付かず離れず共依存
彼はとてもおしゃれだったから、私は彼と一緒にウインドウショッピングを重ねた。
彼が欲しがるものは何でも買ってあげた。私の買った服で彼が格好良くなるのが嬉しかった。
彼は私を好きでは無かったけれど、私は彼が大好きだったから、毎日街に繰り出して一緒に時間を過ごすのはとても楽しかった。
その為に私は寝る間を惜しんで働いた。借金する事もあった。でもこれについては今でも後悔はしていない。
彼の笑顔をたくさん見る事が出来たのは、その時は本当に嬉しかったから、今の心が違うものであっても、大切なプロセスであった事には違いは無い。その時の自分自身の気持ちを否定しようとは思わない。私はそれなりに結果を残すことが出来たのだから。
本当に多分一年中彼と一緒に遊んでいた。
私は彼に何度も告白していたから、彼は私の気持ちは知っていた。けれども私は彼に好かれる事は無いのだなと諦めていたし、それ以上に彼に一緒にいたいと思ってもらえていることが、友達だとしても嬉しかったのだ。
けれどもそんな、自分をどこかごまかし続けて来た時間も終わりを告げる。
彼は私以外の、彼が望む女性と一夜を共に過ごした。
私は心が痛くて、苦しくて、こんなにも彼を好きだったのかと思い知らされた。
彼はそのことについて嘘は言わなかった。だから私は彼に別れを告げる事にした。
未練と言うものは時に判断を狂わせる。
私は彼の前から期限付きで姿を消すと告げたものの、ダラダラと彼のそばから離れられなかった。
彼も私と離れたい訳じゃないと言ってくれた。
それはとてもずるい事のようにも思えたが、惚れた弱みで私は彼との関係を断絶出来ずにいた。
彼は私といると楽しいと言ってくれた。それだけで本当は良かったのだ。
私は苦しくて、悲しくて、辛くて、死んでしまいたいと思ったことも、彼に告げた事もあった。私も結局卑怯な女だったのだ。そしてある日、私は彼とのスキンシップをしながら、性的な欲求を互いにぶつけた。
この頃には私の人生を変える大きな要素。彼は精神を患っているのだと知ることになる。
私と性的な関係を持ったことを、彼は罪悪感でいっぱいになったようで、もう会えないと言うメールを送って来ることもあった。でも彼は会ってくれた。結局は今思い返せば共依存だったのだと思う。彼は私から離れられなかったし、私も彼から離れることが出来ずにいた。そして私は精神を患った彼を私の手で救いたい、力になりたいと思っていた。
それが間違っていたと気付いたのは、しばらく経って全てが終わってからのことだった。