるが、無駄撃ちは禁物だ!」

 遊子彦ははるかに注意を促す。


 と言うのも、八重樫重工が開発した試作型自由電子レーザー砲は、並の強化服の出力では扱えないほどの電力を消費する。

 その為、ムラクモから電力供給を行う事で、エネルギーは確保されているが、チャージに時間がかかる。

 だからこそ、無駄撃ちができない。


「了解です! こいつを使いこなして見せます!」

 はるかもそれに了解を示した。

『エネルギー、充填チャージ開始』

 ペイの声と共にランチャーにエネルギーが充填されていく。


 ムラクモのプラズマ反応炉から送られる光分子がランチャーの機関部で収束される。

 砲身に電磁付加が加わる。

「ペイ、照準補正!」

 はるかは照準モニターで狙いを定める。

 目標はエグニマ艦隊。

 充填の度合いを示すモニターが、充填完了を知らせる。


「いっけーーっ!!」

 引き金を引く。

 砲口から大出力のレーザーが飛び出す。

 それが、直線上に並んだエグニマ艦を3隻貫いた。


 次の発射まで、およそ30秒。

 それまでは、他の部隊が時間を稼いでくれる。

 はるかは、それまで敵艦隊に照準を向けた。

(魔法も使わないと!)


 はるかは詠唱を始めた。

 適当な言葉で綴った意味が分からない詠唱だが、本人はお構いなしだった。

 エグニマの艦載機たちが襲い掛かる。

「ランペイジ・ソード!」

 魔法を発動させる。


 すると、剣の形をした魔力の塊が無数に現れるや否や、エグニマ艦載機を斬り刻んだ。

 広範囲かつ複数の敵を攻撃できる魔法は、使いどころを見る必要がある分、パフォーマンスは申し分ない。

 なすすべもなく、斬り刻まれるエグニマ艦載機。

『緊急事態発生! 特異個体001号より攻撃! 支給対処策を……!』


 艦載機たちが伝令する間も無く撃墜されていく。

 その時、ランチャーの充填が完了した。

「もう一発!!」

 はるかが再び引き金を引く。


 大出力レーザーが、艦載機や艦艇を呑み込んでいく。

 一方で、エグニマ艦隊は次の手を模索していた。

『戦術プラン1084を提案、全艦に通信』

 人間に対する戦術が、次の段階に入り始めた。


「提督、敵の通信を傍受! 敵艦隊は新たな戦術で迎撃する模様!」

「全機聞こえたな? 警戒しつつ殲滅せよ!!」

 昇が全機に命令を下す。


 エグニマは、並列陣形に並び始めた。

 その戦術は、昇は知っていた。

「我々のまねごとをするつもりか? だがそれはもう気付いている!」


 その言葉を合図に、エグニマ艦隊の背後から無数のレーザーが飛んで来た。

 突然の事態に、なすすべもなく轟沈していく。

「第3陣、ただいま到着しました!」


 エグニマ攻略艦隊・第3陣が、たった今になって到着したのだ。

『敵艦隊、増援を確認! 戦略プランに支障発生!!』


 エグニマ艦隊は、たたみかけるような人類の戦略に、混乱を起こし始めた。

「第3陣は強化服部隊を火星の地表に降ろしてくれ! 地表の生産施設を叩き潰せ!」

『了解です! 川島提督!!』

 第3陣が強化服部隊を降下カプセルに載せて降ろし始める。


 させないと言わんばかりに、エグニマの艦載機たちが襲い掛かる。

 しかし、甲板にいた狙撃班が電磁狙撃砲で撃ち落とす。

 哨戒攻撃艇も近づけさせるかと言わんばかりの勢いで叩き落とす。


 エグニマ艦もボディ下側のレーザー砲を第3陣に向ける。

 それも見越した第3陣はSSMを放つ。

 弾頭に使うのは炸裂プラズマ反応弾。


 プラズマ爆弾の技術を転用したSFSW、戦略先制攻撃兵器にカテゴリーされる強力なものだ。

 連邦にとっての切札的な兵器を用いることは、この戦いが総力戦であることが理解できる。

 レーザー砲の充填が間に合わず、エグニマ艦はSFSWの犠牲となった。


 炸裂性プラズマの炎がエグニマ艦のボディを焼き尽くす。

 戦略先制攻撃兵器は文字通り、敵の機先を取るために開発された戦略兵器の総称だ。

 はるかの赤星が使うレーザー砲も準戦略先制攻撃兵器として運用され、連邦軍のとっておきともいえる。

「敵もいずれSFSWを使ってくる! だが、恐れることはない! それを知った上で、我々は迎え撃つまでだ!!」


 昇も腹を括った。

 戦争で自分たちが優位に立てば、敵もそれに追いついて痛いしっぺ返しを受けることになる。

 互いを知り尽し、ぶつかり合う。

 戦争とは、破壊と再生の頂点かもしれない。

 強化服部隊が地表へ降下したことを知らせるサインが表示される。


「第3陣より入電! 強化服部隊、地表へ降下成功!!」

「このまま一気にと行きたいが、敵も死力を出している! こちらも死力を尽くして戦うぞ!!」

 昇は知っていた。


 戦争とは、言葉のない対話の一つであると。

 力と力がぶつかり合い、知恵が張り巡らされた戦場に於いて、攻撃と言う声なき言葉が交わされる。

 それが、相手の命を奪ったとしても、次に生かせばいい。

 残酷な戦場で唯一の対話手段が武力と言うのは悲しいことである。


 異星種族の中には、戦う事でしか自らを見いだせずにもがく者たちもいる。

 争いを好まず、平和的な暮らしを求める者たちもいる。

 しかし、エグニマはそんな彼らを滅ぼし、自分たちだけが唯一の存在になろうとしている。

 生存意義を賭けた戦いは、これからも続くだろうと、誰もが分かっていた。

 だからこそ、この戦いに勝って反撃に繋げる。


 そう決めていた。

 エグニマも、それを理解し始めていた。

『プラズマ収束レーザー砲、起動。 敵艦隊を排除する』

 エグニマもSFSWを持っていた。


 すると、火星の地表に設置されていた大口径のレーザー砲が起動した。

「火星地表に高エネルギー反応! 敵のSFSWと推定!!」

 オペレーターが叫ぶ。

 敵の狙いは、地表へ降下中の部隊。


 降下を急がせるが、

『掃射』

 間に合わなかった。


 青白い極太のレーザーが地表から放たれ、強化服部隊諸共第3陣は跡形もなく焼き尽くされた。

「第3陣全滅!」

「ひるむな!! まだ負けたわけじゃない! 今こそ反撃の時だ!!」


 昇は発破をかけた。

 まだ負けたわけではない。

 そう来ると予想していたのか、はるかはそのレーザー砲に向けてランチャーを構えていた。

「あんなもの、ぶっ潰してやる!!」


 エネルギーに魔力を付与させた特別な一撃を与えるつもりだ。

「吹っ飛べええええええぇぇぇっ!!」

 引き金を引く。


 魔力が混ざった極太のレーザーが地表まで飛んでレーザー砲に吸い込まれていく。

 砲身の内側を損傷させ、発射不能に追い込ませた。

『レーザー砲、使用不能。 修復まで3時間を要する』


 エグニマ艦隊はとにかく拠点を守ろうと必死になり始めた。

「第3陣全滅に伴い、本艦隊機動部隊が地表制圧を行う!!」

 昇ははるかを含めた、機動部隊に降下命令を出した。

「丁度良かった! これも使い物にならなくなったから、有り難い!」


 既に無茶な出力で撃ったためか、レーザー砲が焼けてしまった。

『無茶するからだ! 後で修理代を請求するぞ!!』

「ごめんなさーーい!」


 遊子彦に叱られ、はるかは降下カプセルに乗り込んだ。

「機動部隊、全機降下カプセルに搭乗完了。 降下シーケンスに入ります!」

フェリーチェは直ぐざま降下シーケンスに取り掛かる。

「火星か……」

 赤星のコックピットではるかは降下に備えた。


 幼いころ、宇宙春節の時期になると両親とよく行っていた。

 あの時食べた火星中華料理の味が忘れなかった。

 この戦いが終わって、火星が元の姿に戻ったら、また食べたいと思った。


 今はこの戦いに集中しておくことにした。

「降下カプセル、降下開始!」

 フェリーチェの掛け声を合図に、降下カプセルは火星の地表に降り立った。

 大気圏との摩擦で外殻が焦げる。

 はるかたちは、地表戦に備えて装備を確認する。


 偵察隊からの情報によれば、強化服対策用の大型アンドロイド兵がいると聞く。

『間も無く地表に到着します。 各部隊の判断で敵を撃破してください!!』

 フェリーチェの声が、通信スピーカーから響く。

「聞こえたな。 第1小隊は市街地跡の敵を排除し、その後、建設中の敵の生産施設を叩く!!」


 守は市街戦になることを想定し、こんな命令を出す。

「敵も馬鹿ではないが、見せつけてやれ! 人類の底力って奴を!!」

「「了解!!」」

 全員が異口同音で了解の意を示した。


 途端、ゴツンと言う衝撃が走る。

 地表に到着した。

「着いたぞ! さぁ、お掃除開始だ!!」

 守の言葉を合図に、強化服部隊は一斉に飛び出した。

 アンドロイド兵たちも応戦するが、強化服のレーザー突撃銃に撃ち抜かれてしまう。


「油断するな! ここの連中は大型もいるはずだ! 警戒しろ!」

 そう言い終えた途端、地響きが襲う。

 強化服部隊は、一層警戒を強める。

 その地響きの主が姿を現す。


「こ、こいつは!?」

 はるかを含む全員が驚いた。

 それは、アンドロイド兵に間違いなかった。

 しかし、それは恐竜型異星生物を改造した、拠点防衛用兵器だった。

『拠点防衛兵器3000XV-R、これより、迎撃・排除フェイズに移行する!』

敵も本気になってきましたね!

今後についてですが、この第8話で第1部が終わり、第9話からが新たな展開を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ