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振られてから始まる恋愛  作者: 煙雨
2章 それぞれの関係
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17話 俺の記憶

本当にここまで読んでいただきありがとうございます。

後少しですが、今後ともよろしくお願いします。

次回作も書く予定ですので、お気に入りユーザーをしてくれると嬉しいです。


 ウミガメに餌をあげられるオプション付きチケットを買って水族館に入る。水族館の中は深海をイメージして暗くしていた。そのため魚たちがよりきれいに見えた。日本では見られないピラニアなどもいて驚きながら見ていた。次にクロコダイルがいるところに行く。クロコダイルは迫力があり、実際に見てみると、少し怖くなった。


「大輔くんは昔と同じ反応をするのですね」


「同じ反応? それによく覚えてるね。もう10年前だよ」


「覚えていますよ。だって大切な思い出だから。昔もワニを見て後ずらっていましたよ」


「はは」


 なんかそんなことがあったような気がする。なぜそう思ったかわからないけど、そんな感じがした。ロンドン・アイに乗ってからなぜか懐かしい感じがする。記憶が戻る前兆かもしれないと思ったけど、そんなことを考えている時点で戻ることはないと思う。だから今はシャルロットと水族館を楽しみたい。


 クロコダイルの後にペンギンが見れて、すごく癒された。その後ウミガメに餌をあげた。なかなかこんな体験ができないのですごく満喫した。途中でサメが足元を泳いでいるエリアがあって、驚いたがかっこよかった。でもシャルロットはサメが苦手らしく、ずっと俺の袖を掴んでいた。イギリスに来てからシャルロットにずっとリードしてもらっていたので、今のしぐさはいつも以上に可愛いい。それに日本にいる時の洋服ではなく、イギリスの服装なので見慣れていなくて、見とれてしまう。


 水族館を歩いていると1人のおじいさんが話しかけてきた。


「一ノ瀬大輔くんかい?」


 なぜか俺の名前を知っていたので、警戒する。俺自身が危険な目に合うのは良いけど、シャルロットまで危険にさらすのはよくない。できるだけ相手の情報を知りたい。


「はいそうですけど、なぜ俺の名前を?」


「やっぱりか! 私は10年前にここを退社した飼育員でね。君がよく来ていたから顔を覚えてしまったんだよ。今日来てみると昔よく来てくれた男の子に似ていたから話しかけてしまったんだよ」


「そうなのですね」


「じゃあ隣にいるのはシャルロット様かい?」


「様はやめてください」


「ごめんよ。でも貴族様にため口で話すのはね」


「私がいいって言っているのでいいじゃないですか」


「そうかい。じゃあそうさせてもらうよ。二人とも大きくなったね」


 おじいさんが悪い人じゃないってわかったなら、俺の過去を聞きたい。水族館に来てから少しずつだけど、記憶が戻ってきている気がする。


「もしよろしければ少しお時間をもらえませんか? 昔の俺の事を聞きたくて」


「いいけど覚えてないのかい?」


「日本に帰国してから事故を起こしてしまって、昔の記憶がないんです」


「そうか。じゃあ君が小さいころによく言っていたところに案内するよ」


「ありがとうございます。シャルロット、ごめん。俺のわがままで付き合わせて」


「いいよ。大輔くんの記憶が戻るかもしれないってことでしょ? こんな機会はもうないんだから活かさなくちゃ」


「ありがとう」


「名前を言ってなかったね。ダビト・オリバーって言うんだ」


「宜しくお願いします。オリバーさん」


 オリバーさんについていくとウミガメの餌やりの場所に着く。


「一ノ瀬くんが餌をあげようとした時、落ちそうになったんだよ。それで私が一ノ瀬くんを助けたのがあったきっかけ。その時餌をあげようとしたウミガメは今ここにいると思うから会ってみる?」


「はい。お願いします」


 そのウミガメに会ってみるが、他のウミガメと違いがわからない。でもなぜか俺の方に来てくれた。俺の事を覚えているわけじゃないと思うけど、こっちに来てくれたことは嬉しい。その時、頭にすごい激痛が来て気絶した。





 目を覚ますといつもいる風景ではなかった。周りを見渡して病院だと理解する。小さいころの記憶がなぜか思い出せている。


「大輔! 大丈夫?」


「母さん。大丈夫。どれぐらい寝てた?」


「1日ぐらいよ。突然気絶したってことは記憶を取り戻したの?」


「そっか。思い出したよ」


「大輔は今までのことも覚えてる?」


「覚えてるよ」


 泣いている母親から話を聞くと、脳が外傷による記憶喪失を起こした人は、記憶を取り戻すことはほとんどないらしい。俺の場合は本当に運がよかった。今日1日入院して、明日退院になった。するとシャルちゃんとソフィアさんとオリビアさんが俺のところに来た。


「大輔くん大丈夫?」


「大丈夫だよシャル」


「え? シャルって...」


「うん。小さいころのことを思い出したよ」


「そっか。よかった。じゃあ私家に帰るね。バイバイ」


 病室を出るとシャルの泣き声が聞こえてきた。でもそうだよな。シャルだけ俺の事を覚えていて、俺は覚えていないってことは相当つらかったと思う。それに記憶を無くす前までの俺を知っていてくれながら、俺と友達になってくれたんだから。


 退院してホテルに戻ると、母さんが俺のことを抱きしめてきた。


「お帰り」


「ただいま」


 その後父さんに電話して記憶を戻ったことを言って、シャルともう一度イギリスを回る約束をした。

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