ふりつもるおと【冬の詩企画】
その思い出はずいぶんと遠く感じる
時間も場所も、ずいぶんと遠くに来たものだ
その音は一人であればより聞こえた
しゃんしゃんしゃん
ふゆの日、降り積もった荒野
ああ、其処は荒野だった
だけど雪で綺麗に整地され平らで白一色に染め上げられている
さわさわさわ
降り積もった雪の上に降る雪
それが鳴らす音は厳かで、寒さで、気が滅入りそうだった
けれど孤独を肯定してくれていた
しんしんしん
ほんの少しの風
ほんの少しの場所の違い
ほんの少しの雪の違い
おんなじ名前の雪が音を奏でても、ほんの少しの違いがいろんな音を生んだ
その音が楽しかった
ガヤガヤ コツコツ ワイワイ ブロロロロ
今いる場所はそんな音から程遠い
今ここに在る音はぜんぜん違うものだらけ
あの場所はこんな音に慣れて汚れた私を受け入れてくれるだろうか
あの音を今の私は楽しめるだろうか
郷愁
本作は「冬の詩企画」参加作品です。
企画の概要については下記URLをご覧ください。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1423845/blogkey/2157614/(志茂塚ゆり活動報告)
なお、本作は下記サイトに転載します。
http://huyunosi.seesaa.net/(冬の詩企画@小説家になろう:seesaablog)
ここで挙げた雪の降る擬音って、本当にするんですよね。ホントだよ?
"しんしん"って擬音は日本人の優れた感性の賜物だと思っています。