■001□被害妄想中!
「何が何でもやらなきゃいけない!そうだろ?…クローウ」
街中の家電量販店の中から、そんな声が聞こえた。
例の人気のアニメのようだ…
何だっけ、…り?……き…っき!…はぁ〜、忘れた…
喉の近くまで、でかけてたんだけどね〜
何で人ってこういうとき、どうでもいいことを忘れるんだろう。
それにしてもみんなに見られてる気がするな…
今日の服、おかしくないよな?
今は街中をうろうろしている。
暇な時はいつもこうしている。
暇といっても宿題とかがあってもする気がないし、夜すればいいかって感じで生きている。
「あぁ〜もお!」
そういって頭をかきむしると、ズボンのポケットに手を突っ込んだ。
家に帰ろうと思い、後ろを振り向いた瞬間あることに気づいた。
そういえば学校に行く途中だった…
何やってんだ俺…いつまで休みボケしてるんだ。
つい先日まで夏休みだった。
高校最後の夏休みといいたい所なんだけど、今は高2だから違う。
でも結局、今年の夏休みも去年と一緒だった。
朝は部活で陸上をやって、昼からは小遣い稼ぎでバイト。
今は不景気だから、あんまバイトに呼ばれない。
だから夏休みの間で、1万から2万円ぐらいしか稼げなかった。
彼女なんてのはいない。
気になる娘ならいる。
いや、気になるなんてモンじゃない!
好きだ!
好きで好きでしょうがないくらい好きだ!!!
あれは高校に入学してからのことだった。
1年とちょっと前………
「やっと俺も高校生か…」
きっと俺の高校生活は、彼女を作って、あんなことして、バカやったりしてさ…マジ楽しくなってきた!
でもここにはダチはいない…
俺の頭がいいのか、みんなは落ちた。
知ってる人がいないとなると、緊張するな…
高校の前に立ち尽くして何考えてんだ俺は!
ここまで来たら、勇気を出せ俺!
……
でもなんか心配になってきた…
友達できるかな…
勉強ついていけるかな…
俺の人生、この先真っ暗な気がしてきた…
「とにかく一歩だ!一歩!」
俺は震える足に言いかけ、勇気を振り絞って学校の敷地内に入った。
まだまだ、これから!気にするのは後でいい!
自分にそう言い聞かせ掲示板前で自分のクラスを確認した。
「え〜…っと、俺のクラスは……あった。1−Fか…」
そういえば俺らの学科ってどんなことするんだろ…
なんとなく入ったんだよな…
バカヤロウ俺!後で考えるんだ!
俺は1−Fを探した。
………
「広いなこの学校…」
声に出してしまうほど広かった。
そのせいで教室を探してきれていない。
「完璧に遅刻だ!どう言い訳しよう…」
俺は焦った。
焦りが体に表れ、冷や汗をかくほどだった。
人間ってこういうとき、本当に冷や汗かくんだな…
俺は走った。
途中先生らしき人物に出くわした。
当然のことながら走っていたため、怒られて時間をロスした。
その後、教室の場所を聞き出し、また走った。
廊下の角を曲がると目標物を50m先に確認した。
「急げ俺!今なら許してくれるはずだ!」