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ドキドキ体験入店。

 ハンバーグを食べた後、堀田さんの後ろに付いて繁華街のネオンの中を歩いてビルのエレベーターの前まで来た。


 『お店、ここの7階にあるから』


 そう言われて堀田さんと2人でエレベーターに乗った。

エレベーターを降りると直ぐに、お店への入り口になっていて、奥に何人かの同じ服着た男の人が立ってた。

入り口の横には、キレイだったり可愛かったりする女性の顔の写真が額に入れられて並んでいた。


私は、その写真の1番大きくて目立つ額に入ってる、キレイな女性の写真を見てみた。


 【No.1 キララ】


 額の下に付いてる金色のプレートには、黒の文字でそう書いてあった。


 『これ、お店の人気ランキングね、このキララって言う子が1位の子、うららちゃんなら、頑張ったらここに写真が飾られるのも直ぐかもね』


 私がこの人達に混じって? あり得ない。だって誰もすっごくキレイだったり可愛かったりしてるのに。きっとお世辞だろうなって思ったから、愛想笑いだけ返しておいた。


 そのまま、堀田さんに連れられてお店の中に進んでいった。

途中スレ違うお店で働いてる男の人達が、堀田さんと挨拶を交わしたりしてる。何人かの人は私に【体験?】と聞いてきた。堀田さんが代わりに【そうだよ、可愛い子でしょ?】と答えていた。


 テーブルとソファーのある席に、お客さんかな? 男の人が座ってて、その横にドレスを着ている女性が座ってお話し? をしてる。そんな中を、通ってお店の奥に行くと。更衣室っぽい場所に案内された。


 『ちょっと待っててね』


 そう言われて、周りにキョロキョロと視線を泳がせながら、黙って立っていた。堀田さんは、ドレスが沢山掛かってるハンガーラックの中から、白と淡いピンクのスカート丈の短いドレスを手に持った後に、いくつか並んでるロッカーを回って鍵の掛かってないロッカーを見付けると、私の元に帰ってきた。

両手に1着ずつ持ってるドレスを、私の体の前に交互にあてがっている。どちらが似合うのか探してるみたい。


 私、あんなスカート丈の短い服着るんだ、絶対膝上10cmぐらいはあるよね?

どちらにするのか決めかねてるみたいな感じの堀田さんが、いきなり変な事を聞いてきた。


 『うららちゃんごめんね、変な意味じゃ無いんだけど、うららちゃんって、おっぱい何カップ?』


 え? おっぱいのサイズ聞かれたの? 答えなきゃダメなのかな? 悩みながら堀田さんの顔を見ると、別にいやらしい感じはしてなかった。でも、そんな事答えたくないなぁって思ってたら。


 『少し胸元の開いてるドレスの方が似合いそうだって思ったから、あっ別にいやらしい意味で聞いたんじゃないからね、本当だよ』


 って必死に言い訳してる。なんかそれ見てたら、本当に変な意味で聞いてるんじゃないんだなって思えてきた。


 「えっと……Dカップです……」


 私が恥ずかしがりながら答えたら、淡いピンク色の少し胸元がV字に深く開いているドレスの方を、私に差し出して来た。


 『あそこ、カーテン閉まって中見えないようになるから、そこでこのドレスに着替えてみて、脱いだ服は、このロッカーに入れてね、それじゃ僕は少しだけ席外すから』


 そう言って、ドレスを私に渡して更衣室? から出ていった。

1人残された私は、渡されたドレスを見ながら、こう言うの着て仕事するんだ。って思った。でも、お店の中でお客さんと話してた人も、別に変な事とかしてなかったし、こう言うの着た方がお客さんも喜ぶんだろうなぁって思った。

こう言うの着るから、高い時給も貰えるんだ。お仕事なんだか。

そう思って、思いきってドレスに着替える事にした。


 ドレスに着替えて、着ていた服を言われたロッカーの中に掛けていると、堀田さんが戻ってきた。そして、ロッカーに鍵を掛けて、ちゃんと持っていてねって。そして改めて私の事を見て。


 『うん! 思った通り、少し胸元開いてる方が似合うね、めっちゃ可愛いよ』


 そう褒めてくれた。

 

 その後、堀田さんに連れられてまたお店の中を通って入り口の近くにある、女の子だけが座ってる席に案内された。


 『ここに、座ってるだけでいいからね、お店の雰囲気とか感じてみてね、それじゃ僕は仕事あるから行くね、時々顔を見せに来るから』


 そう言ってどこかに行ってしまった。


 私はどうしたらいいのか分からずに、所在無さげにしていると、席に先に座っていた、私より少し大人の女性に声を掛けられた。


 『ここ、私の隣に座りなよ』


 「あっは……はい」


 突然声を掛けられて少しビックリして変な返事をしちゃった。

私に声を掛けてきた子は、自分の隣に座るようにって、ソファーを手でポンポン叩いてる。私は言われた通りに、その人の横に座った。


 『体験?』


 「あっはい、そうです」


 声を掛けてきてくれた人は私に。固いなぁ緊張してる? とか、体験ならここに座ってるだけで大丈夫だよ。とか、色々と話し掛けてきてくれた。話掛けてきてくれたお陰で、少し緊張も解れてきた。


 『私の名前は【りこ】って言っても源氏名だけどね』


 そう言って私に名前を教えてくれた。源氏名ってなんだろう? そう思って思いきって聞いてみたら、源氏名って言うのは、お店の中で名乗る名前で、本名とは別って事を教えてくれた。


 『名前聞いてもいい?』


 「うらら、うららです、18才の大学生です」


 名前を聞かれただけなのに、思わず年齢と学生って事まで話してしまった。ちょっと恥ずかしかった。


 『うららちゃんか、可愛い名前だね、よろしくね』


 その後、りこさん。あっりこさんは、私より年上の23才って教えて貰った。りこさんと話をした。

りこさんはキャバクラで働いて1年ぐらいになるって言ってた。

私は、堀田さんには聞けなかった事を、りこさんに聞いて教えて貰ってた。こう言う脚とか胸元とかを見せたりはするけど、絶対に触られたりとかはしないんだって事も教えてくれた。


 途中、りこさんが【ちょっと待っててね】って声を掛けてから、席を立ってどこかに行っちゃった。私は残されて少し不安になったけど、2~3分ぐらいで、りこさんは帰ってきた。

そして、手に持ってた小さなグラスに入れた、オレンジジュースとコーラのどっちがいい? って聞いてきた。

私が初めての事で緊張してるのを知って、飲み物を取ってきてくれた。りこさんの優しさに感謝して、お礼を言ってオレンジジュースを選んだ。


 りこさんは、この奥にお店のキッチンがあって、そこに居る人に頼めば、他にもお茶なんかも貰えるから。って教えてくれた。


 りこさんと楽しく、おしゃべりしてたら、あっという間に2時間経ってたみたいで、堀田さんに声を掛けられた。


 『うららちゃんお疲れさま、りこもありがとうな、体験の子の面倒見てくれて、それじゃ、うららちゃん体験はこれで終わりね』


 そう言って私の事を連れて行こうとしたから、私は最後にりこさんの方を向いて。


 「りこさん、話し相手になってくれて、ありがとうございました」


 そうお礼を言った。りこさんは笑顔で答えてくれた。そして。


 『気にしないでいいよ、それとこのお店で働くなら、またおしゃべりしようね』


 そう言ってくれた。そして、私は堀田さんに連れられて、着替えをした更衣室に行き、またドレスから着てきた服に着替えた。


 お店の入り口で、堀田さんに。


 『お店で働く気になったら、いつでもいいからまた電話してきてね、それじゃ今日はお疲れ様でした』


 白に黒の縁取りがしてある、お店の名前の書かれた小さな封筒を渡されて、体験してた間の時給って言われた。


 私は堀田さんに、また電話します。って言ってから、エレベーターに乗って、ビルから外に出た。


 帰り際に渡された封筒の中には、5,000円札が1枚入ってた。

少しソファーに座って、りこさんと話してただけなのに、5,000円も貰えた。キャバクラってすごいところなんだと思った。


 そして私は自分が住んでる部屋へと帰る、地下鉄の電車の中で、部屋に帰り着いたら真っ先に堀田さんに電話を掛けて、働きたいって事を伝えよう。そう決めた。


 だって2時間ぐらい座ってただけなのに5,000円も貰えたんだから、こんな良いアルバイト他に絶対無いよね。



 

 

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