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アフターと約束。

 アフターの約束をしたお客さんとの待ち合わせ場所の24時間営業している、小さな喫茶店に行くとお客さんが私の事を、待っていた。


 私は喫茶店でミルクティーを頼みお客さんと少し話をしていた。

週の内いつお店に出てるとか、アルバイトを始めたキッカケとか、当たり障りの無い普通の話を。そして、15分ぐらい話した後にお客さんに聞かれた。


 『うららちゃん、お腹空いてない? 何か食べに行こうか?』


 私はアルバイト終わりで少しお腹も空いていた事から、食事に行く事を了承した。ファミレスにでも行くのかな? そう思い聞いてみると。


 『うららちゃんみたいな、可愛い子と食事に行くのに、ファミレスなんかに行く訳ないだろ? この時間なら寿司か焼肉になるけど、どっちがいい?』


 私にそう聞いてきた。私は【え? そんな高そうな物をご馳走してくれるの?】そう素直に喜び、どうせならとお寿司が食べたいと言った。


 食事に行く場所も決まり、喫茶店を出てお客さんと2人で、夜の街を歩く。お客さんの車に乗って食事に行く事になっていたので、車を停めた駐車場まで歩いて移動した。


 移動している最中も、お客さんと色んな話をした。

ブランド物のバッグが欲しくてアルバイトを頑張ってる事も話したらお客さんは、またお店に遊びに来て私の事を今度は、本指名してくれて、シャンパンでも頼んでうららちゃんの売り上げに貢献してあげるね。そう言ってくれた。


 私はこの時に、私にもやっと本指名してくれるお客さんが出来た。このお客さんなら、たくさん私の売り上げに貢献してくれる。

そうしたら、アルバイト代もどんどん増える。時給だって上がるかも知れない。そう思ったのと同時に。【このお客さんの事を、他のキャストに取られたくない】って事も同時に思った。


 私に出来る事なら何でもして、このお客さんの事は繋ぎ止めておかなきゃ……


 その後、駐車場に着いた私は、お客さんの乗ってる車を見て驚いた。だって……私でも知ってるぐらいの高級な外車に乗ってたんだから。その車の助手席に乗る私。夜の街を走り抜けて行く高級な外車に乗ってる私。私はこの時も言い知れぬ優越感に似た物を感じていた。このお客さんを繋ぎ止めておけば、これから先もずっとこんな気分が味わえる。そう思って嬉しくなってしまった。

こんなお客さんと出会えた幸運を素直に喜んでいた。


 たどり着いたお寿司屋さんも、私が今までに行った事も無いような、高級感の溢れるお寿司屋さんだった。

好きな物を好きなだけ頼めばいいから。そう言われた私は、素直に食べたい物、食べてみたい物を頼んで食べた。


 お寿司を食べてお腹がいっぱいになった私は、そろそろ帰ろうかと考えていたけど。お客さんから、私ともう少し話がしたいからって少しドライブでもしないか? そう聞いてきた、帰りはそのまま車で家の近くまで送るからって。


 私は、この時既にこのお客さんの機嫌を損ねて、嫌われたらお店に来てくれなくなるかも? 指名してくれないかも? そんな思いに囚われていた。だから、この時も。


 「ちゃんと送って下さいね」


 そう答えた。そして……車は市内を走り回り、やがて港に着いた。

2人で車に乗ったままで夜景を楽しみながら、話をしていた時に。


 お客さんは私にこう言ってきた。


 『これからも、出来るだけお店に遊びに行って、うららちゃんの事を指名してあげるから、いいかな?』


 そう言ってある建物を指で指していた。

私は、このお客さんさえ居たら。このお客さんを逃がしたら。

そんな思いが強かった。


 だから……そんなお客さんの提案に黙って頷いた……


 その後……お客さん……幸田さんは、約束した通りに私がアルバイトに入る度にお店に遊びに来るようになり、私の事を本指名してくれるようになった。

そして、毎回と言う訳には流石にいかないんだろうけど、週に1回は必ずシャンパンを1本頼んでくれた。


 この事で、私は売り上げが上がり、飛躍的にアルバイト代も増えた。良いお客さんを捕まえた事により、アルバイトの時給も2,000円から3,000円に上げて貰えた。


 ずっと欲しかったブランド物のバッグも買えた。幸田さんからも、お店で使う為に必要な、ハンカチやライターなんかもプレゼントして貰えた。しかも、全てがブランド物のやつを。


 そんな私と幸田さんの、もう1つの約束……

お店に幸田さんが遊びに来た日は、必ずアフターに行き、そのまま2人で朝までホテルで過ごす。と言う事を続けながら……

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