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幸せを運ぶ人、その名は幸せおじさん。

作者: 七瀬

 幸せは、みんなに平等に来るものだと、ずっと信じてきたけど......。

実際は違う。地位を持った人やお金持ちには福が来るが、貧乏人や人生

脱落した者に、幸せなど来ない。


 求めて幸せになれるなら、誰もが幸せになれるだろう。そんな都合の

いい話はないし、努力したからと言って、全ての人たちが幸せになれる

かと言えば......違うと思う。


 逆に求めても入らない幸せなら、どうやって幸せが手の中に入るのか?

そんな事を考える。人から、奪い取る幸せがいいとは思えない。


 きっと? 『方法』があるはずだ。でも、今の僕には、見つけ出す事も、

探し出す事も出来ない。だからと言って諦めきれないのも現実だ。


 人間は、不平等だ! 確かな手応えのあるものを、人は欲しがるくせに、

目で見えないモノや形のないものには、見向きもしない人もいる。


 そもそも? 『幸せ』って、誰が決めるのか? みんながみんな、同じ

物を欲しがる訳じゃない。勿論! 一般的なものは、所謂! 「王道」と

言えるものは、みんなが欲しがるのかもしれない!


 そんな時に、僕の前に現れた。「幸せおじさん。」外見は、髭がもしゃ

もしゃで、みすぼらしい感じのおじさん。年齢は50歳ぐらいで、小太り

のおじさんだ。普通の何処にでもいそうなそんなおじさんだけど......?

 

「君が幸せを欲しいと言ってるやつか?」

 「まぁ、もらえるなら? 物凄く欲しいよ。」

 「なんで欲しいんだ!」

 「なんでって? 誰でも欲しいに決まってるじゃん!」

 「誰でも? 自分の意見はないのか!」

 「何、おじさん怒ってるの?」

 「別に、怒ってる訳じゃない。今どきの若いや......」

 最後まで、おじさんが話終わらない間に、僕が話を先にした。

 「それより、くれるの? くれないの? どっち?」

 「まぁ、やるのは決まってる事だが......。」

 「じゃ~ ちょうだい!」

 はぁ~と、おじさんがため息をつく。

 「わかった! わかった! やるよ。」

 「ほんとに!」

 「何か1つ欲しいものを、頭に思い浮かべろ!」

 「うん、わかった。」

 そうして、僕は目を閉じて、欲しいものを1つ浮かべた。

 

「どうやら、お前の願いは、明日にならないと叶えてあげれないみた

いだ!」そう言って、「じゃあな! 一応、願いは叶えた」と言って、

立ち去って行った。


 僕の欲しいものは、僕が産まれた時に、両親は離婚して、僕は父親に

育てられた、だから母親に会いたい。それが願いだった。僕のずっと思い

続けてきた願い。僕自身も大人になって母親の行方を探したけど......?

手掛かりが少な過ぎて無理だった。探偵も雇って探したが、やっぱり無理

だった。だから、僕はもう諦めていたし、考えないようにしていた。


 そんな時に、「幸せおじさん。」が現れて、その忘れかけていた思いが、

また、希望に変わった。でも? 本当に会えるのか?


~~~

 

 そして、次の日、遂に母親に会えると喜んでいた。しかし、僕の想像とは

違った。現れたのは、『幽霊』になった母だった。もう、亡くなっていたの

かと僕は胸が熱くなった。泣きそうな気持を堪えて、母と話をした。


 僕がずっと母親に会いたかった事。

 そして、ずっと母親を探していた事。

 どうして? 僕に1度も会いに来てくれなかたのか?

 連絡も何故、してくれなかったのか?

 僕の事を嫌いだったんじゃないのか?

いろんな事を母親に聞いたら......? 母親は父親との約束があったからと言った。

でも、約束を破ってでも、本当は僕に会いに行きたかった事。

僕の知らない間に、陰で見ていてくれていた事。


 僕の知らなかった事をたくさん話してくれた。僕は、母親の話を聞いてる

うちに、涙が止まらなくなった。ちゃんと、僕の事を想ってくれていた母親

に感謝の気持ちでいっぱいになった。


 最後に、僕が母親に言った事。 

「母さん! 僕を産んでくれてありがとう。」

 母親は、僕の言葉を聞いて、大泣きしていた。

そして、母の言葉。

 「これからも、ずっと貴方を愛してるからね。」

ずっとずっと......。


最後に、「幸せおじさん。」僕の願いを叶えてくれてありがとう。


















 






最後までお読みいただきありがとうございました。

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