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■011□あのドキドキ

あれから何時間がたったんだろう…

俺の見上げる空には黒い雲が立ち上っていた。

「雨でも降んのかな〜…って、んなわけないだろうが!!お前ら人ん家で、なにやらかしてんだ!!!!」

水月達は見事に失敗した料理を作ってくれていた。

ユカリはどうやら寝ていたらしく、俺の声で起きたようだ。

「ユカリ…お前もおかしいだろ!!人の看病しているお前が眠ってたら、看病って言わないんだぞ!!!!」

ユカリは眠たそうにあくびをかくと俺に言ってきた。

「あんたねぇ〜、看病する側の身になってみなさいよ。本当に眠たいんだから!それにしても変わったね」

いやいやいやいや、それは屁理屈だろ。

でも言えない、俺がそれを言ってしまうと大変なことになりそうな気がするのは、気のせいか?


それより変わったって?

「変わったって、何が?」

「言うようになったじゃんってこと」

ユカリは水月たちに向かっていった。

「あんた達も、あんた達よ。料理が下手なくせに作ろうなんて、千年早いの!」

ユカリはおもむろに立ち上り、キッチンに向かった。

水月達は申し訳なさそうに立ち除いていった。

「ユカリ…手伝おうか?」

神田は怯えて言った。

俺もユカリの目に、何か煮えたぎるものを感じた。

いや、ユカリは萌えている!

…じゃなかった、燃えている!

料理を作る者としての魂に火がついている。

「いい…そこに座ってくつろいでて。」

「うっ、うん…」

2人は同時に返事をすると、キッチンを後にした。


俺は今、心底ドキドキしている。

一体ユカリが一体どんな料理を作ってくれるのか。

どんなすごい技をみせてくれるのか!

ユカリはまず野菜を切り出した、キャベツが宙を舞い、ニンジンは手裏剣のように切られていく。

次に、家の冷蔵庫にあったかは疑問だが牛肉を取り出すと、油を事前に流してあるフライパンの上に放り投げた。

そしてこれまたどこにあったかは疑問だが、ワインッぽい物が取り出されると牛肉に向かって、適量ピッタシにかけられた。

そこで炎が上がり、その光景はプロ。


そして1時間後、ご飯が炊き上がると続々とテーブルの上に料理が並べられていった。

見た目も完璧で、申し分ない品々だった。

「さて、じゃあ俺もそっちに行こうかな。」

布団から出ようとした瞬間だった。

ユカリが見の前に立ちはだかる。

いつの間に…

「ユカリ、ちょっとどいてく…」

「あんたは病人だからここで食べなさい!」

俺が全てを言い終わる前にユカリが喋ってきた。

別にどこで食べようと俺はよかった。

だって、おいしいモンが食べれるんだから!

「はい、あんたの分。」

ユカリはお盆にのせた料理を俺の手元に置いた。

覗いてみると、そこには衝撃的なものがあった。

まず目に付くのが梅干だった。

そして背後に異様なオーラをかもし出しているご飯。

「これって…俗に言うおかゆってやつですか?…あっちは食べれないんですか?」

「病人がそんなモン食べていいと思ってんの?病人はおかゆって決まってんじゃない!」

俺はユカリの迫力に恐れ、声が震えているのに気づいた。

「じゃ、じゃあ、あっちの料理は?」

「あれは私達の分。」

無茶苦茶だぁぁぁぁああああああ!!!!!

俺のあのドキドキを返せ〜!

青春を返してくれ!!!

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