三月二十二日「従妹と事情聴取」
ヤキモチしてる姿も多分可愛い。
「支度なんかして……どこか出掛けるの?」
「あぁ、ちょっと用事があってな」
朝食のトーストと目玉焼きを食べた後、俺は身支度を整えていた。
用事……と言ってもサークルの仲間に顔を出すだけなのだが。
「ゆうにぃが買い物以外で外に出るなんて……明日雪でも降るのかな?」
「おい、人を引き籠もりのニートのように言うんじゃない」
勘違いしないでほしいが、俺は外出頻度を必要最低限に抑えているだけだ。
日差しを浴びると死ぬとかいうドラキュラのような奴等とは違い、効率を求めた結果である。
「で、どこへ行くの?」
「……蒲田のファミレス」
「地名言われても分かんないよ。ここから遠いの?」
「ん、まあまあかな」
「何分ぐらいかかる?」
「電車使って……三十分ぐらいだな」
「何線使うの? それと最寄りから何駅ぐらいある?」
「えっと多摩川で乗り換えて……ってどこまで聞くんだよ!?」
なにこれ事情聴取?
ってか付いて来る気じゃないだろうな……?
「誰と遊ぶの?」
「遊びじゃねぇよ。……サークルの仲間と打ち合わせをするんだ」
「ふーん、じゃあ誰が来るの?」
「誰って……名前言っても分からないだろ」
「そっか、なら何人来る? 全員男?」
「えっと確か今日会う奴等は……男二人に女一人……」
「女……!」
ギロッと目の色が変わる彩音。
何か急に怖くなったんだけど……。
「ほら、女って言ってもただの部長でさ。全然そんな疾しい関係じゃないし……」
「ふぅーん、そう」
彩音は溜め息をついて、イマイチ納得のいかない表情をしている。
多分俺に嫉妬しているんだと思うのだが……女の子はこういう所に手間がかかるよな。
「夕飯までには帰ってくるから。悪いけど留守番頼むぞ」
「……はぁーい」
やはり納得がいかないのか、返事はとても気だるかった。
佑真外出後
「ゆうにぃに女がいるなんて……。私の愛が足りないのかな……」
※彩音ちゃんはヤンデレにはなりません。させません。