■014□百発五十中
岩本は怒りの表情を浮かべていた。
そのまま俺は職員室まで連れて行かれ、俺の言い分を岩本は聞かず、こっぴどく叱り散らした。
その後、謝る必要もないのに田辺に謝り、先生に今週中に田辺の体操服代を持って来いといわれた。
それでやっと開放された。
俺はうつむいたままクラスに戻った。
教室に着くとみんなが俺のことを噂しているように聞こえた。
ここに居たくない…
いっそ、みんな死んでしまえばいいのに…
ユカリは何を考えてか分からないが話しかけてきた。
「あんた、田辺の体操服ずたぼろにしたんだってね!あんたもやるときゃやるんだね!」
ユカリは俺を馬鹿にしていた。
こういう奴こそ殺したい…
いっそ胸に一刺ししたい…
でもそんな勇気はない。
実際俺のわがままだってことも分かってる。
自分勝手だって…
もしかしたらユカリは俺を励ましたいのかもしれない。
でもそんなこと俺にはわからない。
俺は俺だし、ユカリはユカリだから。
ふと、お腹が痛くなっていることに気づいた。
トイレに行きたい…
俺はみんなの目を盗んでトイレに向かった。
こんな時でもお腹は痛くなるんだなと感じた。
トイレに付くと、誰もいないことを確認して、便座に腰を下ろした。
1分後…
中々腹の痛みは治まらなかった。
これは岩本のせいだな…
俺の言い分も聞かず、生徒を信用してない証拠だ。
あんな先生は早くクビにするべきなのに、国はなにやってんだよ!
その時、ガチャリという音が聞こえた。
誰かがトイレに入ってきた。
俺がここにいることがばれるわけにはいかず、物音を立てないようにして、じっと待った。
「…今日あたりだよな…」
「なにが?」
「ほら、ゲームだよ!ゲーム!」
「あぁ、あれね。でも、何で今日って分かるんだよ?」
「勘だよ、勘!俺の勘は百発五十中だからな。」
「それっていいのか?」
何の話かは分からなかった。
なんのゲームか、とても気になった。
けど、トイレしていたなんてことがみんなにばれるのはさすがに恥ずかしいので、このことは諦めた。
そういえば最近、ゲームしてないな…
チャイムの音が鳴り、急いでトイレを後にした。